1話
「さすが異世界……」
俺は城下町につくなり驚いた。
はじめに、人間はいるが半分以上は人間以外つまり獣人とか、妖精とかがいること。
見回した限りでも犬耳や猫耳が生えていたり、丘で見た蝶みたいな妖精がたくさんいる。
次に、お店に売っているものが元の世界とは全く違うこと。
まあ売っているものもあるが、四角い箱が光って誰も押してないのに動いたり(しかもそれが通った後はきれいになっている。きっと掃除機みたいなものだろう)雨ではなく飴を降らせる機械みたいなものがあったり……。
純粋に見惚れてしまう。
こういう機械見たことなかったし。
最後に街並みが全体的に中世みたいなこと。
映画でしか見たことがないような感じだ。
レンガ造りの家とか、遠くに見えるお城とか……。
しかし見惚れているわけにも行かない。せめて宿を探さなくては……。
俺がきょろきょろしていると町の人に話しかけられた。
「あの、もしかしてこの世界の方ではないんですか?」
「はい、そうですけど……」
そう言うと彼は少し驚いたように俺を見る。
「えっと、なにか?」
「予言通り勇者が来たぞ!」
急に大声で叫び出す彼。
その言葉に近くにいた人が俺の周りに集まってくる。
「本当に勇者か?」
「でも異世界から来たんだろ」
「これでこの国も安泰だねえ」
周りの言葉が分からず首をひねる。
どうやら俺は勇者としてこの世界に来てしまったらしい。
そしてここから先はトントン拍子にことが進んだ。
近くを通った馬車に乗せられ、お城に連れて行かれさらに今、王女さまの前にいる。
「あなたが異世界から来た方ですね!」
王女さまはそう言って目を輝かせた。
国を治めるには若すぎる年齢だし年相応の子供っぽさがある。
ちなみに王女さまは見た目年齢15歳。
綺麗なブロンドの髪を下ろしていて青に近い色の目は好奇心に輝いている。
服装はゆったりしたドレス。
大人っぽいが少し子供っぽい部分もあるという感じだ。
「まあ、そうですけど……」
一応頷いておく。
「じゃああなたが勇者ですね!」
「いや、違うと思う」
流石にこれは違うだろう。
勇者になった覚えはない。
「じゃあ何者ですか!?」
なんか逆ギレされた。
だって勇者な訳ないだろうし。
「ただの人間だよ! 杉崎雄吾だよ!」
思わずつっこんでしまう。
「これは……。やっぱり勇者ではないですか!」
王女様はそう言って球体をさす。
さっきまで透明だったその球体は今、黄色に光り輝いていた。
「あれは勇者が力を使うと光るのです」
あっけにとられている俺を見て女王様は説明してくれる。
しかし俺には半分くらいしか入ってこない。
なぜなら――
「俺が勇者だと!?」
この事実が大きすぎて他の言葉が聞こえなかったからだ。
ということは好きなRPGみたいに敵を倒したりとかできるのか!
「ちなみに勇者の能力はツッコミです」
「はあ?」
しかしそんな希望もこの言葉で沈んでしまう。
ツッコミって何だよ、ツッコミって。
「ツッコミをしてこの球体が勇者の能力を使わずに光り輝くくらいツッコミパワーがたまればあなたの世界に帰します。そして時間の流れはあちらとこちらでは違うので大丈夫です」
よく分からないけど、ツッコミしまくればいいのか……。
なんか急にやる気無くなった。
「はいはい、やればいいんでしょ。やれば」
そんなこんなで俺の勇者生活が始まった。




