俺、絡まれます。
「広すぎんだろ・・・」
外観では想像できない程に中が広く、全部を見て回れない程の品揃えに感嘆しながら右から順にみて回っている。
「シュウ、何買うの」
「武器は今持ってるこれ以上に強いものなんてないからまずは防具だな」
雪月花より強い武器が売ってるなら見てみたいものではあるが。
「あるじさまは鎧とか着ないんですか」
・・・前々から思ってはいたが二人とも質問の語尾にはてなが付かないよな。まあいいけど。
「鎧はなんか重そうだし動きにくそうだからな」
二人ともあまり感情を表に出さないから仕方ないっちゃ仕方ないのかも知んないけど。
「お。これとかよさそうかも」
話ながら見て回っていると、デザインが自分好みのものを見つけ、手に取ってみてみる。
うーん、うーん。
「・・・どう?」
「うん」
「はい」
・・・どうなんだよ。
「まあいいや、大事なのは効果だからな」
棚の側面部分に値段、付与効果が書かれた紙が貼られてあり、それによって着る装備を選ぶわけだが
「うーん、微妙だな」
防御力アップ中と表記されていた。それでは買い替える意味がないからな。
「虱潰しに見てくと埒が明かないし店員に聞くか」
「どんなものをお探しでしょうか」
店中央にあるレジ兼案内所に行き、男性店員に声を掛ける。
「なんか、軽くて動きやすくて、効果がいいやつ」
大分アバウトな注文だが
「なるほど、それでしたらこちら右手に見える盾のオブジェクトを真っすぐ進んで頂いて、三つ目の曲がり角を左に進んで頂くと、まあ少し値段は乗りますが、良い品質のコートやジャケットなど、防具服としては軽い部類に入る装備が並んでおりますのでそちらを参照されてはいかがでしょうか」
と、かなり的確な案内をしてくれた。
「おー、どうもどうも」
店員さんの素晴らしい対応に感動。
「そんじゃいくか・・・あーいや、ミルと雪月もなんか見たいものあったか?あったら自由に見てきてもいいぞ?」
わざわざ俺の用事で来てくれてるんだしな。無理に連れまわすのは良くないな。
「ん、いい」
「大丈夫です」
「あー・・・んじゃまあいこっか」
お二人さんは食べ歩くことが第一目標で最大の目標なのね。
「へえー」
店員さんに勧められた場所に着くと、さっき見て回った所には無かった、ショーケースのようなものの中に装備が入っており、下から照明が当てられ、「俺は豪華だゾ~」と主張している。
「すごいな・・・」
あまりの華美さに感嘆をしていると
「お客様ぁ~?何かお気に召したものがございましたかぁ~?」
と俺の苦手なタイプの店員さんが手もみしながら話しかけてきた。
「あー・・・特に何も決まってないですけど」
きっぱりと「そういうのいいんで」と言うのも気が引けたからか、躊躇いがちに言うも
「でしたら、こういうのはいかがでしょうかぁ~?」
などと、尚も付きまとい必要としていない説明をし続ける変態的な店員。
ほんと、嫌いだなあ。
装備は人の見た目で選べないだろっての。
やれやれといった感じで店員を軽くあしらいながらショーケース内を冷かしていると。
「ん?」
一つ、ショーケースには飾られているものの、光は当たっておらず、お世辞にも綺麗とは言えない黒いマントのようなコートのような装備があった。
「・・・これは?」
話しかけたくないがやむを得ん。ここは腹をくくってうざ絡みを凌ごう。
「あー・・・。お客様あぁ~?こちらの商品は、ん私が言うのもあれですがあ・・・んっやめておいた方がいいかと・・・ん思いますぅ~ん、えぇ~」
また酷く癖のある喋り方な事で。
「なんで・・・ですか」
敬語も使いたくないなほんと。
「効果はいいんですケドぉ・・・んやめときましょ!」
と力説される始末。
「は、はぁ」
まあ小汚いっちゃあなんだが、綺麗では、というか新品ではなさそうだしな。
・・・でも、なんだろうな。なにか、なにか感じるような。
気のせいか?




