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グループ  作者: 山本正純
前編 沈黙の暴行犯
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 2012年9月上旬。組織犯罪対策課は直後に発生した流星会アジト爆破事件で入手した指定暴力団流星会のアジトを手当たり次第に捜査していた。

 あの日望月裕子は部下の須田哲夫警部補と共に渋谷にある流星会アジトに突入した。

 幹部クラスの構成員はそのアジトにはいなかったがそこで彼らは思わぬ物を発見する。

 アジトの床でその少女はうつ伏せに倒れている。須田が脈を測ってみたが、脈はなかった。それは少女の遺体であったことは明確だった。


 少女の服装は黒いセーラー服。それは四葉学院の制服。特に目立った外傷がなく、縛られた後もなかった変死体を発見した望月たちは監察医を現場に呼ぶことにする。

 監察医が到着する間望月たちは遺体の身元を特定するために捜査を開始する。現場近くに落ちていた鞄には学生証が入っている。

 須田は鞄から少女の学生証を取り出す。

「被害者は御坂妙子みさかたえこ。17歳。四葉学院に通う高校2年生ですね。制服が四葉学院の物であったのでもしかしたらと思いましたが」

「それで死因は。死因があれじゃないと、また捜査一課との縄張り争いになりそうですが」


 望月は現場を検証する須田に質問する。

「大丈夫ですよ。司法解剖してみないと詳しくは分かりませんが、死因は中毒死ということにすれば」

 その須田の見立ては正しかった。到着した監察医の判断は中毒死だったのだから。


 翌日望月裕子は監察医の報告書を組織犯罪対策課の一室で読む。その報告書を読みながら望月裕子は呟く。

「この死因なら捜査一課が入る余地はありませんよね。死因は麻薬中毒死」

 残る謎はなぜ御坂妙子は渋谷の流星会アジトで中毒死したのか。捜査を進めていくと組織犯罪対策課の刑事は衝撃の事実を知る。

 それは四葉学院の学校裏サイトで麻薬の売買が行われていると言う物。


「なるほど。この学院内にある麻薬売買ルートを特定するために捜査しているということか。ところで野島創が再捜査だと言っていたが、それはどういうことだ」

「捜査が打ち切られたから。御坂妙子の指紋が付着した注射器を所持した流星会幹部潮岸昭宏しおきしひろあきが渋谷警察署に自首してきたから。確かその対応をしたのは所轄の櫻井幸一郎刑事だった。潮岸の証言によると幹部がアジトに招き入れて、麻薬を注射したら中毒死したとのことでした。それで怖くなって注射器を持って逃げ出したそうです。つまり四葉学院内の麻薬売買ルートを特定することなく中毒死事件は解決したということです」

「だから再捜査か。四葉学院の生徒が暴行されたことを口実に麻薬売買ルートを特定するために。それで、このことを千間刑事部長には話したのか」

「いいえ。聞く耳を持ちませんでした。所轄署との合同捜査と組織犯罪対策課の縄張り争いが重なったら面倒なことになるからでしょうけどね」


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