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「さぁ!!東国王を暗殺した犯罪者の中央国王よ!!見ているのであろう!!
お主が出てこなければ、ここに居る宰相、将軍、近衛騎士団長の命はないのである!!
観念して出てくるのである!!」
南国王は、中央国王の王城の前で高らかに宣言した。
「王よ、なりませぬ!!決して出てきてはなりませぬ!!」
「その通りですぞ!!我々の命よりも、王の命の方が尊いのですぞ!!」
「我等の事は捨て置いてお逃げ下さい!!」
「...中々の忠義であるが...お主達のその言葉は、あの甘ちゃんの中央国王がここに現れる一助となるだけなのである!!」
南国王は中央国の宰相達の言葉を横目で聞きながら、ニヤリとし、宰相の顔に拳を振り下ろした。
宰相はその拳に吹き飛び、「ううぅっ...」と弱々しい呻き声を上げる。
「宰相殿!!...おのれ南国王!!」
「我を脳筋愚王と罵った事は覚えているのである!!
これはその報いである!!」
「はっ!!図星を言われて怒るなど!!自分が脳筋愚王である事を自分が一番よく知っているから怒るのだろうに!!」
近衛騎士団長の言葉に眉をピクリと動かし、近衛騎士団長の前に立ち、そして拳を振り下ろした。
「我は!!決して!!脳筋でも愚王でもないのである!!」
「...はっ...名は体を表す...と言う言葉通りの脳筋愚王じゃないか...
いや...お前にはもっと相応しい名前があるな!!脳筋の自尊心愚王め!!」
頭を上げ、口の中を切っで出た血をペッと吐き、再度、南国王に侮蔑の言葉を告げる。
「...言うに事欠いて更に我を侮辱するとはっ!!」
南国王の怒りが頂点に達し、近衛騎士団長は拳で更に何度も殴打される。
「...はぁっ!!はぁっ!!はぁっ!!...」
近衛騎士団長が動かなくなった事に満足し、荒い息を吐きながら南国王は立ち上がる。
「我を侮辱した報いである!!」
「...近衛騎士団長の言う通り、脳筋の自尊心愚王のようですな...」
「...全く以て...その様で...中々の...脳筋の...自尊心愚王振り...ですね...」
それを見ていた将軍と少し回復した宰相が更に南国王を侮蔑する言葉を発する。
近衛騎士団長を殴打して溜飲を下げた南国王であったが、将軍と宰相の言葉に再び怒りが頂点に達する。
「この状態で我を侮辱するとはいい度胸である!!
そんなに死にたければ、今すぐお主等の首を切り落としてやるのである!!」
南国王は帯剣を抜き、将軍の首に当てる。
将軍は黙って目を閉じる。
「王よ...我々は王に仕える事ができ幸せでございました...」
「王よ...我々は来世でも貴方にお仕えしとうございます...」
「王よ...我々は死して尚、王の味方でございます...」
そして、宰相、将軍、近衛騎士団長は南国王の刃によって死を迎える事となった。
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中央国の宰相、将軍、近衛騎士団長の首を切り落として溜飲を下げた所で、南国王ははたと気付く。
中央国王が出てくる前にこの3人を殺してしまっては、人質の意味がない事に...
そこで、自身がこの3人に嵌められた事に気付き、再び怒りが頂点に達する。
「このっ!!このっ!!このっ!!お前達のせいである!!
お前達のせいで!!我の完璧な作戦が!!台無しなのである!!」
自身が嵌められた事を棚に上げ、物言わぬ死体となった3人のせいにした言葉を吐きながら、3人の身体を蹴り付ける。
それでも怒りの収まらない南国王は、自身の兵達に告げる。
「我が兵達よ、中央国の生き残りをここに集めるのである!!」
そうして、中央国の王城前は、無辜の民達の死体の山が高く積み上げられる事となった。




