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宰相、将軍とこれからの我が国の発展を執務室で話し合っていた時、慌ただしく執務室に近衛兵が入ってきた。
「報告いたします!!東の隣国が我が国攻めてきました!!」
私はその報告に我が耳を疑った。
何かの聞き間違いではないか。
「何?...今、何と?」
近衛兵は荒い息のまま、再度報告を繰り返した。
「報告いたします!!東の隣国が我が国へ攻めてきました!!」
何が...何が起こった?...何が起こったのだ?
困惑したまま、宰相と将軍を見る。
宰相も将軍も、私と同じく困惑し、言葉を発することができずにいた。
「何かの...何かの間違いではないのか?」
「いえっ!!東国の国旗を掲げ、東国の王が高らかに我が国を滅ぼすと宣言をっ!!」
何故だ? 何故、東国が我が国を滅ぼそうと言うのだ?
先月、我が国との友好の話し合いをしたばかりではないか...
「王よ!!ご指示を!!」
報告を上げてきた近衛兵が私を呼ぶ。
そうだ、こうしてはいられない。
東国が攻めてきた理由など、退けてから調べれば良い。
民を護る為にも、一刻も早く兵を出さねば...
私は腹を決め、将軍に指示を出す。
「将軍よ!!今すぐ確認の上、東の国境へ向かえ!!」
「了解いたしました!!」
将軍が我が指示に従い、執務室を出ようとした所で、再び別の近衛兵が入ってきた。
「報告いたします!!西の隣国が我が国へ攻めてきました!!」
「なっ!!...」
どういう事だ...西国までも...何故だ...
呆然としている私と宰相、将軍を他所に、再び別の近衛兵が入ってくる。
「報告いたします!!南の隣国が我が国へ攻めてきました!!」
「...」
「報告いたします!!北の隣国が我が国へ攻めてきました!!」
「...」
...
何だ?これは何なのだ?どういう事なのだ?
隣国全てが我が国へ攻めて来ている...
何故だ?何故我が国を攻めてきた?
互いに友好な関係ではなかったのか?
「王よ!!ご指示を!!」
「王よ!!」
「王よ!!」
「王よ!!」
私は何の指示を出すこともできず、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。