③ 学校にて
③ 学校にて
「何だか気味が悪いなあ」
「そうねえ。こんな紙きれに振り回されるのもばかばかしいわね」
「元に戻しておこう。はい、これが春菜の封筒」
「いらないわよ、こんなもの」
「ここで捨てるわけにもいかないだろ。学校のゴミ箱に捨てちゃおうぜ」
「それもそうね。そろそろ、学校に行かなくちゃ。あんまり遅くなると、おうちに電話されちゃうもんね」
「ああ。そうなると、やっかいだ。とりあえず、学校へ行こう」
二人は、遅ればせながら学校へ行くことにした。
■■■ キンコーンカンコーン キンコーンカンコーン ■■■■■
「はい、みなさん。今日は転校生の子を紹介いたします。土岐くんです。土岐くんのお父さんは考古学者の先生です。なんでも、この裏山に何か新しいものが発掘されそうだということで急遽引っ越されてきました。仲良くするように」
「幸四郎、考古学だって」
「ああ。そういえば、見るからに博士って感じだな」
土岐のいでたちは、分厚い底のめがねに白い長めの服、もじゃもじゃ頭に団子鼻。
「あだなは、博士で決まりね」
「あれっ」
「やだっ」
「そこの二人。静かにするように」
春菜と幸四郎は肩をすくめた。
■■■ キンコーンカンコーン キンコーンカンコーン ■■■■■
「はい。今日はこれまで。みんな、道草せずに帰るんだぞ」
「先生、さようならー」
高校生にもなって、道草をせずに帰れというのは無理な相談である。第一、すぐに家に帰っても、ロクなテレビなどやっていないし、明るいうちからテレビゲームをする気にもなれない。読書が趣味なんて奴は、ほぼ絶滅したであろうし、塾へ通う気にもなれない。ましてや、家でお勉強なんて試験前でもなければ考えられないというのが、春菜と幸四郎であった。お互い付き合っている異性がいるわけでもなく、部活にも入っていなかった。
「おい、春菜。おまえ、あれ捨てたか」
「何よ。幸四郎こそ、もう捨てたの」
春菜と幸四郎は、同じクラスであった。
「それが、学校にいるあいだも何回か光ったんだ。何だかちょっと気になってきちまってな」
「私もそうなのよ。ほら、また光ったわ」
バカバカしい封筒だとは思いつつ、二人はまだ封筒を捨てずにいた。
「ちょっと、帰りに。来ないか」
「どこへ」
「秘密基地」
「やだー。また、あのボロ小屋」
「みんなの前で、見せるわけにもいかないだろう」
事実、不思議な封筒は二人だけの秘密であった。
「しかたないわね。行ってあげるわ」
春菜にしても気になっているのは確かだ。二人は再び秘密基地へ行くことにした。