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20話

「というわけで樹が連れてきてくれます」

「わざわざありがとうございます」


 ステファニーは嬉しそうに笑った。


「本当は雄吾も忙しいのに……」


 きっと、期限があることを心配しているのだろう。

 でも、ステファニーを、大事な友達を笑顔にする方が最優先だ。


「大丈夫だよ。でも本当によかったのか?」


 俺が心配しているのは身分的な問題だった。

 遊ぶのを許さなかった両親が身分が低い人と友達になるのを許すだろうか?

 まあ、それがダメだったら他国の王族以外友達になれないが……。


「それについては大丈夫です。友好的に接して怒られることはありません」


 ならよかった。

 そんな時、樹の声が聞こえた。


「遅くなった、悪い!」


 その樹の横には赤い髪の毛と八重歯が印象的な少女がいた。


「こんにちは、ステファニー様」


 真面目な表情をしてペコリと頭を下げる。


「私、アミカと申します。本日はお会いできて光栄です」


 あまりの礼儀正しさに驚くステファニー。


「アミカ、というのですね。よろしくお願いします。あと私に対してはタメ口でいいですよ」

「いえ、そんなことはできません!」

「そうですか……。まあ慣れてきたらタメ口にしてください」


 少し残念そうにしつつ、引き下がる。


「私と友達になってくれますか?」

「もちろんですっ!」


 目を輝かせてステファニーを見るアミカ。


「そうと決まればパーティーをしましょう」


 ステファニーが嬉しそうに言った。

 なぜパーティーをするのか最初は分からなかったけどきっとステファニーにとってそれだけ友達になるのが嬉しかったのだろう。

 なんだかほっとした気持ちになって俺もパーティーの準備をお手伝いさんと一緒に始めた。


     *     *     *

「というわけで、私とアミカの友達記念日パーティーを始めますっ!」


 いつになく嬉しそうな笑顔でステファニーが言った。


「わーい!」


 先ほどまでの礼儀正しさからは想像できない様子でアミカがはしゃぐ。

 しかし樹の様子を見るにこれが普通の時の態度なのだろう。

 確かにこちらの方が少し小さな背の彼女に会う気がする。……別に子供っぽいというわけではないが。


「アミカに喜んでもらえて私も嬉しいです」

「でも俺らも嬉しいよ。な、樹」

「ああ。流石に友達いないのは辛いよな」


 いつも周りに人がいる樹だからきっと他の人よりも寂しく感じてしまうのだろう。


「ところであの子とはどこであったんだ?」


 少し疑問に思い訊ねる。


「ああ。アミカはこっちに来たときお世話になったんだ。俺みたいないきなり来た奴をお世話してくれた。いい奴だからステファニーもいい人だしぴったりだと思ったんだ」


 そういえば最初の方は樹と別行動だった。

 そのときにお世話になったのか。

 そう考えている間にもパーティーは進む。


「では、折角ですしパフェの一気飲みでもします?」

「いいですね!」

「ちょっと待て! お前ら、パフェは食べ物だぞ!!」


 危うく流すところだった。

 流石にそれは危ない。


「えー、アミカは普通にやってたよ? さっきはゼリーだけど」

「のどに詰まらせたら大変だぞ!」


 こればかりは本当に怒る。

 俺の世界でもそういう人いたけどろくな目にあってないから。


「ごめんなさい……」


 流石に本気で怒ったら分かってくれたようでよかっ……。


「じゃあミキサーで液体状にしてからやるね!」

「そういう問題じゃないっ!」


 そしてそんなパフェもどきを食べたり飲んだりしたくない。


「やるならこれにしなさい」


 俺は500ミリペットボトルを渡す。

 少し不満そうにしていたが我慢してもらいたい。


「じゃあステファニーさん、勝負しましょう!」


 アミカが笑顔で言って蓋をあけた。

 堅苦しい敬語ではなくなり少し仲が深まったのかな? と考えてしまう。

 でもこれで俺達は何の心残りもなく帰れる。


 そんな俺は気付いてなかった。

 既に光はほぼ満ちており、別れが突然来ることは。

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