1.色々頑張ってんだよぅ
シチュー食べたい
やぁ!こんにちは!俺の名前は、 西宮 雪!
……っとまぁこんな感じで自己紹介したけど
はい、どうも西宮 雪と申します。
16歳 B型 好きな食べ物はシチューです。
女みたいな名前?言うなよ……
今はシチューの話だろ?………嘘だよ。
ちなみに今はゲーム中です。学校はどうしたのかって?
殴られる、蹴られる、影口言われる等々、
虐められて、先生達も気付かないふりとかするんで
ただいま引き籠もり中です。
ちなみに今やってるのは『モンスターオンライン』
という様々な種族の中からランダムで
プレイヤーの種族が決められ、その種族仲間と
共に他種族を倒し、仲間にするゲームだ。
そんなゲームの中での俺の種族……
それは『スライム』だ!
フッフッフッ貴様、スライム雑魚乙とか
失礼なこと考えたな?え?考えてない?
えっと…まぁ…考えたってことでいいや。
とぉ~にかっく!重要なのはそこじゃない!
スライムとは確かに雑魚だ!しかし、
スライムはランダムでなれる確率が凄く低い!
しかも他種族と違い、スライムは種族領土を
持たず、どこの領土でも移住し放題。
それに加えて、スライムは進化するのだ。
他種族の進化が2回までなのに対し、
スライムは5回も進化できる!
そりゃ最終進化は難しいが、最終進化まで
到達してしまえば、レイド戦の魔王に
単身で挑まない限りは無双できる。
俺がスライムは雑魚じゃないと言った理由…
俺はその最終進化なのさ(ドヤァ…)
ここに至るまで苦労しましたよ…
初期の雑魚スライムでゴブリンを
倒しまくり、着々と成長していき、
種族の王をにまで勝ち上がったり、
龍や他種族の王を倒したりと……
そして最後にレイド戦で魔王を撃破し、
最終進化を行い、無双スライムになったのです。
この感動は涙、もしくは目薬無しでは
語りきることができないのだ!
てなわけで、ゲームを始めるでござるよ~
と始める時に何故か床に魔法陣。
異世界転移的なヤーツですよ絶対!
落ち着け俺、これは後十数秒で発動するはず…多分
窓や扉は鍵がかかってる!…多分
そうとなれば本来、窓や扉を叩いて
開かないことを確認するための時間……
しかし俺はそれを使い少しだけでも準備だ!
まずは全く記述していない黒いリュックを
高速で取り、使える物を突っ込んでいく。
全く記述していない未開封の岩塩飴、メモ帳、
文房具類、赤べこ、炭酸飲料×2、ガラスコップ、
手のひらサイズ地球儀、スマホ(あと88%)
「よし、後は…」
毛布を足の間に挟み、ゲームを楽しみながら
食べようとしたシチューを両手で持って
あとは召喚を待つだけだ!
いやぁ~全く記述していないせいで
入れた物の半分ぐらい、全く憶えてないよ~。
まぁ後で確認するけどさ……
それにしても、こんな短時間で行動しながら
考え事を超高速で済ませる辺り、俺って
天才じゃないか?…いいや駄目だ!
このテンションで異世界なんか行ったら
死ぬぞ!ゴブリンにやられる雑魚キャラだぞ!?
いいか?俺は天才じゃない。そうだ…
あれは神が準備をしなさぁいと授けて
下さった力だ。きっとそうに違いない!
《思考超加速スキルLv1を獲得しました》
ほらな?うん、ワカッテタヨー。
期待なんてシテナカッタヨー。
いやちょっと待てや。今の声はあれか?
天の声ってヤーツですかい?
感情が無いような声なんだなぁ……
とそんなこんなで強烈に光り出す魔法陣。
紫色の光が眩しくて目を閉じる……
そして次に目を開いた時、視界に入ったのは…
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
大勢の人。しかも大体制服の奴ら……
しかもその制服うちの学校のなんすよ
つまりほぼ俺の敵って事でござるよ。
怖いなー怖いなー胃が痛いなー
《苦痛耐性Lv1を獲得しました》
《恐怖耐性Lv1を獲得しました》
ほらこんな耐性ゲットするぐらいだぞ!
