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Sweet×Sweet  作者: 椎名璃月
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Story 0;Prologue

    Sweet×Sweet


      プロローグ  

麻依まいちゃん、朔斗さくと。ちょっと話があるんだけど、いいか?」

晴れ男の朔斗にとっては屈辱的な雨の日。

その日は六月二十五日、朔斗の十七歳の誕生日…。突然朔斗のお父さんであたしのお母さんの恋人である高崎誠斗たかさきまことさんが真剣な顔をしてそう切り出した。

「まぁ大体の予想はついてるんだと思うけど、オレは映夕はゆ…麻依ちゃんのお母さんと、二人の高校卒業と同時に再婚することにしたから。

麻依ちゃんのお父さん…みなと歩未あゆみが亡くなってもう十年経ったし、十回忌も終わったんだ。もうとらわれることなんてない、そう考えてるんだ。

いいよな、映夕とオレが同棲しはじめたころから覚悟はできてたと思う。そうだろ?」

 

 この物語の一応主人公で現在語り手を務めるあたし、佐倉さくら麻依のパパ…佐倉湊。あたしが今でも大好きな湊パパは、十年前に亡くなった。

 あたしは今十六歳、高校二年生。一月に誕生日を迎えると十七歳になって、そこそこの成績は残してるから春には三年生への進級がほぼ確定済。

 そして朔斗はあたしの幼なじみ。パパと同じ十年前にお母さん、つまりお母さんとの再婚を考えているという誠斗さんの奥さんである歩未さんを亡くしている。

 朔斗もあたしと同じように歩未さんが大好きだったんだ。

『お母さんと再婚したい――――』

 そう決めつけたように誠斗さんに言われれば、覚悟ができてるとしか言えない。でもホントはできてない。

 ずっと二人が再婚しようとしてる事ぐらい、知ってたけど…。

 10年かかっても、覚悟なんて未だにできないままあたしたちは大人になろうとしたのに、ついに宣告された…。

 

 あたしたちはそれでも現実逃避をしたかった。たった小学校一年生だったあの頃からずっと、あたしと朔斗はその言葉を恐れてきたんだ。

 何でかってことは、あたしたちの過去を振り返ってから…。

 


 この物語を始めるには、いつからが相応しいんだろう。

 わからないけど、あたしと朔斗が出会った十二年前ぐらいがちょうどいいと思う。


 あたしはまだ、大のお父さんっ子の幼稚園年少組、三歳だった――――。

  


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