妹の結婚祝いに、私の爵位を返してもらいます
「妹の結婚祝いには、わたくしの爵位を返していただきます」
そう告げて、私は父の手から紫の贈答箱を受け取った。
妹エミリーの婚礼披露宴は、乾杯の直前だった。
百人の客が見守る大広間で、楽団の弓が宙に止まる。花婿オリヴァーは驚いて立ち上がり、妹は白薔薇の花冠の下で目を見開いた。
箱は重かった。
金貨でも宝石でもない。黒檀の柄に銀の牝鹿を彫った、ウィンスレット伯爵家の爵位印が入っている。
母が死の床で、九歳の私へ残したものだ。
「ヘンリエッタ。何を言っている」
父は笑顔の形を保ったまま、低く言った。
「それはエミリーの婚家、ハルデン子爵家への贈り物だ。箱を戻しなさい」
「中身を確かめても?」
「祝いの席だぞ」
「ですから、贈り主と所有者を間違えてはいけません」
留め金を外す。
深紅の天鵞絨の上に、銀の牝鹿が横たわっていた。印の柄には、母の爪でついた細い傷がある。見間違えようがない。
広間がざわめいた。
父は先ほど、この箱を掲げて宣言したばかりだった。
『愛する次女エミリーへ、ウィンスレット伯爵領と、その尊き称号を贈ろう。両家は今日より一つとなる』
まるで自分の所有物を気前よく分けるように。
「お父様は、私が二十一歳になるまで伯爵領を代理管理する方でした。私は先月、二十二歳になりました」
「お前は体が弱く、領地経営の経験も足りない。代理期間は必要に応じて延長できる」
「できません」
広間の末席から、淡々とした声が飛んだ。
系譜院書記のローワン・フェルドが、書類箱を抱えて立っていた。焦茶の髪も地味な灰色の礼服も、色鮮やかな婚礼客の中では紙についた小さな句読点のようだ。
けれど私は、この一か月、その句読点を頼りに母の遺言を読み直してきた。
「ウィンスレット伯爵位は、先代伯爵アデライン様の直系第一子へ継承される女系爵位です。配偶者に管理権はなく、未成年の継承人についてのみ、成人日まで後見人を置くことができます」
ローワンは書類箱を卓上へ置いた。
「部外者が口を挟むな!」
「本日は婚姻登録のため、系譜院から正式に派遣されております。爵位を婚姻条件として記載なさるなら、確認は私の職務です」
父が私を睨む。
「最初から、この祝いを潰すつもりだったのか」
「いいえ。爵位印がこの箱へ入っていると知ったのは、先ほどです」
これは本当だ。
父が私の成人後も印を返さないため、私は系譜院へ相談した。ローワンとともに遺言、出生記録、後見登録を調べ、今日の婚姻証書に伯爵領が書き込まれていないか確認する準備をした。
けれど、父が披露宴の余興として爵位そのものを贈るとは思わなかった。
「私は今日まで、お父様から返還の意思を伺うつもりでした。でも、皆様の前で譲渡を宣言なさった。ですから皆様の前で、私の意思も申し上げます」
私は箱から爵位印を取り上げた。
「返してください。私の名と、私が負うべき責任を」
◇
父が代理管理を続けたがった理由を、私は知らなかったわけではない。
母アデラインは、生きているときから領地のすべてを決めていた。父は伯爵配偶者として王都の社交を担い、華やかな夜会を開いた。母の死後、父は初めて銀の牝鹿印を手にし、人から「伯爵閣下」と呼び間違えられるようになった。
訂正しなかった。
私も訂正しなかった。
十五歳の私は、父に言われたのだ。
『お前が表へ出れば、母を思い出して皆が悲しむ。体の弱いお前は勉強だけしていなさい。エミリーには明るい家を残してやろう』
母を亡くしたばかりの私は、その言葉を優しさだと思った。
帳簿を読み、農業書を学び、領民から届く嘆願書へ回答案を書いた。けれど、父の署名で送り出されるたび、私の仕事は父の実績になった。成人の日も、父は「あと一年だけ」と言った。
そして今、その一年を妹の婚姻へ売ろうとしている。
「姉様」
エミリーが席を立った。
私は爵位印を握る手に力を入れた。妹を責めたいわけではない。だが、また泣かれれば譲ってしまうかもしれない自分が怖かった。
妹は幼い頃から、欲しいものを口にするのが上手だった。新しい帽子も、乗馬の時間も、父の隣の席も。私は長女だからと笑って譲った。
その代わり、エミリーが私から奪ったのだと思えば楽だった。
「この結婚に、伯爵領が必要だと知っていたの?」
私が尋ねると、妹の顔が白くなった。
「お父様から、姉様が領地の一部を祝いにくださると……。姉様は領地経営より研究がお好きだから、喜んでいると聞きました」
