第11話 顛動
「パオラさん。ここら辺の鳥ってしゃべるんですか?」
パオラさんはこちらを心配そうに見ながら。
「やっぱり教会に行って、見てもらいましょう。ねっ!」
「いやいや。頭は大丈夫だと思います。ん?」
そもそもあの青い鳥。鳴いてすらいないし、しゃべったわけじゃないな。
……一応話し掛けてみよう。
「鳥さん私の言ってること分かりますか?」
パオラさんがこちらに近づいてくる。
(ダンナ。あっしの考えてることがわかるんで?)
腕を取り連れていこうとするパオラさんをなだめ、鳥に伝われと思い浮かべる。
(鳥さん何者なの?)
(あっしは、ただのしがない鳥ですさぁ。それより、ダンナがさっき心配していた豆ですが、他の鳥が食べに来たら追っ払ってやりやすよ。その代わり一つお願いを聞いちゃ~くれやせんか?)
これあれだ。
言葉での会話っていうより、イメージが伝わって来て勝手に言葉に変換している感じだな。
鳥がこんなに頭良いとは思えないし、俺の妄想だっだらこえぇけど。
(じつはあっしら巣作りの時期なんでやすが、なかなか良い場所がみつかりやせん。そこで、ガキの頃住んでた人間の作った巣を思い出したんでさぁ。住み心地がよかったなと。あれを用意してくれたら、代わりといっちゃ~なんですが、豆の件はお任せくださぇ)
「パオラさんこの木立に巣箱付けても大丈夫でしょうか?」
パオラさん何言ってんだこいつって顔に書いてある感じで答えてくれた。
「……たぶん許可は下りると思う確約はできないけど....」
(鳥さん許可待ちになります。許可が取れたら設置します。許可が下りなかったらごめんなさい)
(ありがとござんす。ダンナ豆は安心してくださぇ。しばらくはあっしらが見張っておきやす)
青い鳥と意思を交わしていると俺の周りに数羽の茶色い小鳥が下りて来た。
(なになに? ゴハンくれるの?)
(手伝ったらゴハンくれんの?)
(手伝う! ゴハン)
(ゴハンどこ?)
(ねむい)
小さな子供の騒ぎ声みたいに頭に響く。
青い鳥が初めて、威嚇するように鳴いた。
「ピーヨロ!」
小鳥たちは一斉に飛び立つが、直ぐに足元にまとわりついて、ゴハン、ゴハンとかまびすしく騒ぐ。
君たち何食べるの?
(虫だよ)(草だよ)(種だよ)(だべぇるっ!)(Z・Z・Z)(石)
雑食なの? 本当にスズメみたいだね。
私の植えた種は食べないでね?
ゴハンくれるならゆうこと聞くと伝えてくる。
しょうがないので、アイテムボックスから皿と麦を出して食べさせる。
なんかあったら手伝ってねと伝えながら。
麦を出したら無言になり一心不乱についばんでいる。
あ! 一匹寝た。コテンって倒れた……。
子供の口に飴を突っ込む原理だな。舐めてる間は静かっていう。。。
ホッと一息ついていると。
今度は大きなクモが一匹と小さなクモが数匹足元に近づいてくる。
日本のアシダカグモっぽいのとハエトリクモを二回り大きくしたようなクモ。
大きいクモが挨拶するように足を二本上げる。
ズモォ~とうい表現が近い感覚で、雨の当たらない場所が欲しい。
代わりに野菜に付く虫食べると伝えてくる。
犬小屋みたいの立てればいいかね? それも許可取りしよう。
こうして俺は対害虫への防御対策を手に入れた。
天然農薬を製造する予定だったが、何故か生物農薬が手に入った。
なんじゃこりゃ~!!
◇
畑を離れ街の食堂へ向かう。
食事を取りながら先ほどの状況を説明し、なんなんですかね? とパオラさんの知恵を借りる。
「職業にテイマーと言うものがあるの。犬や狼とか大型獣を操る人達なんだけど。ただ、動物と話せるという話は聞かないしノアくんがおかしいんじゃない?」
そう失礼なことを言う。
「正確には話してるというよりも、何か分かる気がするというのが適切です」
「魔法もどんどんおかしさに輪が掛かってきてるし、あんな魔法は、ノアくんしかできないよ?」
「いやいやいや。私は魔法適性低いただの器用貧乏ですよ! この間見せてもらった。パオラさんの魔法の威力の方がずっと私には羨ましいですね」
いや本当に。――不公平だ。改善を要求したい!
パオラさんは白けた顔して「テイマーさんに謝ってあげて」と呟いた。
「そっちも鳥とか虫とかですから、器用貧乏の範疇だと思いますが?」
パオラさんが疲れたように「貧乏ってなんだろう」と嘆いている。
知らんがな!
