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グループ  作者: 山本正純
前編 沈黙の暴行犯
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 1月15日。警視庁に女子高生暴行事件の捜査本部が設置された。捜査本部の指揮を執るのは千間刑事部長。警視庁の会議室に合田たち捜査一課三係のメンバーと事件が起きた渋谷署刑事課刑事が集まる。

 会議室のセンターに設置された幹部席には千間刑事部長と喜田参事官の2人が座っている。

「早速だが第一回捜査会議を始める。まず被害者は岡本宇多。17歳。都内の名門四葉学院に通う女子高生で剣道の都大会で優勝をする実力者。父親は国土交通省幹部の岡本郁太おかもといくた。被害者は現在東京都警察病院で入院生活をしている。これが被害者情報だ。次に所轄の櫻井。犯行当時の状況を説明してもらおうか」


 櫻井幸一郎は椅子から立ち上がり、報告書を読み上げる。

「周辺住民に聞き込みをした結果犯行直前直後共に不審者を目撃したという証言はなかった。被害者を病院に搬送したが、被害者は重傷を負っていたため、詳しい話を聞くことはできなかった。現場からは犯人に繋がる遺留品は発見されていません。以上です」


 すると会議室に北条が入室した。彼は報告書を手にしている。

「千間刑事部長。犯行手口が分かりました」

「それは分かっている。犯人が被害者を何度も殴っている所を櫻井刑事が目撃したからな」

「それは犯行に一部に過ぎません。これを見てください」

 北条は会議室にあるパソコンを操作して、画像をモニターに映し出す。そこには被害者の全身の写真が映し出された。


「被害者の打撲痕は数十カ所。背後に後頭部しか打撲痕がなかったことから、犯人は被害者を背後から襲い気絶させたと言えます。そして犯人は被害者を仰向けに寝かせて暴行を繰り返しました。現場には被害者をうつ伏せの状態から仰向けに寝かせた痕跡が残っています。それから犯人は顔を中心的に被害者の体を殴ったようです。それも打撲痕から素手ではなく、金属バットのような物で何度も」

 

 それを聞き櫻井幸一郎は手を挙げた。

「そうです。私は見ました。犯人が金属バットで何度も被害者を殴っている所を」

 喜田はその証言を聞き拍手する。

「素晴らしい。見事な証言です。しかしあなたは犯人に逃げられた。それは立派な失態でしょう。証言をすることで名誉挽回しようとしているようですが、その失態は変わらない」

「私は仲間の刑事と連携して犯人を捕まえようとしました。その責任は私だけの物ではないでしょう」


 抗議が白熱しかけた時、千間刑事部長は大きく咳払いした。

「兎に角犯人は国土交通省幹部のご息女を襲ったのは事実。捜査方針として岡本郁太を恨んでいる人物の犯行を視野に入れて捜査する。早急に犯人検挙を行ってほしい」

 

 捜査会議が終了し、刑事たちは一斉に立ち上がる。その中で木原と神津はイライラとしている千間刑事部長を見ながらひそひそ話を始めた。

「なぜ刑事部長はイライラとしているのでしょう」

「所轄署との合同捜査になるのが嫌だったんだろう」


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