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エピローグ

 数ヶ月後の日曜日、俺達はステファニーに再会した。

 もちろんアミカも一緒だ。

 どうやってきたか訊ねると、


「魔法です」


 と胸を張って答えられてしまったのでそれ以上追求しなかった。

 魔法だと原理とか分からないし。


「折角だし遊園地行こうぜ!」


 樹はノリノリでそんな提案をした。

 まあ今月のお小遣いはまだ残っているしいいだろう。


「ええ、そうしましょう!」

「そうだね! それがいいね!」


 ステファニーとアミカも賛成のようだ。


「じゃあここから一番近いところ行くか」


 樹はそう言ってバス停へ歩き始めた。


     *     *     *


「ここが! 遊園地!」


 嬉しそうに飛び跳ねるアミカ。


「私もはじめてです。すごく楽しそうですね」


 周りの歓声に負けないくらい大きい声でステファニーが言った。

 周りにはそこそこの人がおり、皆それぞれ笑顔を浮かべている。


「とりあえず、全部制覇だ!」


 樹はわくわくと地図を見ながらどうすれば効率よく全部まわれるか考え始めていた。


「近くにあるのから順番に円をかく様にしてまわればいいんじゃないか?」


 この遊園地は真ん中に休養スペースがあり、アトラクションはない。

 だからそれが一番効率がいいと思ったのだ。


「賛成、賛成!」


 アミカは嬉しそうに飛び跳ねる。

 あれから少し経ったが身長はあまり伸びてないので迷子にならないか心配だ。

 ……あっちの世界ではもっと時間が経っているはずなんだけどなあ。


 反対にステファニーは完璧“大人の女性”になっていた。

 金髪の綿飴みたいな髪の毛が更に伸びていて、雰囲気もぐっと大人っぽくなった。

 身長も俺より少し低い位で165は超えたのではないだろうか?


「最初はじぇっとこーすたーですね。じぇっとこーすたーって何ですか?」

「速い乗り物だよ」


 俺が簡単に説明すると納得したように頷いた。

 でもステファニーには物足りないのではないだろうか。

 だって、通常運転のスピードがジェットコースター並みだし。


     *     *     *


「気分が悪くなりました……」

「何でだよ!」


 いつもこのスピードレベルの運転していたくせに!


「だって速いんですよ? 速いんですよ!?」


 二回言わなくても知ってる。

 というか遅いジェットコースターは逆に怖いだろ……。


「でもステファニーいつもこれ位速かったよ?」

「そんなに出しているつもりはありません!」


 まさかの自覚なしか……。


「これ、楽しいね! もう一度乗りたいっ!」


 しかしアミカはお気に召したようでもう一度乗っていた。

 よく酔わないな、と感心しつつ次の場所を確認する。


「次はメリーゴーランドか」


 流石にメリーゴーランドは乗りにくい。

 でもアミカなら乗りそうだな。


「ただいま!」

「…………」


 元気よく帰ってきたアミカと疲れて言葉も出ない樹。

 樹は少しふらふらしている。

 さすがに二連続は辛かったのだろう。

 それでも元気なアミカは流石だ。


「次はメリーゴーランドだって」


 そういうと樹は、


「……俺は、いい」


 とぐったりした様子で言った。

 なら俺も待ってるか。

 どうせ乗ろうと思ってないし。

 その旨を伝えると二人は、


「そうですか、残念です」

「了解! 確かに樹一人じゃ心配だもんね!」


 納得したように頷いてくれた。

 近くのベンチに腰掛け、二人が乗るのを見守る。

 隣には青い顔をした樹がいる。

 少し心配だ。


「大丈夫か?」

「ああ……」


 口では大丈夫といっているが、気分が優れなそうだ。

 話すのも辛そうなので、話しかけるのはやめとこう。

 そうして待っているうちに、二人はメリーゴーランドをおりてこちらに来た。


「楽しかったです~」

「アミカは物足りなかった……」


 本当に楽しそうに言うステファニーとしょんぼりした様子のアミカ。


「あのお馬さんが空飛んでくれると思ったのに~」


 ……それは流石にメリーゴーランドの域を超えている。


「で、次は何ですか?」

「次は……射撃ゲームみたいなものだ」

「しゃげきげーむ?」


 あの世界にはなかったのだろうか?


「簡単に言うと銃を持って敵をうつゲームです」

「そうなんですか! それは楽しそうですね」

「俺も楽しみだ!」

「いきなり大声出すな!」


 そんな話をしていると復活した樹が大声で言う。

 復活したのはよかったけど、さっきとテンション違いすぎだろ……。


「樹、樹ってしゃげきげーむ得意?」

「ああ! 得意というより好きに近いけどな」


 頬をかきながら少し顔を赤くして説明する。

 それくらいアミカのキラキラした瞳で見られるのが照れたのだろう。


「早く行こう!」


 こうしてジェットコースターから復活した樹を先頭に俺達は射撃ゲームに向かった。


     *     *     *


「おりゃあああ!」


 俺は自分の敵を撃つのも忘れて樹の行動に目を奪われる。

 チームプレイも出来るとのことで1チーム4人で挑んだのだが樹の独壇場だ。

 俺らがすることはほとんど……いや何もない。

 全て敵は樹に撃たれている。


「すごいですね……」


 始めはステファニーもやっていたが、あまりに樹が速すぎるので諦め今は棒立ちで樹の一挙一投足に目を奪われている。


「さすが樹!」


 アミカにいたっては全くやる気がない。

 おもちゃの銃を置いてずっと樹の応援をしている。


「これで、終わりだっ!」


 最後の必殺技を発動して……、


――WIN


 画面には俺達のチームが勝ったことを知らせる3文字のアルファベットが出てきた。


     *     *     *


 そんなこんなで遊園地を周り終り、すっかり夜も更けた時。


「今日はありがとうございました」

「樹に会えてよかった! あと雄吾とも!」


 お別れの時間が迫っていた。

 もう少し話していたかったのに、なんで幸せな時や楽しい時は短く感じるのだろう。


「ありがとな!」

「こちらこそありがとうございました」


 そういえば、ステファニーに別れの前に言おうと思って感謝を言ってなかった。


「ステファニー、本当に今までありがとう。勇者としてあの世界に行ったとき、たくさん話してくれてありがとう。言おうと思ったけど言えなくて」


 この機会に感謝の気持ちを伝えよう。

 もう会えないだろうし……。


「いえ、私の方がお世話になりっぱなしでした。今思えば変なことに雄吾を巻き込んでしまいましたね」


 買い物とか、海にいきなり連れ出したりとか……。

 と付け加えられてああ、確かにそんなことがあったなと苦笑いする。


「そろそろ帰らないといけません。今までありがとうございました。あと、また会いましょう」

「ええ」


 それが最後の言葉だった。

 ステファニーとアミカは自分の世界へ帰っていく。

 『また会いましょう』と彼女は言った。

 つまりまた会えるということだろう。

 いつの日か分からないけどとても楽しみだ。


     *     *     *


 そしてその“また”の日はすぐやってきた。

 一ヵ月後、更に大人びたステファニーとあまり変わってないアミカが来たのだ。


「私の世界で一年に一回ならこの世界にアミカと来ていいと言われたんです!」


 と嬉しそうに報告するステファニーにまだまだ楽しい生活は続きそうだと感じた。

今まで見てくださった方ありがとうございました!

また新しい作品を書くつもりなので見てくださるとありがたいです!

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