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彼女が僕をなにかで染める  作者: チビタ
1/1

今を楽しく!それが全て!

始めての小説なのでうまくかけるかわかりませんがよろしくお願いします。

一、『ただ生きて、ただ死ぬ』


若い女性教師が指示をした。

「心のなかで一度、三つ数えて下さい。」

確かこれは小学生の頃の道徳の授業の内容だった気がする。僕たちは言われたとおり心のなかで三つ数えた。すると再び教師は話し始める。

「今皆さんが三つ数えている間に、この地球のどこかで誰かが死にました。」

この時、教室が少しざわついたのを覚えている。まぁ、それも当然の事だろう。この日本という恵まれた国に生まれたらそんなことを言われても少し信じがたいものだ。なぜなら僕達がその三秒のうちの誰かに選ばれる気配は全くしなかったからだ。

でも、今思うとこのときから物事はゆっくりと動き始めていた。


それから何年か経って僕は中学生になった。これといった理由はなかったが、なんとなく軽い気持ちで野球部に入った。別に面白くはなかったが放課後の暇潰しには丁度良かった。

あっという間に三年がたち義務教育も終わって、僕は高校生になる。高校でも野球を続けようと思っていたが、たった一年で体育会系の上下間系にうんざりしてやめた。

このときからだった。


僕の『ただ生きる』というスタイルの人生が始まった。





二、ゲーム


僕は成人した。現在フリーターである。そしてきっとこれからもずっとそうだろう。なぜなら別にこれといって困ったことがなかったからだ。一日も休まず毎日バイトして、生活費を払い、残った金をゲーセンで全て消化する。そんな毎日が続いていた。毎日毎日同じことの繰り返しで、自分が何のために生きているのかわからなかった。きっと考えてはいけない。そう思った。そう思い込んだ。


ただ、今日は違った。僕にちょっとしたイベントが発生した。

いつも通り格闘ゲームで時間を潰していると、一人の女性に声をかけられた。

「ねぇ、君いつもここにいるよね?」

なんだろうか。嫌みだろうか。

「ゲーム得意なんですか?」

彼女は見た感じ僕と年が近そうだった。ショートカットの彼女に僕は返答する。

「凄い得意とまではいかないけど、それなりには。」

僕は得意でもないし、不得意でもない。というような曖昧な返事をした。それを気にせず彼女はさらに僕に質問する。

「UFOキャッチャーって得意ですか?」

「別に得意って訳じゃないけど500円位あれば大概何でも落とせると思う。」

それを聞いた彼女は嬉しそうにさらに話を続けた。彼女の話しによると、欲しい賞品があるらしいのだが難しくてとれないらしい。それでいつもゲーセンに通っている僕に代わりに取って欲しいとのことだった。

「別にいいけど。」

「ホントですか!?ありがとうございます!」

そういうと彼女はコインケースから500円取り出そうとした。

「別にお金はとれてからでいいよ。絶対とれるとも限んないし。」

「ホントですか!?ありがとうございます!」

と、さっきと全く同じセリフを彼女は僕に言った。話しによると、彼女の欲しがっている賞品は丸い猫のクッションだそうで、結果僕は800円という先程の宣言の300円オーバーの値段でクッションをてにいれた。それでも彼女は僕にお礼を言った。

「ホントにありがとうございます!それにしても凄いですね~。私 がやったときは、アームが猫ちゃんをなでるだけでだめだめだった んですよ~。」

なでるという表現に僕は少し笑ってしまった。

「おっ!君も笑うときは笑うんだね~ふふふ。」

彼女はやけに馴れ馴れしかった。でも悪い気はしなかった。彼女はなんだか不思議な感じがして面白かった。

ずっと表情の変化がなかった僕のかおは気付いたら、何年か振りに笑っていた。久しぶりに少しだけだけど楽しい時間が過ごせた気がした。


そしてこれが僕と彼女の始めての出会いだった。









ありがとうございました。

続く

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