「私へ確かめなかったのね」
「……はい」
父がすぐに割って入る。
「エミリーを責めるな。家族のものを家族で融通して何が悪い。姉なのだから、妹の幸福を――」
「お父様、黙って」
エミリーの声だった。
父だけでなく、私も驚いた。
妹は花冠を外し、卓上へ置いた。いつも父へ甘えるときの柔らかな顔ではない。
「姉様。私は確かめませんでした。お父様の話は、私にとって都合がよかったからです。オリヴァー様と結婚できるなら、姉様も祝ってくださるはずだと決めつけました。ごめんなさい」
それは短い謝罪だった。
けれど、父のせいにして逃げない謝罪だった。
「謝罪は受け取るわ。爵位は渡さない」
「はい」
エミリーは泣かなかった。
父が苛立たしげに杖で床を叩く。
「ならば婚礼はどうなる! ハルデン子爵家は、ウィンスレット領との結びつきを条件に、この縁談を受けたのだぞ」
すべての視線が花婿へ向いた。
オリヴァーは二十三歳。橋梁設計を学び、私の領地を流れるリュート川へ新しい橋を架ける計画を持っている、と妹から聞いていた。
けれど父親のハルデン子爵は、領地を持たない三男へ財産を得させるため、この婚姻を望んでいた。
「オリヴァー」
エミリーは彼を見た。
「私が持っているのは、母からもらった宝飾と、年間金貨百枚の信託だけです。姉様の爵位も、領地も、橋の発注権も持っていません。それでも今日、私と結婚しますか」
オリヴァーはすぐに答えなかった。
その沈黙を、妹は奪わなかった。
「考えてください。今すぐ立派な答えを言わなくていい。でも、父親たちの約束を愛の言葉に言い換えるのは、もうやめましょう」
「エミリー……」
「私も同じことをしたから、分かります」
オリヴァーは唇を噛み、父である子爵を見た。子爵は険しい顔で首を横へ振った。
やがて彼は婚姻証書を手に取り、系譜院の書記卓へ歩いた。
「フェルド書記。領地条項を削除すれば、今日の登録はできますか」
「お二人が自由な意思で署名し、必要な証人が揃えば可能です」
「待て、オリヴァー!」
ハルデン子爵が怒鳴った。
オリヴァーは父から贈られた指輪を外した。
「父上。私は橋を設計できます。土地がなければ働けばいい。ですが、エミリーの姉から奪った土地で最初の橋を架けたら、私は一生、自分の設計を誇れません」
エミリーは目を潤ませた。それでも彼の手へ飛びつかず、もう一つ尋ねた。
「子爵家を出ても、私へ不満をぶつけませんか」
「ぶつけない、と今約束するだけでは足りないだろう。だから婚礼を三か月延期してほしい。自分の仕事と住まいを決めて、その後でも君が私を選べるなら、もう一度求婚する」
「分かりました。私も三か月、自分の信託だけで暮らします」
妹は自分で花冠を卓上へ置いたまま、婚礼衣装の裾を整えた。
「本日の婚姻登録は中止します。披露宴のお料理は、もうできていますからいただきます。祝い金はすべてお返しします」
何人かの客が吹き出した。張りつめていた空気が、少しだけほどける。
父だけが青ざめていた。
「お前たちは何も分かっていない。爵位がなければ、人は言うことを聞かない。家族を守れないんだぞ」
「では、お父様は爵位をお持ちでないから、私たちが言うことを聞かないのですか」
私が返すと、父は言葉を失った。
◇
「継承宣誓を請求なさいますか」
ローワンが聞いた。
ここで私が請求すれば、披露宴は完全に伯爵位の儀式へ変わる。
父の顔を潰す。妹の結婚が延期された日に、私だけが爵位を得る。明日には、冷酷な姉だと新聞へ書かれるだろう。
「姉様」
エミリーが私の手を取った。
「私のために、また待たないで」
幼い頃、私が譲った青いリボンを、妹は今も持っている。今日の婚礼衣装の内側にも、細く縫い込まれていた。
「でも、今日はあなたの日よ」
「だからです。私が自分の結婚を選び直した日に、姉様も自分の人生を選び直してください。それが一番うれしいお祝いです」
私は目を閉じた。
選ばないことも決断だと思ってきた。誰かが傷つくなら待つ。父の機嫌が直るまで、妹が幸せになるまで、領地の準備が整うまで。
けれど待つたび、私の人生を使う権利が、少しずつ他人の手へ移った。
「請求します」
私は目を開いた。
「先代伯爵アデラインの第一子、ヘンリエッタ・ウィンスレットとして、成人に伴う継承宣誓を請求します」
「承りました」
ローワンは一礼した。
彼は私の代わりに勝ち誇らなかった。ただ書類箱から、母の遺言書、私の出生証明、後見終了日の記録を一枚ずつ取り出した。
