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黄色いレインコート麗子  作者: ジュゲ
47/85

第四十六話 噂

 レイコ。

 何があった。

 マーさんとの間に何があった?

 彼はわかっていないようにも見えたけど。

 情報が少なすぎる。

 二人の間に何かがあった。

 レイコのあの格好。

 どういう意味なの。

 クラスでは二人の話で持ちきり。

 話題を独占している。

 特にレイコ。

 麗子。

「彼女ってあんなに美人だったんだ!びっくりした!」

「凄い綺麗だね、モデルさんみたい」

「あのスタイル見た?ネットで見たパリコレにいるような体型じゃない?」

「モデルっていうより女優よ女優!今の女優ってああでしょ」

「立ち姿が凄い綺麗・・・凛としてて憧れる」

「ササキってさ未だに本人かどうか疑っているらしいよ、笑う」

「わかる!今回ばかりはササキ先生に同情する。私だって信じられない」

「まるでシンデレラストーリーね!これで王子様が現れたら完璧。現代のシンデレラよ彼女!信じられない」

「でも男がいないとシンデレラにならないじゃない?」

「いるじゃないの」

「ていうか、まさかの女スパイだったりして、だから今まであんな格好してたんじゃないの。バレないように。あれわざとだったのよ」

「またーアンコはすぐ陰謀論にもっていく、あんた好きだね~」

「それよりもあの二人!」

「そうそう!付き合ってるのかな?」

「そうは見えないけどね~」

「あーもー現実が凄すぎて妄想が追いつかないわ~」

「あの二人に何があったの?誰か知らない?」

「ねーねーマイコ彼と仲いいでしょ、教えてよ!」

「本当に知らないの。だってマーちゃん彼女のこと何も言ってなかった」

「マーちゃんだって、あんた何時からそんな仲になったのよ?」

「文化祭の辺りだから最近だよ」

「なんたって彼の友達だもんね」

「あ~ん誰かおしえて~二人の関係が気になって今夜眠れない!」

「ひょっとしたら彼女ってスカウトされたんじゃないの?」

「だとしたら益々現代のシンデレラ・ストーリーじゃない。うっそ、凄い、ありえる!」

「それで急に変身・・・なるほど!それあるかもしれない、多分そうよ!」

「街頭でスカウトされて『君は磨けば光る!』って言われたのかな?」

「いやいや、それおかしいでしょ」

「だよね。だってあのセーラーっていつもの彼女でしょ。洗ってはいるけど。初めて洗ったんじゃないの?彼女いつも臭いから」

「え?でも最近は臭くないよ」

「えー臭いでしょー」

「ちょっとだけ臭い時もあるけど、前ほどじゃないよ」

「スカウトなら新しい服ぐらい用意してくれるでしょ。映画で見たよそういうの」

「わからないわよ~」

「あれってアイロンっていうより、寝押しっぽいね」

「何よ寝押しって?」

「ほら、布団の下に引いて圧力で伸ばす」

「うっそでしょ~いつの時代よ」

「あれ?私・・・時々面倒くさくてやるけど」

「ちょっとあんた横着すぎ」

「やだ」

「だって~」

「いつも思ってたけどなんで彼女の制服ってああなの?」

「制服っていうより、全てじゃん」

「噂だと一年からずっと一着らしいよ」

「うそ~」

「それならボロボロになるよねー毎日だから」

「スカウトっていうより男だと思う。男に美を見出されたのかも・・・」

「あーそれありそー!」

「まさか・・・その相手が彼?」

「うっそ」

「えーーーっ!」

「いや、ないでしょ」

「あー・・・そうね。ないかも」

「だって彼なんかわかってない感じだったし」

「とぼけているんじゃないの?」

「あーありそー」

「あるかなー?」

「二人はなんなの?」

「・・・なんだろう」

「やっぱりソコに戻るわよね」

「何があったんだろ?」

「ねーマイコ知らない?」

「だから知らないって・・・私だって色々ショックなんだから」

「え、なにショックって」

「やっぱり・・・付き合ってるんじゃないの?」

「えーーーっ!」

「ないでしょ」

「うーん、ないね。想像出来ない」

「わかる」

「それはないって言える」

「何マイコ、やっぱり知ってるんじゃないの!」

「ていうか、彼に彼女を紹介したもん」

