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Sweet×Sweet  作者: 椎名璃月
12/31

Story 11;Strawberry or Lemon?

「ただいま!」

 いつもならそれほど早くは帰ってこない誠斗さんの姿があった。

「お帰り、麻依。遅かったじゃない。今日は誠斗さんの誕生日でしょう?」

「ごめんね、ずっと麻綾と話してたんだ」

「もう、ダメじゃないの」

「いいんだよ。朔斗だって遅かったじゃないか」

「あ、前買っておいたワインだしてこなくちゃ♪」

 朔斗がちょっと驚いたような目で見ていた。そりゃそうだ、麻綾と話してた上に自分より帰ってくるのが遅かったんだから。

「ねぇ誠斗さーん、ワインどこに置いたのー?」

「ないのか?じゃあそっち行くよ」

 誠斗さんは席を立ってお母さんのほうへ行った。

「…麻依」

 朔斗と喋るのはなんだか久しぶりだ。

「オレ、なんで麻依と別れなきゃいけなかったのかわかんないんだよ。教えて」

「…っと…」

 言葉に詰まる…言えない。あたし1人で抱えてればいいのに。

「今は言えない…けどホントはあたし…」

 気付いてる。もうずっと前から知ってる。

 やっぱり朔斗を好きなのは変わらないって事も。朔斗の気持ちが今もあたしに向いてる事も…。

「…少なくともオレは」

 朔斗が一呼吸置く。なんだか張り詰めた一瞬だった。

 2回の吹き抜けから、誠斗さんとお母さんの声が響く。

「今でも麻依が好きなんだけど」

 あたしだって好きだよ。言いたいのに、声が出ない…出せない。出したくないのかもしれない。

 お互い喋らないまま黙っていると、『あ、あった!』と言う誠斗さんの声がした。

「朔斗、誠斗さんとお母さん来るよ」

「…あぁ、そうだな」

 そうだなって言ったくせに、朔斗はあたしにキスをして言った。

「味でわかる」

「…なんかキモいよそれ」

「だって麻依の唇、オレと付き合ってた頃はキスしたときいつもストロベリーの香りがしてた」

「それがどうしたのよっ…」

 まさか朔斗、気付いてた?付き合う前いつも使ってたレモンライムのリップ、付き合い始めてからストロベリーに変えた事も。そのストロベリーのリップを、別れてからまたレモンライムに戻した事も…?

 嘘だ、気付いてるわけない。気付いてたとしたって、その意味までは知らないハズなのに…。あたしは、レモンライムは片想いの成就。ストロベリーは恋人との関係維持のおまじないみたいなものにしてたんだ。いつか、麻綾が教えてくれた…。

「付き合う前も今も、レモンの香りがする」

 気…付いてる…?

「麻綾もそうなんだよ。麻綾、今はストロベリーの香りがしてるけど、前はレモンだった。なんでかってオレ今日聞いたんだよ」

「…片想いの相手が朔斗だなんて、そんな事…誰が言ったのよ」

「わかんだよ!」


 なんて応えたらいいんだろう。

 

 今でも愛しい…大好きな朔斗のため。

 

 

 あたしは、どうしたらいいの…

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