ご飯も食べ終わったので、この後の今日の予定だ。
例の許可取りはパオラさんが確認するので、明日まで待つように言われた。
以前立てた目標の三つ目。
俺の可能性の確認だ。
俺が今要望をだしているのは、調合師、錬金術師、鍛冶師、テイマー、精霊魔法、召喚魔法だ。
調合師は薬やポーションの調合を行う。
錬金術と鍛冶は読んで字のごとくで、テイマーは言わずもがな。
精霊魔法は、精霊の力を借りて、魔法行為を行う。
召喚魔法は、魔法によって使い魔と呼ばれる疑似生物を生み出し使役するそうだ。
幸運だったのは、この大国は体系立てて研究しているので、大学の研究施設に専門家がいたことだ。
流石に鍛冶師とテイマーはいないが、それ以外は、講師及び研究者を兼ねて複数人いる。
俺的には、死の草原の草をずっとアイテムボックスに入れているので、調合師に何か利用価値がないか聞きたい。
旅の道すがら売れないか、ときどき見せたが、嫌な顔しかされなかった。
調合師は予定が合わなかったので、今日は錬金術師に教えを乞う。
地球での錬金術師っていうと。
如何わしいとかっこいい! の対局の印象があるけど、この国ではどうかな?
それじゃあっ! 取り敢えずいってみようっ!
いかつい顔した髭をたくわえたおっさんと挨拶を交わす。
俺一人の為に時間取らせてすみません髭おっさん。
専門用語がでると理解できないので、度々止めてパオラさんに確認する。
休憩を挟み講義は三時間ほどで実技が二時間。。。
詰め込みますね。メモで手が疲れた。
書き取りも共通語の練習ですよ。
――2倍頭使った感じ。
結論を言うと錬金術はしっかりとした技術者でした。
ザックリ内容をまとめると錬金術とは本質は錬魂術。疑似の生命を生み出す方法を模索したり、人間の魂の質を向上させるのが本道。
究極的には人間の格を上げる事を目的として魂の研究をしている。
ただし、錬魂術なんていうと一気に顰蹙をかうので、錬金術を名乗っている。そして、金の錬金製造はすでに確立している。
問題は金を買うよりコストが高いため一人前になるための一種の通過儀式となっているそうだ。
錬魂関連はここ数百年進歩は見られない。
錬金術師の主な仕事は、魔法的なポーション製造。
魔法を回復するマジックポーションとか魔法由来の病気用治療ポーション。
過去に存在した伝説の各種ポーションの製造法の解明。
魔道具の製造。
ゴーレムの製造
最後に国からの委託された必要物資を錬金召喚を実行して調達をする。
内容は金属とか魔石とかその時不足しているものだ。それらを錬金召喚している。
次は実技だ。マジックポーション作成が開始される。
髭おっさんの説明をなぞるように俺も作成する。
――よし! 一発で成功。
次! ――魔道具の作成。
まず魔石に火属性を纏わせる。フムフム。
そして、魔刻印を刻む魔刻刀という魔道具で、髭おっさんのを見本に丁寧に流し込むように刻印を刻む。こんな感じかな?
へぇーこれが魔道キャンプファイヤーの元になるのね。へぇー。
これも成功! 俺って器用だな。
そんなに褒めんなよ! 髭おっさん。
最後は錬金召喚か、魔砂土という白い砂みたいなのをひと握りする。
呪文を唱えて、魔砂土を対価に魔石を生み出している。
出来た魔石を持たせてもらってよく観察する。
俺も同じ手順で呪文を唱える。どうやら俺も出来たようだ。
髭おっさんに見せると又褒められた。ナッハッハッ。
髭おっさんは最後に無詠唱で対価無しに魔石を生み出して見せた。
慣れたらこんなことも出来るとドヤ顔だ。
俺もやってみていいか聞いてみる。
君は才能があるから、焦らなくてもそのうち出来るようになるよだと、上からな髭おっさんだな。
では早速、一度目! ――失敗。
テヘ! 二度目! いくぜ! ……失敗! テヘテヘ!
泣きの三度目だ! ――あっ! 成功! やったね!
あれ髭おっさんそんなに驚いてどうしたの?
無詠唱の魔石召喚は結構魔力が必要のようで、三連続発動して、三回目で成功の二つに驚いている。
フハハハハ! やればできる子とは俺様のことだっ!
錬金召喚はどんなものが呼び出せるのか詳しく聞いてみた。
へぇー、しっかりと内容を理解している品で触ったことがないとまず無理だとのこと。
あと対価に相当する魔力が足りなくても発動できない。
魔力が等価交換ってことだね。
しっかり内容を理解してるもの???
そういえば、今日の畑作業中に、あったらいいのになと頭で考えていたものがあった。
お遊び半分に錬金召喚を使ってみる。
すると、現れましたるは……。
――――タ〇イのシャキットの絵袋。俺の大好きなキュウリの種だ。
*この物語はフィクションです。
空想のものであり、現実社会とは一切関係がありません。




