科学部に入部することになりました。
「ようこそ、科学部へ」あれは言葉の綾だったと言い訳すれば、彼は許してくれるだろう。でもそれを私のちっぽけなプライドが許してくれない。
「はい…」無意識に声がこわばるのが分かる。
「案外楽しいよ、科学部は」すべてを見透かしたであろう彼は、何も知らないかのようにほほ笑んだ。
家に帰ってから先ほどの事を思い出す。いつもと変わらぬ日常、いつも通りマネージャーになれと迫ってくる運動部、いつも通りを変えたのは、廊下に響き渡る彼の透き通った声だった。「いい加減やめなよ、嫌がってんじゃん。」思い出すだけで顔が熱を帯びるのが分かる。
運動部が去った後、どうせ彼からも部活の勧誘を受けると思っていたが、彼は一向に勧誘してこない。「あなたは勧誘しないんですか?」しびれを切らして聞いてみると、「しないよ。僕の部活人数足りなくて廃部寸前だし、勧誘したところで、入部しないでしょユズキは」なぜ助けてくれたのかが気になって、教えていないはずの名前を呼ばれたことには違和感を抱かなかった。「ではなぜ?なぜあなたは私を助けたのですか?」「うーん、ユズキが困ってたから?」困っていそうだったから?それならあなたも困っているじゃないの。「困ってそうだから助けた?なら私も、あなたの部活に入部します」「ん?」彼の口角が少し上がった気がしたが、特に気にしなかった。「困っていそうだから私を助けたのでしょう?」「なら私もあなたを助けます」彼が微笑んだ気がした。その笑顔の横、額にある大きな傷跡、私のせいで彼が負った傷跡、それは、彼が私の初恋の人であることを証明するには十分だった。「甘…夏先輩?」 甘夏結先輩、私と同じ中学に通っていた一個上の先輩で、私の過去を知る人物。
「ようこそ、科学部へ」優しく微笑みながら先輩が言う。あなたを助けますと豪語した五分後、久しぶりに再会した初恋の人の笑みは、変わっていなかった。
どーもお初にお目にかかりますてーふじょーみかんです。
初投稿です。お手柔らかに...
内容がくそだったら教えてください。続編の投稿予定は今のところ未定です。人気だったら書きます。内容がくそだと思ったら教えてください。続編やめるので。