うまい棒
二月三日の事。ぼくは友達とコンビニへ寄った。
彼はそこで売っている肉まんが大好物で、「寒いからもう帰ろうよー」と体を震わせるぼくに、「肉まん食えば暖まるだろ」と無理やり引っ張って来た。まったく、なんて理屈付けだろう。
仕方なく肉まんを買うことにしたぼくは、会計を友達に任せて店内をうろついていた。
「ありがとうございました!」という声が聞こえたころ、ぼくは商品棚のすみっこに『うまい棒』を見つけた。
改めて見ると、本当にいろんな味があるんだなぁ。そんなことを思っていると、そこに何か注意書きが貼ってあるのに気がついた。
ぼくは大爆笑した。
「おい、なに笑ってんだ?」
肉まんを買い終えた友達が、不審者を見るような目を向けた。普段感情をそれほど出さないぼくが、腹を抱えて笑っていることに驚いているらしい。
「いいからこれ見て、見て!」
ぼくは彼の手をグイッと持ってきて、目的の場所を指差す。
彼は、あごが外れそうなくらい口を開けて、大声で笑った。
そこには赤いマジックペンで、『この商品は恵方巻ではありません』と書かれていた。
後輩の体験を参考にしました。