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それから3ヶ月後、隣国4国は中央国から来るスケルトン兵の軍勢により、兵士も無辜の民も、老若男女も分け隔てなく、すべての生きる者が殺され、
中央国の全てのスケルトン兵は、極北国と帝国に説明をした通り、中央国へ撤退していった。
隣国4国の殺された者達の遺体は、中央国のスケルトン兵達によって
それぞれの国の王城前に大きな穴が掘られ、そこに全て集められて焼かれ、大きな慰霊碑が建てられた。
慰霊碑には、以下のように書かれていた。
『愚か者達の深き業により死ぬ事となった兵と無辜の民よ、恨みは我が全て受け入れる。
中央国 憤怒炎王』
この復讐の後、自身から噴き出た憤怒の炎で自身を焼いた中央国王は、自身を憤怒炎王と名乗り、自身が全ての恨みを背負うと慰霊碑に誓った。
その為か、東国、南国、北国、西国の兵達や民達がスケルトンやゾンビ、レイスになることはなく、ただ、荒れ果てた土地が残るだけだった。
焼け朽ち、荒れ果てた中央国王城の玉座の間。
その玉座に憤怒炎王は座し、将軍の報告を聞いていた。
「王よ、隣国4国への復讐は全て完了いたしました。」
「...大義である。して、隣国4国へ派兵した者達は?」
「全て中央国へ帰還しております。」
「そうか...全て終わったか...」
報告を聞いて、憤怒炎王は自身の左隣にいる宰相を見る。
「無辜の民達の様子はどうであるか?」
「...ゾンビとなった者達は、意識というものはなく、ただ徘徊するのみでございます。
レイスとなった者達には幾らかの意志を持っているようにも思われますが、言葉を発することもなく、ほぼ、何をするでもなく飛び回るのみでございます。
また、時折、動かなくなるゾンビと消えるレイスがおり、民達は少しずつ減っている様子でございます。
動かなくなった者達については、全て焼き、ゾンビにならなかった者達を焼いて埋めた慰霊碑の下に埋葬しております。」
「...そうであるか...」
そうして、憤怒炎王は自身の右手を前に軽く突き出し、掌を見た。
すると、掌から小さな炎が吹き上がる。
「...我には、我が民達にできる事は、復讐を果たす事だけであった。
しかし...こうなる前に、隣国4国が攻め入る前に、何ができる事はなかったのであろうか...」
「...王よ...他人の心は易々と読めるものではありませぬ...
今回の事は、北国王、西国王が申した通り、隣国4国の王がただただ愚かであった、という事でございましょう...」
「...だからこそなのだよ、我がもっと彼らの信を得て導く事ができていれば...」
「そんな事はございません!!王は決して、決して過ちを犯してはおりません!!」
憤怒炎王の右隣に立っていた近衛騎士団長が、自身の行ないを悔いる憤怒炎王に進言する。
「...東国王は、自身と同年代でありながら賢王と呼ばれる我が王に嫉妬の炎を燃やしておりました...」
「...南国王は、自身の思い通りにならない事を他人のせいにし、他人の手柄を自身の手柄にする程の傲慢なものでしたな...」
「あの王達では、我が王が滅ぼさずとも、いずれは自滅していたでしょう...
今回の件は、自身に力があると思い込み、愚かにも我が国へ攻め入ったのが原因でございます。
我が王があの王達に何ら悔やむ事などないのです。」
「その通りです。北国王にしても西国王にしても、東国王と南国王に声を掛けられた時点で我が王へ相談していれば良かったのです。」
「そうですなぁ...あの者達が東国王と南国王の話に乗ってしまったのも、彼奴等自身の愚かさによるものでございましょう...」
「うむ...あの者達の中にも、我が王への嫉妬があったという事でございましょう...
我が王だけが賢王と呼ばれ、隣国4国の王は愚王と呼ばれ...自身を顧みて賢王とならんとするならまだしも...
我が王に汚名を着せて誅しようなどと...愚か以外の何者でもありますまい...」
「...であろうか...」
憤怒炎王は、宰相、近衛騎士団長、将軍の言を聞き、最後にそう呟いた。
「...王よ...」
「皆、下がるがよい。我は庭園に出向く。」
「...承知致しました...」
そうして、玉座の間に居る者達を下げ、憤怒炎王は一人、中央国王城の庭園に出向いた。
中央国王城の庭園には、数百の花が植えられていた。
これらは全て、憤怒炎王が手すがら、一つ一つ、中央国の民を思い植えていった、供花である。
「...我が民達よ、守れなかった事をここに詫びよう...安らかに眠るがよい...」
憤怒炎王は骸骨であるが故に、涙を流す事はなったが、その姿は、泣き崩れているかのようだった。




