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柔い種

作者: 夏生

息子といっしょにプチトマトの

種を植えた


爪の間に挟まってしまいそうな

柔い種を息子の小さな手にのせる


落とさないで、ゆっくりゆっくり


私も柔い種を手にのせて

そっと土の中に落とした


本当にこんな柔い種からプチトマトが

生えるの?

疑う私の横で息子はプチトマトの写真を

不思議そうにみつめていた


四角いプチトマトが成るんだって

瑞々しく熟した四角いプチトマト

どんな味がするんだろう


あの柔い種が?まだ疑う私

息子は種を植えた土をみて

ゆっくり視線をあげた


元気に育つといいね


産まれ出たとき

ペットボトルほどの小さな命だった

息子


幾人かのひとは

憐れみ、励ますように言ったのだ


元気に育つといいね


水の入ったペットボトルを持ち

土を少しずつ潤す息子の横顔が

ぼんやり見えて


元気に育つといいね


命は思っている以上に強いのよ

信じましょう


あのとき、母に言われた言葉が

口をついて出た

息子は不思議そうに私をみると

黙って頷いた








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