「え、いつ!どこの!」

「うちの学校じゃないよ。彼から彼女紹介して欲しいって言われて」

「ほら」

「やっぱりね」

「えー、じゃー彼って今フリーじゃないんだ・・・」

「なによ、なんでガチでショック受けてるの」

「私・・・ちょっと興味あった」

「えーーーっ!」

「なんで言わなかったの?」

「だって・・・マイコが仲いいからひょっとしてって・・」

「それはないでしょ」

「マイコはマキ君と付き合ってるって文化祭の時言ってたじゃん」

「カモフラージュなのかと思ってた・・・」

「やだ、うっそ」

「ないない。だって彼と付き合いだしたの四月だから」

「えーーーっ!」

「でも、紹介って言っても友達としてだけど」

「え?」

「ほらー、ワンチャンあるって!」

「でも・・・」

「ナガミネ!ちょっと」

「うん?」

「お前もコクちゃいな」

「え、どういうこと?」

「あんた彼のこと好きなんじゃないの?」

「えーーーっ!」

「え、え、うそ、ちょっと・・・」

「ほらー顔赤くなった図星でしょ」

「違う、これはちょっと待って」

「だってあんた文化祭の後から彼と仲いいじゃない。ていうかあんた彼のことチラチラ見てるでしょ」

「見てない!見てない!」

「あーこれは来てるわ!マーさんブーム再来」

「来てない!来てない!」

「ちょっと待ってよ、じゃ結局なんなの」

「ちょっと纏めないで」

「いいからいいから」

「わからないでもない」

「なんで」

「なんか・・・ちょっと可愛いじゃない」

「あーわかる」

「優柔っぽいけど優しいよね」

「え、そっち?今そっちの話題なの」

「あーわかる」

「でも優柔は駄目よ」

「なんで?」

「面倒くさいよ」

「マイコどう彼?」

「うーん、優柔かもね」

「ほらー」

「優柔はねー」

「そこもいいんじゃない」

「私も彼の優柔は好きかも」

「何マイコ!あんたやっぱり・・・」

「じゃなくて」

「だってあんた」

「優柔だってこと彼わかってるっぽいもん。だから気をつけているよ。それに最後にはちゃんと決められる人だって感じた」

「それじゃ優柔じゃないじゃない」

「いや、気をつけている時点で優柔でしょ」

「だね」

「あーそれならねー」

「んで、どうするのミネコ」

「なにを!」

「ワンチャンあるって」

「ちょっとやめて恥ずかしい」

「恥ずかしいってことは多少なりとも気があるんじゃない」

「だったら言わせてもらいますけど」

「駄目!言ったら許さない」

「なになになに」

「それよりもさ・・・」

「え?」

「何よあんた」

「ちょっといい?・・・こっちこっち」

「え!なになになに」

「あのさ・・・絶対に秘密だよ」

「え!だから何って」

「先に約束」

「するするするする」

「秘密にする」

「する」

「するから早く!」

「え、なに、なんなの」

「・・・」

「ほんとだよ!絶対だからね」

「うんうん絶対」

「・・・ナメちゃん・・・彼のこと好きなんじゃないの?」

「えーーーっ!」

「しーーーっ!」

「いやいやそれはないでしょ~」

「声が大きい」

「私もちょっと感じていた・・・」

「えーーーっ!」

「静かに!」

「ほら。だって最近のナメちゃんって彼とよく話てるじゃない」

「でもナメちゃんって誰とでも話すでしょ」

「んー、そうなんだけど彼だけちょっと違う気がする」

「あ・・・」

「なになになに!」

「わかる気がする」

「教えて教えて」

「なんか彼と話す時だけちょっと感じが違う」

「ないわー」

「え、ありでしょ」

「あの彼女よ、よーく考えて・・・」

「・・・」

「ないか」

「ないわね」

「ないわー」

「でしょ~」

「ないかー」

「彼女って大学生と付き合ってるって話よ」

「えーーーっ!」

「しかも凄いイケメンだって」

「えーーーっ!」

「甘い」

「え、なになになに」

「ササキ先生さ・・・彼女狙ってるでしょ」

「えーーーっ!」

「だから、声!」

「あーわかる。だって態度違うでしょ。彼女にだけ甘いし」

「それいっちゃ~マドレーヌなんか告ったって話でしょ」

「えーーーっ!」

「いや、それ有名でしょ」

「うん有名」

「えーっ?」

