Story 28;あなたへの想い
ずっと書きたかった亜稀×コウ編です。コウが誰か解らない…という方、Story 5に名前だけ出ているのでチェックしてみてください(汗)文中にこれ以上行くとR指定かという部分があることをご了承ください。
「な、何言ってんのよ。コウのクラスの宮入実架の妹の結架ちゃんって子の彼氏の…永原柊ってヤツなんでしょ?」
「ったく、亜稀は真面目だなぁ…オレと半年付き合ったとは思えねー」
「んなっ…」
そうあたしが言うのを聞いてか聞かずか、コウはあたしの耳元にキスしそうなほど口を近づける。
「オレみたくギリで試験受かったんじゃないんだろ?数学の問題よりよっぽど簡単だぜ、水野亜稀ちゃん。ナイフで被害者・高崎朔斗の腕を刺したのは永原柊ですが、今病室で寝ている高崎朔斗には刺し傷以外の打撲傷がたくさんあります。その傷をつけたのは誰でしょーかっ?」
酷いことを言いながら、あたしも騙された子供のような甘い声。
その声が耳元に届くと、身体が強張るのを感じた。
好きだからなのか、それとも本当に怖かったのか、あたしにも解らない。でも、鳥肌が立った。
「やっ…!!」
叫び声を上げそうになった瞬間、すかさずコウが後ろから抱きしめるようにしてあたしの口を塞いだ。
「何が嫌なの?」
「んんっ…ぁっ」
この手が嫌なの、と言おうとして必死にコウの手を引っ張っても、その手は全く動かなかった。
「そんなにオレのこと好き?」
その言葉に対する自分の反応には、悔やんでも悔やみきれなかった。
「図星でしょ、こんなにビクッとして心臓ドキドキ言わせてたらさぁ」
気付くと、コウは何の躊躇いもなくあたしの左胸に手をあてていた。
コウに触れられているせいで、あたしの意志とは真逆の方へと身体は変化していった。
「あれ、さっきよりドキドキしてきたけど…亜稀の胸、成長したら感じやすくなったの?直接触ってほしいんじゃない?」
答える前に、コウの手は侵入してくる。
「あぁ、やっぱそうだね。気持ちよさそう。じゃあ下は――」
「やめて!!」
快楽へ落ちて行く前にストップをかけないとマズい。増してやここは病院なんだから!
「何で?オレのこと好きなんでしょ?身体くらい貸してよ」
「…好きだよ、コウが」
「だったら――」
「だからよ!!」
別れたくて別れたんじゃない。
今でも、大好き。
そんなことはされたくない。
自分の中に秘めていたコウへの想いが溢れていく。
「何であたしたちみたいなカップルをあたしたちみたいにしようとするのよ!何で…朔斗くんを憎いと思っちゃうのよ!!」
「オレたちみたいなことにしたくないからだよ!亜稀には解んねーだろうけど!」
「解るわよ!でもあたしたちには気持ちがなかったから別れたんじゃないの!?気持ちがあったら麻依ちゃんと朔斗くんみたいにツラくてもそばに居ようって思えるわよ!!」
「じゃあ亜稀はそういうカップルを見ても何もするなって言うのかよ?何もしないでいられるのかよ!?」
「本人の気持ちが解決する問題よ、恋愛なんて。人のことに口出しするってことは自分の行動にすこしは後悔してるってワケ?」
言った瞬間、ハッとした。
言いすぎだ…。
あたしに非がないわけじゃないのに…!
「ふぅーん、そう思ってたんだ。よぉ〜く解った」
そうあたしに背を向けて言うと、突然振り向いてあたしを睨みつけた。
「自惚れてんなよ、水野亜稀」
このストーリー、最後のコウの台詞からできたんです。無敵の女・亜稀の意外な一面が垣間見えましたが…まだ続きます!という訳で次話は亜稀×コウ編2となります。来週をお楽しみに!…してくださる方がいることを祈ります!!