⑪4通めの手紙
⑪ 4通めの手紙
「届いたってことだよな」
「そうね。4通めの手紙ということになるわね」
「とにかく見てみよう」
幸四郎は、手紙の中から4通めの手紙を取り出した。
*** 迷ったときは心で感じろ、頭で考えるのではなく心の目を開け *****
「よくわからないわねえ。私のほうはどうかしら」
春菜も4通めの手紙を取り出した。
*** 目の前のものにとらわれてはいけない、その奥に隠されているものが見えなくなる*****
「春菜の方もわからないな」
「ちょっと待って。奥に隠されてるものって、抜け道のことじゃないかしら」
「そうか。この二つの通路を見ているだけでは、その奥にある抜け道は見えないってことだな」
「それを見るためには、頭で考えるのではなくて心の目で見ろってことかしら」
二人は再び通路を見つめた。
「だめだ。暗闇が広がるばかりだ」
「ねえ、幸四郎。目を閉じてみて」
「そんなことしたら、余計見えなくなっちゃうだろう」
「いいから、いいから」
春名は先ほどから目を閉じている。何かが見えたのか、幸四郎にも目を閉じろと言う。
「あれっ」
「ねっ。真っ暗じゃないでしょ」
「ああ。青や紫がらせん模様になっているのが見えるな」
「ええ。何だか幾何学的な模様に見えるわね」
「春菜にも、同じような模様が見えるのか」
「たぶん、同じだと思うわ」
「ってことは」
「そうなの。左側はぼんやりしているけど、右側は」
「ああ。青と紫のグラディエーションだ。しかも、トンネルのように奥に続いている」
二人は目を開けた。
「これが、心の目で見るってことかしら」
「かもしれないな。いずれにせよ、右を選ぶか左を選ぶか、客観的な判断材料はないんだ。頼りになるのは、今見えた映像だけだな」
「それは、どうやら右側を示しているようね」
「ああ。俺もそう思う」
行くべき道は決まった。二人が感じた方向は同じだったのだ。
「どうする、幸四郎」
「信じるしかないな」
「罠ってことはないかしら」
「メッセージの主は、俺たちに何かを伝えたいはずだ。もしくは、伝える代理人にしたいはずだ。こんなところで迷子になってしまっては、やつらだって困るだろう。正解を見つけるためのヒントをくれているんじゃないかな」
幸四郎は、メーッセージの主とコミュニケーションをしている感覚が芽生えた。
「そうね。それが、いい人か悪い人かはわからないけど、今は信じるしかなさそうね」
「人だといいんだが」
「やだ。変なこと言わないでよ」
「とにかく、右の通路へ行ってみよう。いつまでも、ここに立ち止まっているわけにもいかないからな」
「そうね。行きましょう」
二人は右の通路を選択し、奥へ奥へと進んでいった。