4
隣国の兵が我が城を攻め落とさんと、徐々に我が城へと近付いてくる。
将軍は兵達を率いて一人でも多くの民達を国外へ逃がす為に、
宰相は文官と共に兵達の後方支援に当たる為に執務室を退出し、
今、この場にいるのは、私と近衛騎士団長だけであった。
「王よ!!お逃げ下さい!!」
後ろに控えていた近衛騎士団長が私に告げる。
私は憤怒の感情のまま、近衛騎士団長へ半身を向ける。
「...何故?何故、私が逃げる必要がある?」
「隣国が城門まで攻めてきています!!
王だけでも、何卒、何卒、生き延びて下さい!!」
「ならぬ!!隣国が我が国を焼き、民が焼かれる中、
何故、私だけが逃げ延びられようか?!」
「しかしっ!!」
「私は隣国の王達にこの仕打ちについて問い質さねばならぬ!!
これだけはせねば、理由も分からず焼け死んだ民達が報われぬ!!」
「ならばこそ!!ならばこそです!!
王よ!!生き延びて、隣国の王にこの責を問うてください!!」
「なっ!!...」
私は反対の言葉を紡ぐこ事ができずに歯を食いしばる。
しかし、私の心が叫ぶ、この怒りをぶつける相手が直ぐ近くに居るというのに、復讐もせずにここから逃げ延びるというのか...
「...このまま自分一人だけ生き延びたとしても、たった一人で何ができると言うのだ!!
ならば、ここで隣国王達を待ち、問い質す方がいい!!」
「ですが王よ!!ここで問いかけようとも、隣国王達は聞く耳を持ちますまい!!
理不尽に我が国を滅ぼそうとしている者達ですぞ!!」
「それは...」
「...王よ、どうか、逃げ延びて下さい。
そして、民を護って死んでゆく我等兵達に、死んでいった無辜の民達に、報われる死を与えて下さい。」
「...分かった。近衛騎士団長よ、今まで私を守護してきた事に感謝を。
必ず、必ず、私は隣国王達に問い質し、我が民達の死に報いる事を約束する。」
近衛騎士団長は、我が言葉を聞き、安堵の表情をした後、私に礼をし、謁見の間を去る。
近衛騎士団長が去るのを見届けた私は、執務室の隠し扉から逃げ延び、いつしか、隣国王達に復讐する事を誓った。




