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数日後、北国との国境を護る極北国の兵士から、極北国王に異常事態が告げられた。
「申し上げます!!北国との国境を護る兵士から、北国での異常事態を告げる報告が上がっています!!」
「ふむ?...して、北国の異常事態とは?」
「はっ!!死者の軍勢が、北国を蹂躙しているとの事です!!」
「...何だと?聞き間違いかな?
...今、死者の軍勢と申したかな?」
「はい!!その通りでございます!!」
「はっ!そんな馬鹿な事が起こる筈がないであろう!
死者の軍勢?死者が動く訳があるまいに!
我を謀るかっ?!」
「いっ...いえっ!!滅相もございません!!
しかし、北国との国境を護る兵士達は間違いなく死者の軍勢が北国を蹂躙しているとっ!!」
「馬鹿も休み休み言うがいい!!」
極北王は自身が馬鹿にされているのかと怒りを顕わにするが、そこで、宰相からの報告が告げられる。
「...王よ、これは事実にございます。」
「言うに事欠いて、宰相まで我を愚弄するかっ!!」
「王よ!!これは事実にございます!!」
宰相は、極北王に怒りの形相で睨まれても屈せず、真っ直ぐに極北王の目を見る。
そこで、極北王が冷静にになる。
「...これが事実だという証拠があると言うのか?」
「我が国からの中央国の間者から、先日、中央国が隣国4国の裏切りにより、滅ぼされたとの報告がありました。」
「...ほう?して?」
「中央国王がこの仕打ちによる憤怒の炎で自身を焼き、炎を纏った骸骨になった...と...」
「...はっ!またその様な世迷言を!」
「事実にございます!!」
「証拠を見せい!!証拠を!!」
「...これが証拠にございます。」
「お初にお目にかかる、極北国王」
いつの間にか、謁見の間中央に一人の男が膝を着き、頭を下げていた。
「何奴!!」
「中央国宰相にございます。」
中央国宰相を名乗った男は、そう言い、顔を上げる。
「ひっ!!」
謁見の間にいた兵士が悲鳴を上げる。
中央国宰相を名乗った男の顔は干からびており、人間のそれでは無かったのだ。
よく見ると、袖から覗く手も干からびていた。
「極北国王に我が王の言葉を告げます。
我が国は、復讐の為に隣国4国を滅ぼす。滅ぼした後は、その他の国に手を出す事なく、中央国に戻る。
その後の隣国4国の土地は好きにして構わないが、我が中央国に侵攻してきた場合は容赦しない。
...以上です。」
明らかに人間ではない異形の男...中央国宰相が極北国王に向けてそう告げた。
極北国王は極北国王は頭の中で混乱しながらも、顔に出さずに中央国宰相を名乗る異形の男を見る。
明らかに人間ではない男、この男が中央国宰相だと言うのか...
「...先日、私の部屋にこの者...中央国宰相が現れていたのです...」
「...何だと?それ以前に、この男はどこから入ってきた?」
「このようにでございます。」
中央国宰相を名乗る異形の男はそう言うと、一瞬で極北国王の前に現れたかと思うと、
直ぐに謁見の間の中央に戻った。
流石の極北国王も、異形の男がいきなり目の前に現れては平常心では居られず、顔を驚愕の色に染める。
このような男には直ぐにでもこの場を去って欲しいと思った極北国王は、混乱しながらも、了承の言を告げる。
「あい分かった。中央国王へ告げよ、
我が国は中央国の兵には手を出さない。
但し、そちらが手を出してきた場合は容赦しない。
...以上である!!さっさと去ねい!!」
「了承の言と極北国王の言、承りました。
くれぐれも、約束を違わぬよう...」
中央国宰相を名乗る異形の男がその場からふっと消え、数秒後、極北国王はいつの間にか緊張していた身体から力を抜き、大きくため息を吐いた。
「あれは何なのだ...我々は夢でも見ているのか?」
「言いたい事は分かりますが、事実でございます...
中央国は隣国4国に滅ぼされ、そして、死者の国として復活し、復讐の為に隣国4国を滅ぼそうとしている、と言う事です。」
「そういう事でないっ!!死者が動き回るなど、昨今では悪い冗談でも聞かんぞ!!
それが、冗談ではなく事実であると?!これが悪い冗談でないと言うなら何だというのだ!!」
「...事実でございます...としか言えませんな...」
「...何という事だ...まさか、おとぎ話のような事が現実に起ころうとは...」
「隣国4国も馬鹿な事をしてくれましたなぁ...」
「自分達の浅はかな行動で、化け物を生んでしまうとは...傍迷惑な...
この責任をどう贖ってもらうべきか...」
「王よ...隣国4国の国王は既に崩御しております...そして、中央国に滅ぼされようとしている所です...」
「分かっておる!!
...死して尚、災厄を振りまくとは、愚王め...」
「全く以て、迷惑極まりないですが、中央国に手を出さなければ何もしないとの言を受けています。
その言葉が真実であるかを注視する必要はありますが、とりあえず、その言を信じてみるしかないでしょう...」
「...そうであるな...」
そうして、極北国王と宰相はとりあえずの結論を着けるのであった。




