表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話 クロニクル・ラインの虜

普通の高校生、片桐誠二かたぎり せいじの人生は、あっけなく幕を閉じた。

──その日までは、ただのゲーム好きの少年だった。

俺は放課後の帰り道、いつものように足早に家を目指していた。理由はただ一つ。

大人気RPG《Chronicle・Lineクロニクル・ライン》の最新拡張パックを、誰よりも早くプレイするためだ。

仲間を集め、勇者となって魔王を討つ王道の物語。

けれどこのゲームはただのRPGじゃない。緻密な伏線、魅力的なキャラクター、そして泣けるストーリー。

発売からすでに五百万本を超える売り上げを誇る名作に、俺はどっぷりと浸かっていた。

「早く続きがやりてえ……!」

胸を躍らせながら信号待ちをしていた、その時だった。

小学生の集団が横断歩道に差しかかる。

ふざけて走り出した男の子が、赤信号のまま道路に飛び出した。

「危ない!」

叫んだが、子どもには届かない。

そして――居眠り運転のトラックが、男の子に突っ込んできた。

考えるより早く、体が動いていた。

俺は少年を押し飛ばし、その瞬間、轟音と衝撃に包まれ……

──俺は、死んだ。

* * *

「レイン、おはよう」

耳に届いたのは、優しい女性の声。

目を開けると、ふかふかのベッドと、見知らぬ部屋。

……レイン? 誰のことだ?

訳も分からないまま食卓につかされ、腹が減っていた俺は出された洋風の朝食をむさぼる。

外に出て、池に映った自分の顔を見た時――ようやく理解した。

そこにいたのは、黒髪で大きな瞳を持つ幼い少年。

《クロニクル・ライン》で勇者パーティーの仲間のひとり、モブ扱いされる少年。

「……嘘だろ。俺、レインに……?」

空を舞う小さな竜。剣と杖を携えた人々。

目の前に広がるのは、画面の向こうでしか知らなかった世界。

「まさか……俺、《クロニクル・ライン》の世界に……転生したのか!?」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