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結ぶと解く  作者: ながずぼん
第九章 浸透編
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第166話 新店と講習

 時間になったので着替えて送迎に出る。店のLINEによるときょうはユキさんがお休みなので、メイさん、ナオさん、モエカさん、ユイさんの順で回ることに。

 メイさんのマンションで彼女を乗せると「ねえ、月曜から飲みに来る客ってなんのつもりなのかな」と気だるそうに言っている。「火曜休みの床屋さんじゃないの?」と適当なことを言っておいた。

 ナオさん、モエカさん、ユイさんを拾って店へ。きょうも賑やかで匂いが凄い。


 店に入ると店長から、月曜から木曜はアオイさんの店を手伝ってやれと言われた。

 グループ店ならまだしも独立採算じゃないの?と思いつつアオイさんの店に行く。

 盗まれた金が戻されたのか知らないけれど、アオイさんの店は大変そうだ。

 経験の浅い黒服とお金に執着心のないオンナのコたちが気ままに働いてる感じ。

 全員分アオイさんが養っているようなもの。ママ稼業は大変だ。


 幕開けさっそく4人の来店。

 ママをご指名。アオイママも含めてマンツーで席に着ける。

 もしかしてこれを狙って早く来るのかな。混んでくればマンツー無理だし。

 おしぼりの仕込みが間に合ってないので急いで仕込む。

 30分ぐらいでまた4人の来店。フリー客。2人抜いてそっちに回す。若めのおじさんだったから、黒ギャルと白ギャルをセットで付けた。


 ボーイのタケちゃんに「この店って場内いくら取ってんの?」と尋ねると「1000円です。本指が2000円です」と教えてくれた。「バックはいくら?」とさらに訊ねると「折半ですね」と教えてくれたので500円がオンナのコに入る仕組みのようだ。


 最初のセットが残り15分ぐらいになったところで客がトイレに立ち、真面目そうなノゾミさんがおしぼりを取りに来た。

 「ノゾミさん、500円あげるって言ったら貰う?」と声を掛けると「え、欲しいです」と真顔で言う。「じゃあ、残り10分になったらあそこから外すように声掛けるから、隣のお客さんに、もう少しここにいてもいいですか?っておねだりして。いいよって言ってくれたら500円ゲットだから」と言うと「え?そうなんですか?やってみます!」とやる気になってくれた。


 作戦の通り、残り10分で「ノゾミさん」と声を掛けると言った通りに客におねだりをして無事に場内指名を獲得した。アオイママはその様子を見て、嬉しそうに目だけで感謝を伝えてくれた。


 最初の客はワンセットで帰っていったので、アオイママだけ残してノゾミさんを二組目に付けた。そこでアオイママに相談をする。


「たぶんオンナのコたち、通り一遍のやり方がわかってないみたいですよ」


「わかってない?みんな経験者なのに…?じゃあ私が教えたほうがいいですか?」


「きょうの店終わり、ちょっと残ってもらってミーティングしたほうがいいです」


「わかりました。やってみます。私、自分のことで手一杯だったので」


 そうこうしていると3組目の客が来店。ちょうどアオイママの指名客だったので、もう一度ノゾミさんを外してそっちに付ける。

 続けざまに2人組が来店する。ギャルを付けた4人客が延長なさそうだったので白ギャルを抜いて2人組に。あの4人の残り10分ぐらいをどうにか凌がないと。


「タケちゃん、ちょっとあそこの席で飲んできて」


「えー!いやいやいやいや無理ですよ。怒られますって!」


「大丈夫だって、はじめましてタケコです、って言って5分座ってきて」


「えー、まじですか…怒られたら一緒に謝って下さいよ!」


 タケちゃんは渋々だけど4人組の席に向かった。雰囲気的にいけそうだったので案の定、客は笑って彼を座らせハウスボトルの水割りを飲ませていた。

 他の客もそれを見て笑っている。どうにかなったみたいでよかった。


「ハナさん、俺、なんか新しい扉が開きかけましたよ…」


 カウンターに戻って来たタケちゃんは神妙な面持ちでそう言ってきた。

 彼は愛想がよくて可愛がられるタイプだから、困った時は付けちゃえばいいなと思った。明日からドレス着て来られたら怖いけど。


 その後もどうにかやりくりして月曜の営業は終了した。

 ミーティングでアオイママが何を言うのか見ていたかったが送迎に行かないといけなかったので、車を取りに行って店に戻る。


 送りも迎えと同じ面子。ユイさん、モエカさん、ナオさん、メイさんを送る。

 きょうはコンビニに寄らなかったけれど「またあの女の席で客に触られた。背中べたべた触って嬉しいのかな?」と言っていた。一緒に付くコを選べるほど弾数は多くないから仕方ないけど、あんまりなようなら店長にこそっと言ってみるか。


 嗾けた手前一応アオイさんの店に回ってみると、まだ人がいる様子だったので覗いてみると、三人のオンナのコたちは目を輝かせてアオイさんの話を聞いていた。


「あっ、ハナさん戻ってくれたんですか。やっぱり彼女たち何も知らなかったみたいで。いまセリフというか言葉を教えたところです」


「すっごく勉強になりました!」とノゾミさんは嬉しそうだ。

「マジで!って感じでした」「ママのテク、やばーい」とギャルも感動していた。

 深夜の通販番組ぐらい効果てき面だったようだ。膝の痛みも和らぐ勢いだ。


「よかったですね、伝わったみたいで。でもこの広さで指名被りとかになるとヘルプもいないし困りますね。あ、タケコちゃんがいるから大丈夫か。あははは」


「ちょっと、ハナさん!もし目覚めちゃったら責任取ってもらいますからね!」


 満席でも客の不満が出ないような作戦を考えないといけないかも。まじで。

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