Story 7;光と闇のなかで
あの事実を知ってから、あたしには前みたいな余裕とか自信とか、全部なくなった。
やっぱり…って。
たとえ誠斗さんとお母さんが再婚したって…あたしと朔斗の関係は何も変わらない。好きなものは好き。兄妹って言ったって、所詮血はつながってない…って思ってたから。でも…今となってはそんなこと言えないんだ…。
…宣戦布告、心の中でしたけど…朔斗、ごめん。エリと付き合った方が、いいよ…。
こんな重いこと、朔斗に言えるわけない…
翌朝…あたしは朔斗の前でだけ、引きつるギリギリの笑顔を見せて無理矢理学校へ行った。もちろん、エリの前でも。
「麻ー依っっ!どう?清楚っぽく見える??」
エリはかなり下の辺りで髪を2つしばりしていた。いつものまとめ方から、イメージが一変した感じ…。可愛い。
「可愛いじゃん!!いつものじゃないから早起きでもしたんじゃないの〜?」
「なんでわかったの!?麻依天才っ!高…じゃない、朔斗くんに見てほしかったからねっ!!今日、マーブルチョコケーキ焼いて来たんだぁ。あの麻依が好きなヤツ!朔斗くんにあげるんだぁ〜♪」
「そっか。頑張れ〜!
こんなこと言っちゃういいコの自分、前は嫌いだったけど今は本心だよ…。
「…そう言えばめずらしくない?結構麻依、前は朔斗くんと登校してたりしたのに…?」
「あー…最近ちょっとケンカ…っぽいことしちゃって」
「そっかぁ…じゃあ、じゃあさっ!エリ望みあるよね!」
「うん!エリ、めっちゃくちゃ可愛くなったよ!」
「じゃあ…今日告ろうかな…」
…!?
「前々から考えてたの。いぃよね!?」
涙…出そう。
あたしはこの一言で、朔斗への想い、振り切る…。
「いいんじゃない?お似合いだよ…朔斗とエリ…っ!」
最後のほう、言葉になったかな。
「…麻依!?」
涙なんて見られたくなくて、見られたら終わりだって思って、あたしはその場から立ち去った。
学校帰りに朔斗と寄った、小さな小さな公園。
あの想い出が…愛しすぎる。大きすぎる。
なんで…一緒にいちゃいけないの?
好きだよ。大好きだよ。
朔斗。朔斗。朔斗…。
何度だって呼ぶよ。
愛しい愛しいあたしの初恋の人。
今だって信じられない。
あたしと朔斗が、異母兄妹…なんて。
あふれてくる涙は、止まらなかった。