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キャラ設定 あらすじなどは後に投稿します。

「俺様に勝とうなんて一万光年早ぇんだよ!!」


高らかに謳い、襲い来る緑色の怪物――オーク、その最後の一体を切り捨てる。周囲一帯はすでに赤黒い血の海と化し、降り注ぐ陽光を吸い込んでいた。

俺は剣についた血を振り払うと、後ろであくびを漏らしていたエルフの従者――ミンナに声をかける。


「終わったぞ」

「え……あ、お疲れ様です」


ぺこりと頭を下げると、長い金色の髪が左右に揺れる。可愛らしい容姿に少しどきりとするが、あまりにも感情が見えないその顔に俺は憮然とする。


「あのなぁ、ご主人様が敵と戦ってたんだからもっと心配したらどうなんだ?」

「……だって、あんなの相手じゃ傷一つつかないじゃないですか」


俺の身体を上から下まで見回してから、はぁ、と嘆息する。


「心配しろって方が無理な話です」

「それでもあくびはやめろ、あくびは。せめて応援でもしてくれよ」

「……はーい」


ミンナは不満気に言葉を返した後、何か思い出したように顔をあげた。


「そういえば」

「あ?」

「光年は距離ですよ」

「……わかってるよ」


俺は肩をすくめると、オークをその場に放置したままエルフの国へと踵を返した。



「あ、ありがとうございます! 我々だけでは今頃どうなっていたか……!」

「いえいえ、構いませんよ。世の中は助け合いですから」


できるだけ人格者を装い、笑顔で応対する。村長は俺に感動した様子だ。しめしめ、と心の中で意地汚い笑みを浮かべる。

俺の心の内を知ってか知らずか、ミンナは呆れたようにこちらを見つめている。


「どうか、少ないですがこれをお納めください!」


村長の言葉に合わせて後ろの扉が開き、二人のエルフの若者が大きな荷台をもって登場する。荷台には色とりどりの宝石に金貨。それに加えて華やかな装飾品が山のように積まれていた。

その絢爛な光景に思わずごくりと唾をのむ。眼前の欲望に目がくらみ、手を伸ばしかけるが、鋼の意思で自分を律する。


「い……いえ、こんな大層なもの受け取れません!! 私はみなさんの笑顔が見れた、それだけでうれしいのです」

「おぉ、おぉ、なんと……」


涙を流し崩れ落ちる村長に、俺は笑顔で手を差し伸べる。俺を見る村長の瞳には、熱い尊敬の感情が垣間見えていた。

ミンナは変わらず白い目を送っている。


(よし……よし、いい調子だ)


内心でほくそ笑んでいると、村長が懇願するように口を開いた。


「せめて何かお礼を……なんでも良いのです! 私たちにお礼をさせてください!」

「でしたら、そうですね。私たちは旅をしているのです。できれば一晩宿を貸していただけないでしょうか?」

「喜んで、最高級の宿をご用意いたします!」

「おお! それはありがたい! ぜひともお願いします!」


ニコニコと笑みを顔に貼り付けながら頭を下げる。これで、村長の俺に対する評価は最高のはずだ。

あの財宝は少々惜しいと思うが、将来のことを思うと仕方がない。


この積み重ねの果てに――俺がこのエルフの国を支配するんだ!


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