「マドレーヌなんてほぼ奴隷ね」

「えーーーっ!」

「私ナメちゃんからマドレーヌが来たら教えてって言われてるし」

「あ、私も・・・」

「あ、やっぱり!」

「うん、シツコイてっ言ってた」

「うんうん」

「あいつに話しかけられてたら何もなくても用事あるふりして呼んでって言われてる」

「あ、やっぱり!」

「私も私も」

「すっごい今更なんだけど、なんでマドレーヌって言われてるの?」

「あれ、ナッちゃんって・・そうか」

「そうだ」

「ヤツがコクった時に、マドレーヌ持っきたから」

「えーーーっ!」

「乙女かよ」

「キモイわー」

「なんでマドレーヌなの。チョイスが謎過ぎる」

「奥さんが洋菓子屋やってるからでしょ。名物だもん」

「えーアイツって奥さんいたの、アレで?可愛いそー奥さん」

「キモイわー」

「でもマドレーヌは美味しいよ。私の身体は半分はあそこの洋菓子で出来ているといっても過言ではない」

「あんた食べ過ぎ」

「出るとこ出てますわー」

「え、あれってそういう食べ物?」

「違うでしょ」

「奥さん可哀想・・・」

「だよね」

「だから少し罪悪感がある」

「言った方がいいんじゃないの?」

「バカ言うんじゃないよ!ショックでお店閉店するようなことになったらどうするの、私もう生きてけない!」

「それほど?」

「それなの?」

「あんたねー」

「そんなに美味しいの」

「本当は内緒にしたかったのに」

「何よあんたケチ臭いわね、前から思ってたけど秘密主義よね」

「よく言うわー」

「だってあの店のマドレーヌ買うの大変なんだから!」

「ごめん・・・今だから言うけど、実は私も・・・」

「えーーーっ!」

「だから、わかる」

「ほらーーーっ」

「だからか・・・」

「なにが?」

「ヤツとしては必殺の品だったのね」

「あーマドレーヌ」

「アユなら落ちてたかもね・・・」

「あー・・・・・否定しきれない自分が怖い」

「やめてったら!怖いわ」

「冗談よ」

「いやわかるけど、ほら見て、鳥肌たった」

「あはははは本当だ、鳥肌ってる」

「私も」

「凄い凄いこっちも凄い」

「あはははは」

「コケーコッコッコッコ」

「あはははは」

「コケー」

「あはははは、やだもう」


 時期を誤ったかも。

 やっぱりチャンスだったんだあの時。

 お陰でもっと彼に近づけなくなっちゃった。

 多分、私も噂されている。

 気をつけてはいたけど薄々気づいているはず。

 このままじゃ彼に近づくのはリスクが大きい。

 格好の的になる。

 昼休み、いつものようにレイコは教室を出た。

 その少し後にマーさんも出た。

 いつもの連中に何か言ってたわね。

「昼は先にとってて、行けたら行く」

 そんな内容だったような。

 後は終えない。

 目立ちすぎる。 

 歯痒いなあ。

 もどかしい。

 万に一つもマーさんとレイコが付き合うことはないとは思うけど。

 あんな恥ずかしい女と付き合いたいと思う人がいる?

 確かに美人だし、ヤリ目的なら一杯いるだろけど、少なくともマーさんはそれが理由でいくとは思えない。仮に思っていても気が小さいし。

 あー・・・でも、わからないか。

 彼、優柔不断だから。

 麗子が命令したら従いそう。

 でも誰が認める?

 誰も認めないでしょ。

 そもそもうまくいくはずがない。

(果たしてそうだろうか)

 今までレイコからはそういう感じは受けなかった。

 でも今日の彼女は違う。

 何か彼女の中で決定的な変化があった気がする。

 あれはマズイ。

 でも彼からは違うものを感じた。冷めたもの。

 でもズレているうちに何か手を打たないと。

 マドレーヌを使うのはリスクが大きすぎる。

 ササキを動かすか・・・。

 いや・・・危ないか。

 出来れば学校と関係ない人を使えれば。

(そうだ・・・)

 元カノがいたわね。

 文化祭で見た。

 その後も一回。

 それがいい。

 情報が入って尚且つ阻害もできる。

 私からしたらあの手の子は扱いやすい。

 あの制服は確か・・・。


 よし。

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