系譜院の青い紐で綴じられた原本だった。
「遺言を読み上げますか」
判断を私へ返す声だった。
「お願いします。省略せずに」
ローワンが封蝋を確認し、母の言葉を読み上げる。
『伯爵位を長女ヘンリエッタへ。土地を所有する権利としてではなく、土地に住む人々へ説明する責任として継がせる。夫グレアムを成人までの後見人とするが、売却、譲渡、婚姻条件への組み入れを禁ずる――』
父が顔を背けた。
続く会計記録には、私の成人後も父が伯爵領の収益から王都屋敷の宴会費を支出していたことまで残っていた。ローワンは声を強めず、事実だけを読んだ。
私は広間の中央へ進み、爵位印を両手で持った。
「私は、ウィンスレット伯爵領を私物としません。領民の税を預かり、その使途を示します。爵位を家族の愛情と交換せず、婚姻の餌とせず、次代へ損なわず渡すことを誓います」
あらかじめ考えていた言葉ではなかった。
今日、妹が自分の結婚を選び直す姿を見たから生まれた誓いだった。
ローワンが継承台帳を開く。
「伯爵印を」
私は銀の牝鹿を朱肉へ下ろした。
白い紙へ、鮮やかな赤の紋章が残る。
「系譜院は、ヘンリエッタ・ウィンスレットを正統な伯爵と確認します」
拍手を最初にしたのは、エミリーだった。
次にオリヴァー、母の代から仕える家令、領地から来ていた商人たち。やがて大広間いっぱいに音が広がった。
父は拍手をしなかった。
けれど、もう父の拍手は必要なかった。
◇
翌週、私はウィンスレット領へ入った。
父は王都屋敷へ残った。代理管理権を失い、監査で私的流用と認定された宴会費は、父個人の年金から分割で返すことになった。住まいと慎ましい生活費までは奪わなかった。
父が失ったのは暮らしではなく、他人の名で命令する権利だ。
私が得たのは、命令する快感ではなかった。
就任初日から、リュート川の堤防補修、病院の雨漏り、羊毛価格の下落が待っていた。母の机へ座っただけで答えが浮かぶはずもない。
「伯爵閣下。三年前の氾濫記録です」
ローワンは系譜院の出張調査という名目で、まず一か月の予定で領地へ来てくれた。
「私を閣下と呼ぶのね」
「公文書の前ですので」
「二人きりでも?」
「壁に耳があるかもしれません」
彼は真面目な顔で壁を見た。古い壁紙が一枚、ぺろりと剥がれた。
「雨漏りだけでなく、耳まであるの」
「修繕予算へ加えましょう」
笑うつもりではなかったのに、私は声を立てて笑った。
ローワンは候補ごとの費用と、後から方針を戻す場合にかかる年数を同じ紙へ並べた。結論欄だけは空白だった。
堤防を石で固めるか、氾濫原を牧草地へ戻すか。技師と農民の意見が割れたときも、彼は古い地図を並べるだけだった。
「あなたはどちらが正しいと思う?」
「系譜院書記としては、判断権がありません」
「ローワン個人として」
彼は少し考えた。
「正しさより、十年後に間違いと分かったとき戻せる方を選びます。石壁は壊すのに金がかかる。牧草地なら、用途を変えられる」
「では、私はその意見も材料にして決めます」
私は川沿いの三地区を牧草地へ戻し、家屋の移転補償を出した。最初は反対も多かったが、翌春の増水で牧草地が水を受け止め、町は浸水を免れた。
河川記録と代理管理期の監査まで調査範囲が広がり、ローワンの出張は系譜院の承認を得て月ごとに更新された。
ローワンは報告書の表紙へ、こう記した。
『発案・決裁 ヘンリエッタ・ウィンスレット伯爵。資料調査 系譜院書記ローワン・フェルド』
「あなたの助言も大きかったのに」
「助言と決断を混ぜれば、失敗したとき責任が迷子になります」
「成功したときも?」
「もちろんです」
母の机で仕事をする私を、父は自分の延長として扱った。
ローワンは、私の名前を私の仕事へ返してくれた。
◇
三か月後、エミリーは王都で小さな婚礼を挙げた。
オリヴァーは子爵家を出て、王立工務院の橋梁技師として採用された。最初の仕事はウィンスレット領ではなく、反対方向の湿地に架ける木橋だった。
エミリーも信託だけで暮らす間、得意だった刺繍を図案にして売り始めた。貴族令嬢の余技ではなく、一枚ごとに値をつけた仕事にした。
「姉様。これを受け取って」
婚礼前夜、妹は古い青いリボンを差し出した。
「返さなくていいわ。あげたものだもの」
「では、これを使った手袋を姉様へ贈らせて。今度は、姉様が欲しい色を聞いてから作る」
「紺色がいいわ。仕事で汚れが目立たないもの」
