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黄色いレインコート麗子  作者: ジュゲ
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プロローグ

プロローグ


僕のクラスにはシカコとアダ名される女生徒がいる。

校内でも有名人だ。

名前は麗子。痩身で長身。スタイルだけ見たらモデルのようだ。

顔をよく見たことはないけど凄い美人らしい。同じクラスなのに”らしい”というのも変だけど。

何せそんな恵まれた外見なのに・・・彼女ときたら。

髪は長髪で手入れをせずボサボサ。枝毛ワッショイ。一体全体いつ洗髪しているのかも怪しいものだ。

三日やそこいらではないだろう。隣のミツの話だと時々臭いらしいし。

制服も同じようなもの。恐らく着っぱなしだろう。袖も少し擦り切れているようだ。

時折みる表情は能面のよう。

授業中は爆睡。

成績は当然のダントツ最下位。

クラスメイトとの交流は皆無。

身体が弱いのか?よく学校を休む。


そんな彼女だけれども一際輝く日がある。

雨の日だ。

彼女は決まって同じ格好をしてくる。

黄色い雨傘、

黄色いレインコート、

そして黄色い長靴。

他人のファッションにとやかく言えるほどじゃないが場違いも甚だしい。

幼稚園児じゃあるまいし。

どこへ向うのか授業が終わると脱兎のごとく学校を出て行く。

普段の彼女からは想像も出来ない敏捷さで。


誰かに会いに行くのだろうか?

彼氏?

あんな格好で?

援助交際をしていると噂が流れたこともあった。

宇宙人説など。

富高最大のオーパーツ。

いやUMAというんだっけ?

それがシカコだ。

私にとっては興味のない存在だけど。


ある日、


通りかかった幼稚園の前で偶然彼女を見る。

静かに降りしきる雨の中であの姿だ。

間違うはずもないのだけど人違いかと思った。

何かの撮影かもと辺りを見渡した。

元の色がわからないぐらい使い込んだ色の薄くなった黄色の雨傘、

斑に黄色いレインコート。

傷だらけのゴム長靴。

ご丁寧にフードを下ろしている。

意味があるのか?

でもフードの隙間からのぞく彼女の顔をみて全身が震え上がり息を飲んだ。

「美しい・・・」

声が漏れ、鳥肌が立っている自分にも気づかないほどに見とれた。


その日から僕は彼女の事が頭から離れなくなった。


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