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結ぶと解く  作者: ながずぼん
第六章 確立編
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第98話 節介と作戦

 送迎はアオイさんが抜けたので、ユイさん、ナオさん、ユキさん、メイさんの4人がデフォルトになった。ユイさんを最初に送るので一番に帰れていたナオさんから文句が出るかもと思ったが、10分も変わらないので気にしていないようだった。

 オンナのコを店に届けたらバックルームにいたアヤママに、助っ人が確保できたと伝えるとすごく驚いていた。そしてホッとしていた。

 このまま誰が来るのか言わないでいたほうが楽しそうだったけれど、ママの心構えもあるのでクスメギが来ると言ったら、もっと驚いていた。で、嬉しそうだった。

 みんな店内に出払っていたので余計なお世話を焼くことにした。


「いちおうクスメギから経緯は聞いているんですよね。ママが能力のせいで交際を断ったって話。でもおれ思うんですよ、そんなの関係ないじゃんて」


「えっ、関係ないって…」


「覗きたくなる気持ちはわかるんです。覗けるんだから。だったらそれを口にすればいいんじゃないのかなって。どうして?とか本当に?って。二人にはそれが当たり前になればいい。それを鬱陶しいとか煩わしいとか思わないですよ、あいつ」


 ママは真剣な顔で思案している。おれの言っている話が自分にできるのかどうか。

 なのでアサガオさんについて簡単に話をした。まずおれに対して「覗けないなら話をするしかない」と長い時間お互いの話をして理解する姿勢を示したこと。

 おそらくアズマ教授に対しては普段は能力を使っていないであろうこと。それは思ったことを口に出しているから。だから彼も寄り添っていられるだろうと。

 最後に、たぶんアサガオさんは思考操作もできるだろうし、使ったこともあったのだろうけど、本当に好きな人にはそんなことしなかっただろうと。


「もしもママに思考を操る能力があったとして、好きな男を能力で惚れさせます?」


「そんなこと絶対にしないわよ。だってそれはもう恋でも愛でもなんでもないじゃない。その人が自然にしているところを私が好きになるのか恋でしょう?」


「もう自分で答えを言ってるじゃないですか。もういっぺんあいつと向き合ってみてくださいよ。今回は一ケ月もずっと一緒なんですから」


 おれは男女の機微なんてわからない。わからないけれども、この二人のモヤモヤした恋愛にはどうしても決着がつけたい。おれがすっきりしたいだけ。

 言うだけ言ってママを残して店に出た。


―――――


 店終わり、4人を乗せて送りに出る。最後のメイさんを送っているときに「最近コンビニに寄らないね」と言うと「だってハナちゃん忙しそうじゃん」と言われる。

 「アオイさんのお店の仕事があったから」そう言い訳をすると「じゃあ、寄ってく?」と嬉しそうな返事が返って来た。「きょうムシャクシャしてたんだよね」とその理由を添えて。ああ、嬉しそうなのは愚痴りたかったのかと知って笑った。


 コンビニでサンドイッチとコーヒーを買う。メイさんはビール3缶と野菜スティックを買っていた。「あそこで食べる?」と訊かれ「寒いから車の方がいいよ」と言って車に戻って久しぶりの夜食の会が始まった。

 ひとしきりメイさんの愚痴を聞く。結構前の話もあって彼女は表に出さないけれど鬱憤が溜まっていたんだなと知る。ちょうど3缶目のビールが空になる頃にはすっきりしていた。愚痴の量とビールの量を考えて買っていたのかと感心した。


「人に会う予定があるんだけど、ちょっと面倒なんだよね。たぶんおれのこといろいろ聞かれるんだろうけど、うまく説明できないから。どうにかいい感じに挨拶だけして退散する方法はないかな」


「んー、挨拶したら、このあと用事があるって言えばいいんじゃないの?」


「なんの用事って訊かれたら?本当は用事がないのバレちゃうじゃん」


「えー、そこは用事って言ってるんだから踏み込んでくる方がおかしいよ」


「いや、まあ、わかるけど、そこは説明しないといけない人なんだよ」


 「じゃあねえ…」彼女はそう言ってフリーズしてしまった。と思ったら徐に車を降りてコンビニに入っていった。トイレだろうか。少し待っているとビールを2缶買い足して戻って来た。あれを飲み切る頃に素敵なアイディアが出ることに期待したい。


「やっぱりさ、女だと思うよ。デートの約束があるって。本気なんだって言うの」


「どうかなー、通用するのかなー。まあ、それは補欠にしておこう。他にない?」


「えー、わたしばっかり考えてるじゃん。ハナちゃんも考えなよ」


 その日のそのタイミングじゃないとダメな用事。次の日にはもう渡米してしまうから、そこで会っておかないと一生会えない人が…いや、そんな人はいない。

 渡米前に済ませておかないといけない用事ってなんだ… あっ!


「ありがとう!いいこと思いついた。完璧なやつ」


「え、どんなの?どんなの?性病になったから病院に行かなきゃって?」


「一旦、言い訳に性病持ち出すのやめようか。話がややこしくなるから、ね?」


「わかった。性病やめる」


「その人と会った次の日にアメリカに行くことになってるんだけど」


「え?ハナちゃんアメリカに行っちゃうの?帰って来る?いつから?」


 変わった身体をしているからアメリカで検査をするのだと説明した。東京へ行っていたのも検査だったと。クリスマスの頃から一ケ月ぐらいしたら戻ると伝えた。

 

 ちなみに検査は性病の検査ではないと念押ししておいた。

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