《苦痛耐性がLv2に上がりました》
《恐怖耐性がLv2に上がりました》
レベルアップしちゃうぐらいだぞ!
さてそろそろをふざけるのはやめよう
俺がいるのは『ド』が付く程デカい
石壁に囲まれた部屋、恐らく召喚あるあるの
城内だと思う。俺はその部屋の一番後ろの
壁に背を預けている。一番後ろにいるので
前にいる人数がよく分かる。人数的には
2年全員が転移したんだと思う。
《予測スキルLv1を獲得しました》
うん、スキルって簡単に手に入るね。
さてさて後はシチュー食べながら
話を聞いてようかな。というわけで
壁に寄り掛かり、床に座り、毛布を背中に掛けて
準備OK!さてシチューを食べながら聞こうか。
「おい!なんだよここ!」
「どこだよここ!」
「そうよ!どこよここ!」
「チート生活するでござる~!」
「勇者召喚じゃね?ウェーイ!!」
「なんでいきなりこんな所に!?」
oh……誰だよ、ござるの奴…
慣れるの早すぎだろ。俺もだけど
「勇者様方!落ち着いて下さい!」
全体まで聞こえる程の大声を出したのは
白髪の文官?っぽい、じいさん。
すげぇ、皆静かになっとる……
「いきなり呼び出した事を謝罪します。
勇者様方にこの国を救っていただきたく
私達が召喚させていただきました。」
「ふざけんじゃねぇ!今すぐ帰せ!」
「そーだ!そーだ!」
「勇者とか召喚とかふざけるなよ!!」
「爺はお呼びじゃないでござるよ!」
「姫を出せよ!姫を!」
また、騒がしくなってきたなぁ
あとさっきの2人は相変わらずだな
まぁいいシチューはやっぱ旨いなぁ~
「勇者様方!申し訳ありません!
ですが、今はどうか話を聞いて下さい!」
次に聞こえたのは女の声。きっと王女に
違いない。そうに決まってる。
てかすげぇな男子沈黙…いや、惚れたなこれ
だって美人だもん、タイプじゃないけど
「私は第2王女のエマと申します。今回
急に呼び出してしまい申し訳ありません。
しかし魔族による攻撃に対抗するには勇者様の
お力に頼るしか無かったのです!
勇者様方の衣食住は出来る限り
支援しますのでお願いします!どうか
お力を貸してもらえないでしょうか?」
どうするんだい?誰か答えろ~
てかこういうのは大体最初に召喚した国は
悪い奴らが大勢いて、勇者とか言われて
コロッと騙された奴が魔族の言い分を
全く聞かず、あげく魔王にボコられるのが
落ちなのだよ。つまりこの後の展開は……
「もちろんだ!同じ人間が困ってるんだ!
皆!力を貸そうじゃないか!!」
「おう!そうだな!」
「まぁ俺ら勇者だから楽勝だろ!」
「皆…ありがとう!」
リーダー的なイケメン野郎がコロッと騙され、
それに続いてコロッと騙されるイケメン野郎の
親友等々、色々小説通りに進むのだよ。
女子達の見るだけで凍りそうな眼差しが
見えていないんだろうか?
ふと王女を見てみると黒い笑み…
な?テンプレだろ?
「では皆さん!少し移動しますので
付いてきてください!」
食べ終わったシチューを部屋の隅っこにおいて
リュックに毛布を入れて背負って俺もついて行く。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
さてさて移動してきたのはデカい+装飾された扉。
大体予測出来るよ。謁見の間とかだろう?
