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 聖女は潔かった。ある日気づいてしまえば、もう抑えられなかった。だからまっすぐ、魔王の部屋へ向かい、そして彼が笑顔で迎えてくれたことに胸を一杯にしながら、


「ナタニエル、好きです。私は恋愛的な意味で、あなたを好きになってしまいました」


 そう伝えた。

 ナタニエルは目を丸くして、数秒固まった。賢明な彼にしてはとても珍しいな、と思ったけれど、


「なってしまった、ということは後悔しているのか?」

「まさか。でも、ナタニエルは私のこと恋愛的に好きではないでしょう?だから…」

「待て待て」


 ナタニエルは待ったをかけた。

 そして、自分の隣の席を叩く。

 ナタニエルの部屋の、もう慣れてしまった、私の定位置。そこにちょこんと座る。


「俺はこれでも自分の感情に正直だ」

「あ、はいそれはなんとなく」

「お前といるとよく笑えるようになった」

「それも少しは…」

「お前が悲しければ俺も悲しい」

「えっ」


 ナタニエルが私の両手を自分のそれでそっと包む。

 薬指の指輪の感触がする。


「俺は生涯をお前と過ごしたい。お前が愛しくてたまらない」


 そんな。そんな言葉、まるで、まるで。


「つまりだ。俺たちは、両思いだ」


 なんですって!

 振られる前提で告白しに来た正直聖女は、目を丸くして。それから――倒れた。



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