8話
それにしてもなんでこんなことに……。
ただ俺はステファニーについていっただけだ。
悪いことなど全くしてないとは言わないがよいこともそれなりにしている。
「じゃあ、君は海の家に近づいてないんだね?」
「はい、それには証人がいますから」
事件発生は海の家だったらしい。
俺はそこには近づいていないし、ステファニーやお世話係の人たちがいたから証明されるはずだ。
「でもねえ……」
白髪交じりの俺の世界で言う警察官は(実際は少し違うらしいが)疑わしげに眉を寄せる。
「君、異世界から来たんだろう?」
だからなんだ。
そう叫びたいがこれ以上疑われることをするのはやめよう。
「はい、そうですけど……」
嘘をつくと疑われる可能性があるので正直に答える。
やましいことなんてないし。
「じゃあ瞬間移動とかできるのではないかね?」
その言葉に目が点になる。
冗談かと思ったが本人は真面目な顔だ。
そんな超人的なこと、俺に出来るわけないだろ……。
俺のあきれた顔を察したのか警察官は慌て気味に補足をする。
「し、しかし私はそんなこと本気で思っているわけではないがね!?」
しどろもどろ言い訳をして慌てて立ち上がったとき目の前においてあったコーヒーをこぼしてしまう。
慌てすぎだろ……。
「とりあえず俺にはそんなことできないです。頭は悪くない方ですが運動神経は凡人レベルなので」
はっきり言うと彼は
「そ、そうだよな。もちろん分かっていたとも」
目をそらして手でドアを指す。
もう帰れということだろう。
「ちなみに、犯人のめぼしはついているんですか?」
ふと気になって訊ねる。
「そ、それは捜査に関係ない君には、お、教えられないぞ!」
まだ動揺している。
まあいいか。
「では、さようなら」
「さ、さようなら」
まだ動揺している警察官。
案外彼は異世界人=超人ということを信じていたのかもしれない。
それにしても、疑いが晴れてよかった。
しかし、きっとステファニーによってまた平和が取り乱されるのだろうな……。