《予測スキルがLv2になりました》
スキルレベル上がったのね、はい
「これからお父様……この国の王と
会っていただきます。部屋に
入りましたらこちらのファムソの
真似をしてくださいね。」
王女が示したのは先程の白髪の老人。
じいさんファムソって言うんだな。
そして扉は開かれた。
「お父様、勇者様方をお連れしました」
王女は入ってから王の横の席へ座った。
そしてファムソは王の前まで行き、
跪いた。マジか、俺らもやんのかこれ?
「おい!陛下の御前であるぞ!
早急に頭を垂れよ!」
なんか知らないおっさんが怒ってる。
あんた誰だよ……
そんな事、答えるはずもなく、王女の視線に
促され、イケメン野郎から跪いていった。
「勇者よ…面をあげよ」
そして全員が顔を上げると王様というより
悪代官の方が向いてそうな顔の王が
玉座からこちらを見ていた。
「勇者よ、よく来てくれた。これから
魔族との戦争に向けて日々鍛えるがいい。
衣食住はこちらが支援しよう。
話は以上だ、下がって良い。」
話短いな…と思いつつ、下がる。
そして扉に向かい、気付いた。
「(俺、先頭になってね…?)」
なんという盲点!!ピンチじゃねぇか!
一番後ろにいたら帰るとき必然的に
先頭になんじゃねぇか!!やばいなり…
後ろを見るとまだ奴らは立ち上がったばかりで
こちらを見ていない!やったぜ!
忍び足で列の暗めな連中に紛れ込む。
これで大丈夫なはず…多分
よし移動しよう。てか今更気付いたけど
ずっとリュックって目立つなぁ……
まぁなるべく気配を消してよっと
《忍び足スキルLv1を獲得しました》
《隠密スキルLv1を獲得しました》
お、いいね。少し地味になった気がする
では改めて出発するでござるよ~。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「では、まず自分の能力を調べるぞ!
ちなみに俺は武術訓練の教官、
騎士団長のガイスだ!よろしく!」
さてさて目の前におられるナイスガイ様は
騎士団長なんですって奥さん。
爽やかオーラ全開ですわよ~
まぁそんなことは置いといて
能力チェックってステータスってこと?
「まず全員ステータスオープンと唱えてくれ」
ほぉう!よくあるヤーツですぜ!
よし小声でやろう。
「ステータスオープン」
おおっ!半透明の紫板だ~すげぇ~。
さて俺のチートステータスちゃんおいで~。
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【名前】ユキ ニシミヤ
【種族】人間族
【HP】100
【MP】100
【攻撃力】100
【防御力】100
【耐久力】100
【精神力】100
【速さ】100
【スキル】《思考超加速Lv1》、《予測Lv2》、
《隠密Lv1》、《忍び足Lv1》
【固有スキル】《スーパーすらいむさんLv1》、
《異世界人間語マスター》、《日本語マスター》
【耐性】《恐怖耐性Lv2》、《苦痛耐性Lv2》
【称号】異世界人、シチュー大好き、準備の達人
【装備】異世界のリュック
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いや、スーパーすらいむさんってなんだよ!
しかも固有スキルじゃねぇかよ!
喜んで良いの?ねぇねぇ喜んで良いの?
あと、引き籠もり学生ってなんだよ!
その通りなんだけどさ!
「皆見たか?まぁ基準として一般人の
ステータスはどれも100~800以上だ。
冒険者や騎士等は鍛えているから
1000~3000以上で異常に強い奴とかは
10000以上あるぞ。他の国にいる獣人や
龍人なんかも結構強いぞ。
ちなみに勇者のステータスは最初から
どれも500~2000あって鍛えるとこの世界の
者では叶わないぐらい強くなるらしい。」
俺、オール100なんですけど?
やばくね?やばいよね?
まぁ…いいし…別に固有スキルあるからいいし…
いじけてなんかないし…鍛えれば良いし…
「やった!俺、全部2000だ!!」
「すげぇな!俺は力以外が1500ぐらいで
力は2000だな!結構良いんじゃね?」
イケメン野郎とその友達め……、結構良いとか
じゃねぇよ!俺のステータスと交換しろよ!
