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タイトルは面白そう

作者: 星龍実佳

「予約したケーキを取りに来ました!」

「中山様ですね。少々お待ち下さい」

 今日は結婚記念日。 1年目の時は、夫も休みを取ってくれたので、一緒に買いに来たっけ!

2年目の時は、夫の昇進も重なって、プレートを2枚付けてもらったわ!

そして3年目の今日は、特に何もないただの記念日……になるはずだった。あの時までは!

 遡る事3ヶ月前、結婚記念日の準備を計画。

カレンダーの7月28日に赤ペンで花丸を付けて、人気のレストランに予約を入れたりと、完璧な1日にするべく奮闘していた。

 いつも行くアロマショップに、バスタブの縁に置くアロマキャンドルが欲しくて出掛けた。売り切れ必須なので、今日は予約して間に合わせようと店員に頼んだ。

 「ラベンダーのバス用アロマキャンドルを3個予約したいんですが……」

 「あっ中山様、3個ですね。承りました!え〜っと、7月の初めには届きますよ!」

ありがとう、と言って店を後にした。

その店は、大通りに面してカフェやレストランなどの飲食店が立ち並ぶ所だったので、ついでにランチを食べて帰ろうと、前から気になっていた店に入った。

昼前だが少し混んでいて、店員の案内で隅のテーブルへ着いた。

注文を終えて、水を飲みながら辺りを見渡すと、奥の方に、夫と見知らぬ女性が一緒に笑顔で食事をしていた。 何が何やら分からず、行くべきか、どうするかを考えるうちにガタガタと震えが来だした。

ちょうどその頃食事が配膳された。もう食事どころではなかった。

社交辞令の顔ではない。ずいぶん長い付き合いの話しぶりだ。今、出て行けば、たぶん夫に気付かれる。先に出るのを待って、跡をつけてみた。段々と人気の無い路地へ。 ふと見渡すとホテル街だった!

 あれから今日まで、私は結婚記念日を楽しみにしてきた。

 ケーキとワインも買い、花も飾り、夫の帰りを待った。 夫は普通に帰宅し、ネックレスをプレゼントしてくれた。喜ぶフリをした。

食事が終わり、3個のアロマキャンドルと沢山の蝋燭に火を点け、夫を先に入れた。

気持ちいいのか、ラベンダーの香りとほろ酔いで、湯船に浸かったまま寝た。私は風呂場の換気扇を消し、ドアを密閉して1時間待った。確認すると夫の息は無い。片付けて換気扇を点け、ニヤッとしたあと、泣きながら救急車を呼んだ。

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