【戦い続ければ正義は勝つ】「袴田事件」の問題点と今後の教訓とは?【戦後5例目の死刑覆る】
筆者:
今回はご覧いただきありがとうございます。
冤罪と言えば小学生の時に冤罪で教室の付属物を壊した罪になりかかりましたが、
真犯人を突き付けて何とか逆転したことがありました。
今回は「袴田事件」の内容と共に、戦後5例目にもなった「死刑判決が無罪に覆ったのはどうしてか」という事について見ていこうと思います。
※ただし地裁の段階なのでまだ検察が控訴する可能性がありますので確定したわけではありません。
質問者:
(筆者さんは小学生の時から今とあんまり変わってないですね……)
袴田事件ってちょくちょく話題に上がってきましたけど、結局どういう事件なんですか?
筆者:
1966年、今の静岡市清水区で、味噌製造会社の役員の自宅が放火され、焼け跡から子どもを含む一家4人が殺害されているのが見つかりました。
およそ2か月後、味噌製造会社の従業員だった元プロボクサーの袴田さんが逮捕されます。当時30歳でした。
袴田さんは無実を主張しますが、80年に死刑判決が確定してしまいした。
再審請求に対し2014年に静岡地裁の村山浩昭裁判長(当時)は、再審を認め、合わせて袴田さんは釈放されます。が、すでに事件から47年が経っていました。
しかし2018年、東京高裁の大島隆明裁判長(当時)は、今度はこの再審開始を取り消しとしました。
ところが2020年、最高裁判所第3小法廷の林道晴裁判長は、「取り消した決定」を取り消し、もう一度高裁で審理しなおすよう命じ、二転三転しています。
今回の24年9月26日の判決でようやく無罪になるかもしれません。
袴田さんとしては長年さぞお辛い思いをしたと思いますが、ようやく解放されるかもしれません。検察が控訴をせず早期に確定してくれると良いのですが……。
◇冤罪を醸成する「出世したい」と「上には逆らえない」マインド
質問者:
どうしてこんなにも混迷を極めてしまったのでしょうか……。
筆者:
一番大きな要因としては、事件から1年2か月もたって、味噌工場のタンクから血の付いたシャツやズボンなど、「犯行時に袴田さんが着用したとされた5点の衣類」が発見されます。
この「5点の衣類」が袴田さんが「死刑判決」となる決定的な要因となったわけなのですが、
「これが捏造ではないか?」 「いや、そうではない!」
という事が連続したのです。
証拠として認められたり認められなかったりすることは、これは完全な憶測にすぎませんが、裁判所の過去の判断を誤りだと認めたくないといった心理があるのでしょう。
“先輩から圧力”があったりするのかもしれませんね。
今回の判決では「5点の衣類」のズボンと同じ素材の端切れも「捜査機関によって捏造されたもの」と判定しました。
そして、これらの証拠を排除すれば、袴田さんが犯人でないとしたら合理的に説明できないか説明困難な事実関係はなく、袴田さんが「犯人であるとは認められない」と結論づけたのです。
質問者:
そういう上下関係ってあるかもしれませんものね。特に裁判官は人数が少ないですし……。
筆者:
また他の証拠品として、事件現場の被害者の足元に、柄もさやもない状態で落ちていたのを静岡県警の捜査員が見つけ、殺害に使われたと認定したものがあります。
これは袴田巌さんが1966年3月末か4月初め、菊光刃物店で購入したとされ、死刑判決の根拠の一つになっています。
しかし、菊光刃物店でバイトをしていた高橋さんは「刃渡り135ミリの種類のくり小刀だけを店で売っていたと記憶している」だが、県警が押収したくり小刀は、刃渡り120ミリだったことからこれも“怪しいもの“として取り扱われてしまっています。
質問者:
なんだかこれだけでは死刑までにはならなさそうな気がするんですけど。
どうして死刑判決まで出ているのでしょうか?