「まぁ今回低かったステータスも
鍛えれば上がるから鍛錬を怠るなよ!」
100なんだよ!この野郎!
「次に鑑定石を配る!これでステータスを
開きながら、分からない所を念じてくれ!
説明文が出るはずだから、それで
分からない所を無くしといてくれ!
あ、これ結構高いから無くさないでくれ」
そんなこんなで鑑定石が配られました。
まぁ最初に調べるのはあれだよね。
視界の隅にあるウィンドウを動かしてっと…
さぁ念じてみよう。
(えーっと鑑定!スーパーすらいむさん!)
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【固有スキル】《スーパーすらいむさんLv1》
世界中のスライムの能力が
ランクアップした状態で使用可能。
レベルが上がるごとに使える能力が増える
【吸収】
スキル使用状態で生物、物に触れると
能力を吸収出来る。吸収する量は自由選択。
スキルを吸収した際は取捨選択可能。
鑑定スキルがあると取捨選択の際に役立つ。
【圧縮】
物や生物を圧縮できるが
どの要素を圧縮するかは想像力に依存。
生物の場合は時間がかかる。
【軟体】
少しでも隙間があればそこで行動可能。
【成長補正】
成長速度が異常。普通の人間より
レベルが上がりやすく、スキルも発現しやすい。
【擬態】
吸収スキルを使用した生物や物に擬態できる。
〈擬態リスト〉
【スライム】
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スーパーすらいむさん…なんて素晴らしい能力!
チートじゃないか!これなら初期値オール100も納得だわ。周りの奴らへのハンデだね!
とりあえず今使ってもバレない【吸収】を
使ってみよう。最初だからとりあえず物に
やってみたいけど…なんかあるかなぁ……
えーっとリュックの物にはスキルなんて
付いてないだろうし…手には鑑定石しか…
「あっ!」
oh……思わず声が出ちゃったぜ。近くが
暗めの奴ばっかだから見向きもされなかったが。
まぁいいや、鑑定石だよ!鑑定石!
こういうのはきっと鑑定の付与がかかってる。
多分あってると思うんだけど。とりあえず
鑑定石で鑑定石を鑑定してみよう。
(鑑定!鑑定石!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【鑑定石Lv5】
鑑定の付与がかかってる加工した魔石。
念じたものの鑑定が出来る。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マジで付与かかってたわ。これを吸収すれば
きっとスキルが手に入るはずだ!
てなわけで始めよう。小声で言うぜ
「吸収」
瞬間に訪れる脱力感。あれだなMP使ったからだな。
《鑑定スキルLv5を獲得しました》
おっ!おお…?え…?鑑定スキル手に入れたけど
なんでいきなりLv5なの?この鑑定石の
鑑定レベルが5相当だからか?
「おーい、そろそろ確認終わったかー!
終わった奴から鑑定石返しに来てくれ!」
やっべぇ能力とっちゃったんだが…
と、とりあえず石を鑑定してみよう。
「鑑定…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【石】
ただの石。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
やべぇ…ただの石になってる…
高いって言ってたよな……
よし、決めた!この事は黙っていよう!
てなわけで返す人が多い時に行って
どさくさに紛れて返してきました。
団長の近くに行った瞬間冷や汗が出ました。
「よし、数はちょうどだな。皆聞いてくれ!
明日は全員の初期値を記録してから
訓練だ!だから今日はゆっくり休めよ!」
「「「はい!」」」
うん、俺は返事しないよ?
「ここにいる教師や生徒、1人1人に部屋が
ある!案内された階の部屋は好きな所を
選んでくれ!部屋に鍵が置いてあるから
鍵を閉めてからすぐここに来てくれ!」
また行くんかい!ゆっくり休まないのかよ!
「全員揃ったら食堂に行くぞ!
メニューから好きな物を選んでくれ!」
おおっ!シチューはあるんだろうな?
あるならゆっくり休む暇はないぜ!
シチュー食べたい