16話
「……こ、怖かった……」
俺は無事、目撃情報があった場所につきほっと息をつく。
ステファニーの運転は本当に免許を持っているのか聞きたくなるくらい雑だった。
普段天然ボケなレベルでおっとりしているのに、車を運転するとあんなに乱暴になるとは……。
もうこれからステファニーの運転する車は乗らない、と決意したところで俺は上機嫌のステファニーに話しかける。
「で、ここからどうやって探しますか?」
一応この町で樹を見かけた人がいたらしいが、詳しくはかかれていなかった。
「とりあえず、外を探しましょう」
確かにお金がないから外にいる可能性が高いだろう。
「そうですね」
俺は頷いて樹探しを始めた。
* * *
「……いませんね」
「はい、そうですね~」
一通り町を見たがどこにもいない。
一体、どこにいるんだ?
その時、
「あれ? 雄吾?」
俺を呼ぶ声が後ろからした。
中性的ともいえるこの声は……。
「樹じゃねーか!」
俺たちが探していた相手、樹だった。
「やっぱり雄吾もここに来てたんだな!」
「何でお前がここに!?」
どうやら樹は俺がここに呼ばれたことを知っているようだ。
「ああ、それは――」
「あの~、話が長くなりそうなので一回私の家に帰りませんか?」
樹の話が長くなりそうなので、ステファニーがおずおずと申し出る。
確かに、真冬ではないとはいえ夜なので寒いし、お城で話した方がいいだろう。
「あの、どちら様?」
しかし、樹は知らない人に警戒心をあらわにする。
「ああ、この人はステファニーって言って――」
「あ、あなたが女王様でしたか。お会いできて光栄です」
「こちらこそ」
少し緊張気味に挨拶する樹とペコリと礼をするステファニー。
ステファニーはいつも通りドレスを持ち上げて挨拶しようとしたが、ドレスではないどころかスカートでさえないのでそれは出来なかった。
「それでは、車まで歩きましょうか。少し歩きますがいいですか?」
「あ、はい」
「あと、私には敬語ではなくていいですよ。雄吾にもいいましたが」
「はい……じゃなくて分かった」
そんなやり取りをしつつ車に向かう。
そしてステファニーが運転席、樹が助手席、俺が後ろの席に乗り込んだ時俺は何か重要なことを忘れていたような気がした。
なんだっけ……?
「では、発進します!」
いつもより張り切ったステファニーの口調。
「ステファニーの車は危ないんだった!」
そのことに気付いたのは車が発進してからだった……。




