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21話

「雄吾、大変です!」

「え……、何?」


 いきなりのことに俺は目をこする。

 ベッドの近くの時計を見ると午前5時。

 起きるのには少々早い。


「球体があともう少しで満ちます!」


 きゅうたいがあとすこしでみちる?

 寝ぼけている頭を無理矢理奮い起こし漢字変換する。


「え? 球体があと少しで満ちる!?」


 ということは帰るのにそう遠くはないということか。

 きっと昨日のパーティーはツッコミ満載だったしその影響だろう。

 でもそろそろお別れだと思うと少し寂しい。

 まだ7日位あるししばらくはツッコミ休もうかな……。

 そんなこといってもステファニーの天然発言にツッコミそうだけど。


「だから先に言っておきます。私は、雄吾と会えてよかったと思っています。雄吾のおかげで楽しく過ごせました。友達も出来ました。私が少し前まで思っていたこと、全部可能にしてくれました」


 いきなりの言葉に頭がついていかない。

 なんでステファニーは泣きそうなのだろう。

 まだ、もう少し会えるのに。


「では、これで。また、会えるといいです」


 寂しそうに笑って彼女は去っていった。

 不意に俺は眠くなり、意識が途絶えた。


     *     *     *


 ステファニーが雄吾の部屋に行く少し前、樹は既に起きていた。

 早寝早起きが習慣なのだ。

 そして昨日と同じように城下町に行く。

 少しでもツッコミをして早く雄吾を元の世界に返したいためである。


「樹ー!」

「だから危ないって!」


 いつも通りアミカにタックルされそうになりつつ避ける。


「いつも樹は早いね!」

「まあな。アミカもそうだけど」


 八百屋の娘でよく手伝うからかアミカは早起きだ。

 しかもアミカもボケが上手いので(本人は真面目だが)樹は球体に光を貯める為アミカに会いにきていた。

 ……まあ実際アミカと話しているのが楽しいからの方が大きいが。


「そんなことないよ! アミカ、いっつも起きるの4時だもん!」

「十分早いと思うぞ?」


 少し呆れ気味に言いつつ、隈は出来てないので睡眠不足はないだろうとこっそり確認する。


「そういえばね、アミカ最近嫌いな物食べれるようになったよ!」

「そうか。偉いな」


 よしよしと頭をなでると、


「うん、アミカ前までゼリー嫌いだったけどステファニーさんのおかげで食べれるようになったの!」


 と嬉しそうに報告する。

 友達の影響か……としみじみと嬉しくなる。


「それからね、これあげる!」


 アミカが樹に手渡したものは、ヘアピンだった。

 全体的に落ち着いた感じの青でとてもキレイだった。


「俺には、似合わないよ……」


 苦笑気味に返すとアミカは、


「似合うよ!」


 と強引に樹につける。


「あ、ありがとう……」


 強引につけられ苦笑いする。

 たまにはこんなのも悪くないかと思いつつ。


「やっぱりキレイ! 樹がつけるともっとキレイ!」


 嬉しそうにキレイを連発するアミカをみて妹みたいだと再確認する。


「これ、野菜で作ったんだよ!」

「え?」

「ウッソー! まさか引っ掛かるとは!」


 いたずらが成功した時の子供みたいに愉快そうに笑う。


「やっぱり樹おもしろいっ!」

「でもアミカの方が面白いよ」

「何で? アミカ変なことしてないよ?」


 首をかしげて考えているが思いつかないようだ。


「いや、野菜を手でつぶして野菜ジュース作ろうとしたり、スイカ割りの時スイカと格闘し始めたりどう考えても変だろ!」

「そーかな?」

「そーだよ!」

「あれ? 樹少し体透けてる……?」


 アミカの言葉に自分の体を見ると、確かに僅かに透けていた。


「もしかしたらもう光が貯まったのかな……?」


 不審に思いつつ、急に眠くなってきて、


「おやすみ」


 その言葉を残して樹は寝てしまった。


     *     *     *


「んあ?」


 俺が目を覚ますと目の前には樹がいた。

 ここは俺があっちの世界に来る前の喫茶店?

 時計を見ると時計は7時を指していた。

 少し待っていると寝たままの樹も起きた。


「戻ってこれたか」


 ほっとしたように樹が言う。


「ああ」


 俺も少しほっとした。

 何も言わずに家族や友達と会えないのは辛いし。

 しかしそこではっと気付く。

 ステファニーに、大事な友達に別れの言葉をいえなかった。


 その後悔はとても大きい。

 ただ、一つだけ思い出したことがある。

 確かステファニーは「また会えたらいい」といったような言葉を残していた。

 もしかしたら、また会えるかもしれない。

 そう淡く期待を寄せている自分がいた。


「なんか夢みたいだな」


 樹がまだ眠そうな目をこすって呟く。


「確かに」


 でも、あの体験は本物のはずだ。

 少し変な勇者も、天然な女王様とのボケツッコミも。

 だって俺の手には、


『今までありがとうございました ステファニー』


 とステファニーの手紙が入っていたのだから。

本編はこれで終わりです。

しかしあと一話後日談みたいなのを更新予定です。

もしよければ後日談まで見てくれると嬉しいです!

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