筆者:
裁判においては本来、“推定無罪”というものがあり判決で有罪にならなければ犯罪者ではないという法文化があります。
ただ、日本においては逮捕や起訴された時点で“犯罪者”としてほとんど決めつけられてしまうような世間の風潮が存在します。
起訴されてしまう決定打となったのは、警察による16時間20分の連続取り調べによる袴田さんの「自白」です。
そんな休みもなく意識が朦朧とした中、「自白」の供述調書が作成されたのですから、本来はそのような書類に効果は無いはずですが当時は取り調べの映像などを撮る習慣がありませんでした。
これも憶測ですが、「認めれば刑が軽くなるから」などと取り調べの際に警察官に「取引」を持ちかけられ、意識朦朧としている中、つい乗ってしまったのでしょう。
現実は刑が軽くなることは全く無く「死刑判決」ですからね。
「長期間取り調べられた」上に「取引(筆者の推定)すらも嘘」と笑えない事態ですがね。
質問者:
元プロボクサーの方をそこまで追い詰めてしまうだなんて凄い取り調べですね……。
筆者:
このような「証拠の後出し」が検察によっても繰り返されている過去があります。
1979年に起きた大崎事件 検察はこれ以上ネガはないと言っていたところ、その後に18本も出てきた案件がありました。
1985年に起きた松橋事件では“事件に使い燃やしたシャツ”が出てくることもありました。
1967年に起きた布川事件では、検察が自分たちに不利な証拠を出さなかったことが、のちの民事裁判で賠償を命じられる理由の1つになっています。
警察も検察も恐らくは“査定のプラス”のためにセンセーショナルな事件の解決件数を増やすことで出世できるスキームが存在するのでしょう。
質問者:
査定を良くするために冤罪が増えたらたまったものではありませんね……。
筆者:
現代はカメラなどで捜査についてもデータがありますから取り調べの段階での「自白取引」が起こる可能性は低いとは思っていますけどね。
また、裁判での制度的な問題もあります。
裁判の再審請求で証拠を開示する仕組みがないために、
担当する裁判官が熱心に検察に開示を求めるかどうか次第で決まってしまうのです。
そのために、再審がされようとしたり取り消されたりという不可解なことが起きています。
2009年から始まった裁判員制度をきっかけに通常の刑事裁判の場合、裁判の前に検察が証拠をリストにして弁護側に示すなどの公判前整理手続きが始まっていますが、
再審請求はこの制度の対象ではないことも問題です。
※裁判員制度は殺人、放火などの事件を一般人にやらせるというのはどうなのかなと思うんですが、 公判前整理手続に関しては一定の証拠捏造予防になっていると言えます。
今後はこの範囲の拡大が望まれることでしょう。
質問者:
完全に死刑になってしまったら取り返しがつかないですからね……。
筆者:
「疑わしきは罰せず」という裁判の格言がありまして、刑事訴訟において、被告人が有罪だということに「合理的な疑い」が残らないほどまでに、検察官が証明しなければ、裁判所は被告人を有罪にしてはならないという原則があります。
しかし、このように証拠の捏造をしているようではお話になりません。
ただ、現行犯で逮捕されて死刑が求刑されているにもかかわらず
死刑囚がいつまでも生きながらえている状況だと、
被害者の心情や税金で重犯罪者が生活を続けているということを耐えられるかどうかという話にもなるので「死刑」そのものの可否に関わるものではないと思っています。
問題は死刑制度ではなく裁判に至るまでの警察の取り調べや、検察の調査・証拠などが「怪しい」という実情なのです。
彼らも法治国家の一端を担っている者としての自覚と責任を果たすモラルがもっとあれば良いと思うのですけどね……。
◇今回の事件からの教訓
質問者:
偉い人ほど腐敗しているのは政治家の方にも言えると思いますけどね……。
ところで、今回の一件から私たちに何か教訓のようなことはあるのでしょうか?
筆者:
日本最高峰の司法試験を突破した人のうち更に上位10%前後しか毎年裁判官か検察官の検事になることができません。
このように、日本有数の頭脳を持つはずの裁判官や検察官であっても「出世欲」や「証拠捏造」などで判断を誤ることがあるんですね。
信憑性の低い話では“先輩の判決を覆せない”と言ったしがらみもあるから中々再審や冤罪確定が決まらないと言った話もあります。
恐らくはこのことから検察は執念を燃やしてずっと粘り続けているのでしょう。
最悪は袴田さんが亡くなるまで何とかして延ばしたいと思っているのかもしれません。
このことから、相手がどんな権力者や上司であったとしても客観的証拠を提示して、「誤っていることは誤っている」と言い続ける勇気が大事になってくるんだと思います。
質問者:
でもなかなか指摘することって難しくないですか……?
筆者:
ただ、抵抗していかなくては捏造したことも“事実”として世間に定着してしまう恐れがあるんです。
袴田事件についてはほぼ正当な評価となりましたが、それでも60年近くかかってしまいました。失われた時間は戻りません。
真実を徹底追及、そしてどんな状況でも屈しない強い心を持つことです。
戦わなくてはやがて自由はなくなる、不自由の場合は名誉が二度と回復されないということを承知しておかなくてはいけないと思います。
質問者:
自分が間違っていないと確信があるのなら、しっかりと戦う必要があるということなんですね……。
筆者:
これは日頃僕が主張している「財政破綻論は嘘」という事についても言えると思います。
東京大学などの超有名大学を出た最高学歴の財務省の官僚や国会議員のほとんどが「財政破綻をする」と言い続けたとしても、それに対抗する理論を永遠と語り続けることでいつか活路が開けると僕は信じて活動しているという事です。
そうで無ければ「無限増税」の坩堝に嵌り人口減少は加速するでしょう。
質問者:
確かに「偉い人が言っているから正しいだろう」という先入観みたいなのはありますよね。
筆者:
基本的には専門家の意見は傾聴に値すると思いますが、何も考えずに受け入れてしまう事は危険だと思います。
是々非々で個別事案について考えていき判断していくことが大事かなと思います。
ということでここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は「袴田事件」は警察と検察が「出世したいがために色々と捏造したのではないか?」という事を考察し、自分が間違っていないという確信があるのであれば最後まで理路整然と証拠を提示して抵抗し続けるべきだという事をお伝えしました。
今後もこのような政治経済、マスコミの問題について個人的な考察をしていきますのでどうぞご覧ください。