「実用一辺倒ね。銀糸で牝鹿を入れます」
「それなら欲しい」
私たちは、ようやく贈り物の話をできた。
私は妹へ、伯爵領でも爵位印でもなく、私個人の財布から小さな製図机を贈った。オリヴァーと同じ机へ座らず、自分の図案を広げるための机だ。
婚礼証書に爵位や土地の条項はなかった。
署名を終えた妹は、花冠の下でまっすぐ笑った。
「姉様。今度の結婚祝いは、とても軽いわ」
「机はかなり重かったけれど」
「そういう意味ではありません」
◇
伯爵位を取り戻して一年後、ローワンの出張期間が終わった。
駅馬車の前で、私は彼へ褒賞金の証書を差し出した。
「受け取れません」
「なぜ? あなたの働きに見合う額よ」
「系譜院から給与を受け取っています。それに、爵位回復の褒美として私へ金を与えれば、あなたが正当な権利を買い戻したように見える」
「相変わらず、意味の悪い贈り物には厳しいのね」
「記録は長く残りますから」
彼が馬車へ乗る。
引き止めたいと思った。けれど、その理由を仕事へ言い換えるのは卑怯だった。
「ローワン」
名前を呼ぶと、彼が振り返った。
「次の氾濫記録を調べる必要があるの。来春、また出張を――」
「それは後任へ引き継ぎます」
あっさり断られ、胸が痛んだ。
彼は少し困ったように続けた。
「私が残りたい理由を、職務に偽装したくありません。あなたのそばにいたい。ですが今の私は、伯爵家へ出入りする担当書記です。その立場で言えば、あなたへ断りにくい返事を求めることになります」
先に言われてしまった。
「だから異動願いを出しました。認められれば、次に会うときは担当ではありません。そのとき、もし迷惑でなければ――」
「待って」
私は馬車の踏み台へ片足をかけた。伯爵らしい優雅さはなかったが、彼を遠くから見上げるよりましだった。
「あなたはいつも、決断を私へ返してくれたわ。今も、異動が決まるまで私に待たせて、自分だけで条件を整えるつもり?」
「不公正を避けようと」
「では公正にしましょう。私はあなたの異動へ口を出さない。その結果にかかわらず、今ここで、ヘンリエッタ個人として交際を申し込みます」
ローワンが瞬いた。
「褒美ではありません。爵位印を返してくれたからでもない。失敗したときに資料を隠さないところも、壁紙に耳を見つけるところも、私の名を私の仕事へ書くところも好きです」
「伯爵閣下、それは――」
「公文書の前ではありません」
「ヘンリエッタ」
初めて呼ばれた名前は、印章よりも重く胸へ落ちた。
「私もあなたが好きです。決断の前に、分からないと言えるところが。決めた後は、批判から逃げないところが」
「では、返事は?」
「喜んで。まず交際から」
「ええ。結婚条件は、一年かけて二人で作りましょう」
ローワンは馬車から降りた。見送りの人々がいる駅前で、私たちは口づけの代わりに握手をした。
けれど彼の親指が、紺色の手袋に縫い込まれた銀の牝鹿をそっと撫でたので、握手よりずっと甘かった。
◇
さらに一年後、系譜院の継承台帳へ新しい一行が加わった。
『ヘンリエッタ・ウィンスレット伯爵、ローワン・フェルドと婚姻。伯爵位および領地管理権は婚姻前後を問わず伯爵本人に属する。配偶者は系譜院職を継続し、互いの職務へ命令権を持たない』
最後の条項は、二人で決めた。
婚姻の証人欄にはエミリーとオリヴァーが署名し、父の名はなかった。招待状は送ったが、父は来なかった。それも父自身の選択だ。
「印をお願いします」
系譜院の担当書記が、私へ台帳を向けた。今では別管区の監査官となったローワンは、役人席ではなく私の隣に立っている。
「あなたが押してはくれないの?」
「今日は私も当事者です。それに、これはあなたの爵位印です」
「そうだったわね」
私は銀の牝鹿を朱肉へ下ろした。
あの日と同じ赤い紋章が、今度は二人で選んだ婚姻の下へ残る。
担当書記が台帳を閉じると、ローワンは監査官ではない顔で私へ手を差し出した。
「帰ろうか、ヘンリエッタ」
「ええ。私たちの家へ」
爵位は、誰かを幸せにするため差し出す贈り物ではない。
私が責任を引き受け、次代へ渡すまで預かるものだ。
だから妹の結婚祝いの日、私はそれを取り戻した。
そして自分の結婚の日には、何一つ奪われず、何一つ奪わず、ただ私の意思で愛する人の手を取った。
お読みいただきありがとうございます。
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