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グループ  作者: 山本正純
前編 沈黙の暴行犯
9/21

 1月16日。午前6時40分。岸尾恵は剣道部の朝練に参加するために、四葉学院に向かっていた。朝練が開始されるのは午前7時30分からだが、一年生である彼女は先輩より早く部室に到着して、自主練をしなければならない。自宅から四葉学院までは徒歩で10分も歩けば到着する。


 真面目な彼女は生まれて初めて遅刻することとなる。岸尾恵が自宅から出てきた瞬間、彼女の前に黒いジャンバーに身を包んだ不審な男が現れた。男は血液が付着した金属バットを手にしている。

不審な男の服装は黒いジャンバーに黒いニット帽。スキー用のゴーグルとマスクで顔を隠している。というように岡本宇多を襲った犯人と同一だった。

 自宅の前に現れた不審な男は金属バットを振り下ろす。回避する暇は一切なく、岸尾恵は前方から襲われ、仰向けに倒れた。

 不審な男はマスクの下から不審な笑みを浮かべ、手にしていた金属バットをその場に捨て逃走した。


 午前7時。警視庁捜査一課3係のメンバーは岸尾恵が襲われた現場に臨場した。しかしそこに沖矢の姿はいない。その頃沖矢は意外な人物からの電話を受けていた。

「用件を早く言ってもらいたいのだよ」

『お土産は何がいいかを聞こうと思ったのよ』


 電話の相手の声は意外な人物。浅野房栄公安調査庁長官だ。

「それはあなたの娘さんに聞けばいいのだよ。こっちは出動要請が来ているから、電話を切るのだよ」

『そういえば捜査一課3係は岡本郁太のご息女が暴行された事件の捜査をしているそうね。出動要請ということは第二の暴行事件が発生したのかしら』

「そうらしいのだよ」

『それなら面白いことを伝えようかしら。昨日遠藤アリスから岡本郁太のことを恨んでいる人物がいないのかを捜査一課3係の木原巡査部長が聞いてきたから。彼のことを恨んでいる人物は一人もいないけど、彼には黒い疑惑があるのよね』

「それはどういうことなのだよ」

『彼は毎日のように政界の会合やパーティーに参加しているのよ。その会場で彼は指定暴力団流星会が政界に送り込んだスパイだと噂される潮岸昭宏と密会していたそうよ。潮岸は3か月前に所轄署に自首したそうだけど』

「なるほど。この暴行事件には流星会が絡んでいると合田警部が言っていたから、その情報は説得力があるのだよ」

『それで話は変わるけど、ハワイのお土産はアロハシャツでいいかしら』

「それで構わないのだよ」

『お揃いのアロハシャツにするから、捜査活動に参加しなさい』

「それでは失礼するのだよ」

 沖矢は電話を切る。彼は遅刻したが、浅野房栄公安調査庁長官からの情報を得ることができた。

 沖矢は急いで現場へと向かう。


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