あるアラサー女子の恋もよう♪ 閑話6.初恋の味というよりは…
ご無沙汰しておりましたー!「初恋ショコラ。ケーキとぼくのキス、どっちがすき?」あの二人の相変わらずだけど、ちょっと進んだ先のお話。ご賞味あれー。
「う…わぁぁ。これはコレは…」
午前中の外回りの後、昼食を買おうとふらりと立ち寄ったコンビニで、そのポスターを発見した私は、吸い寄せられるようにその商品棚の前に向かっていた。
『こらこら…先に飯でしょう?そんなの食べたら、また飯が入らなくて栄養失調みたいになりますよっ』
むっ…。
「ちゃんとご飯も食べますぅ〜!ご心配なくっ!牧くんは、自分のご飯の心配だけしてればっ⁈」
むくれた私の顔を見て『…はぁ…ハイハイ』と言いながらも、牧くんは私の腕をつかんで問答無用とばかりにお弁当コーナーへ連れて行こうとする。
「ちょっ…もうせっかくだから、ポスター写メしたいのにっ!」
あっと言う間の期間で、あのアイドルたちのポスターは掲示されなくなるんだからっ!
「貴重なのっ!」と、腕を振り切って戻ろうとする私。
駄々をこねる子供をあやすかのように、飄々と前を向いてお弁当コーナーへと引っ張っていく牧くん。
さながら、おもちゃコーナーで繰り広げられる親子の光景…。
幸い会社から離れたコンビニのため、同僚に見られるコトはなかったが。後で思い起こすと…ちと恥ずかしい。
「いいよ〜。うん。その表情!イイねぇ〜」と、an○nのカメラマンかっ⁈とツッコミいれたくなるようなセリフを吐きながら、表情やポーズを変える訳がないポスターを、写メっている私の横で、牧くんが呆れながら待ってくれている。
結局、根負けした親が子供の気が済むまで、じっと見守っている感じ。
ただ、親と違うのは…
『…ったく。何が「ケーキとぼくのキス、どっちがすき?」ですか。アイドルに会ってキスできないなら、比べられようがないでしょうが。だいたいそれが食べたくて買うのか、そのアイドルがCMしてるから買うのかどっちなんですかねぇ…』ブツブツ…と文句を垂れているコト。
「何よう。いいじゃないの〜。“初恋ショコラ” って言う甘〜いネーミングと、このパッケージのオトナな感じがあいまって…何とも女心をくすぐってくれちゃう。それにイケメンがヤキモチ焼いてくれちゃうくらい美味しいの?んもぉ!食べちゃうぞっ!って言うこの感じ?分からないかなぁ〜♪」むふふ…。透明のケースに黒い蓋がしてあり、それに金のリボンがかかっているシンプルだけどシックなパッケージをナデナデ…。
と、一人で出来上がりつつある私に牧くんがムッとした後、ニヤッと笑いそっと近寄って私の耳元で囁いた。
『それ俺も食べましたけどね。初恋の味というよりも………』
ぼっ!
ぎゃーーーーーっ!!!
もぅなんてコト言うのよっ!
なんてコト言うのよーーーっ⁈
『さっ。飯買って帰りましょう』
真っ赤になってバシバシと牧くんを叩く私を、満足気な表情で楽しそうに引きずりながら、牧くんは、お弁当コーナーへと向かっていった…。
その後、何度かコンビニに寄って“初恋ショコラ”を買おうとしたのだが…その度に牧くんの言葉を思い出しては赤面…断念…を繰り返し。
結局私は、“初恋ショコラ” を買うことは出来なかった。
「こんなコトなら…あなた(牧くん)のキスのがすきー。とか言っとけば良かったのかなぁ…?」
がっくりと肩を落として、独りごちながら、私はコンビニを後にするのだった。
『ふん…。初めっから、そう言えばいいのに。まっ。俺はこの味は好きだから買うけどねー♪』
ピッ『210円になりまーす』
本編滞り気味なので…私の生存確認も兼ねて…。春隣豆吉さまと、トムトムさまの共同企画に便乗させて頂きましたー。気長にお待ち頂けると幸いです。