プロローグ
今回の話は異世界要素弱めです。
俺は異世界に来ていた。
一体なぜここに来てしまったのか……。
俺は数時間前のことを回想してみることにした。
数時間前。
「おい、雄吾! 一緒に帰ろうぜ!」
授業も終わり帰ろうとした時、後ろから声がかけられた。友達の樹だ。
「どうせ今日もなにか奢らせるつもりだろ? 今、金欠だから無理だぞ」
とりあえず言われそうなことを考え釘を刺す。
「そうじゃないって。面白いもの見つけたから一緒に見に行こうって思って」
面白いもの? 一体何だろう。
「まあ、ついてきてくれればわかるって!」
「ここ!」
樹が指さしたのは、女の子が好みそうな雑貨店。
普段男っぽいのにやっぱり女の子なんだな……。
樹の性別は女だ。一人称俺なのに。
「いや、樹が入るのはいいが、俺がここに入るのは……」
流石に入る気にはならない。
ガラス張りなので中がよく見通せるのだが女性客ばかりで男性客は一人もいない。
ここに入れとか悪魔か!
「まあ、流石にここに入るのは恥ずかしいかもね」
納得しつつ引き下がってくれた。
胸をなでおろしていると樹が
「じゃあ俺が買うまで喫茶店でお茶しててよ。すっごい面白いものだから雄吾にも見せたいんだ!」
そこまで面白いものなら俺も興味がある。
「いいよ。あそこの喫茶店で待ってる」
そう言って俺と樹は別れた。
空いている席に腰をかけコーヒーを注文する。
しばらくするとコーヒーが運ばれてきた。
ちびちび飲みつつ樹を待った。
「遅れてごめん!」
そう言って席に座る樹に俺は
「遅すぎ」
と茶化す。
「でも、面白いの見せてあげる」
「いや、それが目的だし。そうじゃなかったら怒ってるぞ」
やや眉を吊り上げて言うと
「冗談に決まってるだろ」
と笑った。そしてさっきまで持っていたビニールの袋を机の上に置く。
「面白いものっていうのはこの中に入ってるぞ」
いたずらを仕掛けた子供の顔だ。この中には一体何が入っているのか……。
樹の表情からいたずら系の可能性が高いだろう。
ずっと黙っていた俺を不審に思ったのか樹が声をかける。
「どうした? 中みないのか?」
「見るよ。ただ、変なものだったら怒るぞ?」
「大丈夫。ただ少し変わったもの、かな?」
意味深なことを言って笑う。
少し不安になったが流石にびっくり箱ではないだろうと信じて袋から箱を取り出す。
「何だ、これ?」
出てきたのは小さな箱だ。
やっぱりびっくり箱か?
訝しげに見ていると樹が
「これ、小型の機械。どういう理屈か分からないけどこのカメラ部分に自分の姿を写すとその人にぴったりの属性が分かるんだって。面白いでしょ?」
ニコッと笑う樹に確かに……と同意してしまう。
それはとても面白そうだ。
「ああ、面白そうだな。早速試してみるか」
「雄吾からでいいよ」
機械を差し出して樹が言った。
「いいのか?」
「うん、実は雄吾の属性見てみたいから買ったんだよね」
「そうか、サンキュ。で、写せばいいんだよな?」
カメラに自分の姿を写す。
しばらくすると機械が「しばらくおまちください……」と表示が出た。
「まだかな?」
樹は楽しそうにその表示を見ている。
しかし突然、
「あなたの属性はツッコミです」
という機械音声が聞こえたと同時に俺は、意識を失っていた――。
そして、今。
どう考えても異世界としか思えないところで俺は目が覚めた。
周りには蝶みたいな妖精が飛び交い、下に見える城下町には獣の耳をつけた人がいるから異世界で間違いないだろう。
というかこういう場合どうすればいいんだ?
山というより丘といった方が近い高さの地面の上で考える。
混乱しつつもとにかく話が通じそうな人を探すために城下町を目指した。




