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運命の絲シリーズ

運命の絲

作者: 久遠みおな

幼い頃、おばあ様に言われたことがある『見えるものすべて言ってはいけないよ?』と


それもそのはずだ

私は侯爵家の一人娘おばあ様は恋愛結婚だったそう


それはそれは仲睦まじい夫婦で私はおばあ様にこれでもかと言うくらい似ていた


そんな私はおばあ様の不思議な力まで受け継いでいた


縁が見える瞳…

色によってどうなるかどんな縁になるかわかってしまう

そんな瞳だ


小さい頃はそれがわからず色々おばあ様に習っていた

言葉にしていいのは友情位だと

この人とこの人は友達になると

それが本当になるものだから女子によく聞かれだものだ


運命の赤い糸は見えないのかと


当時学校にも入っていなかった私はおばあさまから厳命を受けていた

そういった類いの糸が見たいならおばあ様の所に行ってくれと

まあ、そんなおばあ様のあしらいかたを見ていた私はおばあ様に良く似た性格に育ってしまった


ただ、家は糸がめちゃくちゃ張り巡らさられている

緑やら黄色やらお母様とお父様の縁の糸まで見えてしまう


それに、料理長と侍女長がおばあさまがくっつけた二人だとも


おばあ様が亡くなってからは私にその役目が回ってきた


でも、ズルイと思うの

おばあ様は運命の人がおじい様だとわかって結婚したらしい


私には未だその糸が見えない


でも、他の人の運命の糸は見えるの

自分の糸が見えないなんてなんか他の人がズルイと思ってしまう

最近は身分差相談が多い

居るだけいいよね

親からも頼まれたりする。未だ出会っていない運命の糸を結んでほしいと


確かに行く先の見えない糸を望みのまま結ぶことは可能だ

大抵の人は運命の人が現れる事なく結婚してしまう

後から私が結び直すことはないけど自然に…固く結ったはずの糸が運命の人の所に繋がってしまうことだってある


そして、相談が増えるのだ


でも、自然に繋がった糸は私ごときがどうにも出来るものじゃない

私の糸は多分出会ってないのだろう

おばあ様が時期が来れば分かると言ったのだ間違いない


さて、実を言うと私は一人娘だが独りっ子ではない

兄が上に二人いる

最近では弟もできた


なのに兄は私の運命の相手を認めない

私もなぜか知りたいがかわいい妹が苦労する道にいかせたくないらしい


お兄さま達は私の糸が見えるのだという


なぜ私に見えないものを兄達が見えるのか不思議だ


まあ、仕方ないよね私には婚約者がいるし見えても教えてくれないだろう私が第2王子の婚約者なんてあからさまに縁を繋がなくてはならない重要な…いや、貴重な存在なのだから


二つ上の18歳私は今年で16歳だから結婚できる年齢…と言うよりは遅い位だろう

王子の周りには必ず人がいたし私は私で縁を結んでいたし…色々と両者の思惑が一致したのが今らしい

未だにお兄様からは良い顔されないけれど

この婚約をまとめたのがおばあ様と言うところから見ればもしかしたら…なんて思ってしまう


まあ、見た目も普通で性格も年寄くさい私には政略結婚できるだけ良いと思わなければ


小さい頃に会っているらしいけど私の記憶には有りません


そう言えば、あの頃からお兄様方は王子との接触を嫌がって居たわね


と、言っても学年が違うと会う事もないのだけれど…

それより私が気づくとどなたか分からない御姉様が私とすれ違いざまに勝手に転んだりお茶会で質の良いとは言えない服を汚されたと言って帰って行ったりしたのはなんなんだろう?


一年で、私は卒業なので三年のお兄様方お姉様方と同じく卒業パーティーに出席しなければならない


淑女コースだと一年で卒業だからそのあとは王子様と結婚と言う道筋ができているし頑張ればあのお姉様が、王子様と仲良くしているのは糸でわかった


で、なんで私は卒業パーティーで叱責されているのかしら?


しかも、王子様は一言も発していないし他の騎士見習いの方宰相さまのご子息、魔術師筆頭のご子息その方達が私に向かって怒ってらっしゃる

何故に?


「いい加減認めろ!リリムを羨んで転ばせたりおちゃを掛けたことは…」


「…宜しいでしょうか?リリム様と言うのはどなたですか?」


「ふざけるな!!アレク殿下の婚約者だからと言って惚けるつもりか」


だから誰だよその人!

おっと、地が…いけません


「惚けてるつもりはありません。私は淑女コースで、一年だけ学校と言う名の世界の縮図と行儀を習えと父と母に言われてこの学校に来たのですが、普通コースの方々とは校舎が違います。先生に聞いていただけるとわかると思いますが、私が普通コースの本校舎に行くときは先生といつも一緒でした。だから先生に確認していただけるとわかると思います」


「ふざけるな!!リリムが、嘘をついているとでもいうのか!」


「それを確認しろっていってんだろうがボケが」


「ボケ…!?」


「おっと、地が出てしまいましたわ

下らない嘘に塗り固められてるそこの御姉様?無理やり結んだ糸と言うのはいびつな形をしているものです。私の運命に貴女は関わらないだからと言って無理やり結んだ糸は一方的で、私が無視してしまえば少なからず貴女にも周りにも跳ね返りが来てしまうでしょう。

どうにかできない頃になっては私には手が付けられません。どうか真実をお答えください」


「事実よ貴女は私がアレク様と仲が良い事を羨んで転ばせたりお茶をわざとかけたりしたのよ」


アホだ。まず前提として私は真実を話せと言ったのに事実だと言ってあり得ないことを宣ってる


「それが、有り得ないと分からないのですか?」


もうやだこの頭の悪い人!


「ではお聞きします!この中に私と王子様が逢っていたというところを見た方はいらっしゃいますか?」


シーン…と、擬音語を使った方が分かりやすいわね


当たり前。私の婚約者が王子様だと教えなければ気付かない人もいただろうぐらい私達は逢ってない、まあ半分は茶番劇に付き合わされています位の勢いで盛大に欠伸なさってるアレク様そろそろ私は終わらせたいのですが?


ジロリと睨むと笑いながら私の方へ歩いてくるアレク様

それに対しての反応がイチイチうざい!



「幼い時に見せたお転婆さんは直ってないみたいだね?サフィ」


「アレク様も相変わらず女性をからかうのがお好きな様で」


私がはじめて縁を見たときの事を思い出した


そう、一番最初に見たのは自分の運命の相手であるアレク様だったのだ


それを知っているのは王家と辺境伯である我が一家のみ

それを知られたら私に迷惑がかかるからと一切の子供達の間では連絡を取らないようにされていた


ので、私とアレク様の事を知ってるのはごく一部のうえ漸くしっかりと繋がってる私の糸が確認できたのだ


アレク様は幼い時に見せた意地悪な目をして私をたのしそうに撫で付けた


うん、お兄様みたいだけどドキドキするわ


やたらと触りたがるアレク様に私は諦め好きにさせているとリリム様が騒いでいた


私はアレク様の撫で付け攻撃にいっぱいいっぱいで知らなかった


あの後の事後処理が大変だった…らしい


お兄様達が、証拠と証言を集め、王家が処断したと聞いた

馬鹿馬鹿しいので聞き流していたらちゃんと聞こうかと無理やり聞かされて泣きそうになった

それを楽しんで見ていたアレク様はサディストなのかもしれない

いや、むしろそうだろう

結局私達は糸の通り結婚するんだが…

まあ、しあわせだから良いけどね

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