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祈るほど魔物が強くなる世界で、祈る少女の代償を背負いすぎて最強になった剣士  作者: TERU


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第31話 王都の命令と、森の潜伏

王国首都ブリュンガルデ。


玉座の間に、怒号が響いた。


「おい! 軍務卿! どういう事だ!」


黄金の装飾に囲まれた玉座。

その上で、国王は顔を歪めていた。


軍務卿が深く頭を下げる。


「大変申し訳ございませぬ。

 まさか第六騎士団長が討たれるとは……」


「まさかで済むか」


玉座の肘掛けを叩く。


「何があった」


「祈り人の連れ――

 “送り人”と思われる男に、一撃でやられたと報告を受けました」


空気が、わずかに揺れる。


「一撃?」


「はっ。

 抵抗の形跡もなく、真っ二つに」


国王の目が細まる。


「結果が出ないなら、存在する意味はない」


吐き捨てる。


「国境を封鎖しろ。

 必ず国内で捕まえろ。

 送り人の生死は問わん」


「祈り人は王家の所有物だ」


「はっ」


「第六の空席はどうする」


軍務卿は一瞬、言葉を選ぶ。


「ハルヴァンに飛竜の大群が飛来。

 その軍勢を、調査団団長カルディアスが殲滅したとの報告が」


「ほう」


「街の被害は最小。

 功績は明白。

 民衆の支持も得ております」


国王はしばし黙る。


「任せる。良きにはからえ」


「はっ」


その時、控えていた文官が前に出た。


「陛下。

 大変申し上げにくいのですが……」


「何だ」


「祈堂学舎が、連合側に着いたとの情報が」


玉座の間が、静まり返る。


「……何故だ」


「第六騎士団が、祈堂学舎に干渉した模様。

 それが引き金になったようで」


国王の表情が冷える。


「なんて使えない連中だ」


ゆっくりと立ち上がる。


「一族郎党、全員処刑しろ。

 名も記録も残すな」


「存在しなかったことにしろ」


「はっ!」


「使い捨ての駒にもなれんクズどもが」


命令は即座に伝令へと渡る。


王都は、既に戦時の顔をしていた。


***


森の手前。


「まずいな」


ロイが低く言う。


「どうした」


「国境が封鎖されてる」


リィナが眉をひそめる。


「早くない?」


「元々睨み合いが続いてた。

 理由さえあれば即封鎖できる準備はしてたってことだ」


腕を組む。


「街道以外に道はないのか」


「森を抜けて山脈側に出れば大軍は避けれる。

 だが関所は必ず通る」


「どこが一番弱い」


ロイは首を振る。


「どこにも“番号持ち”が配置されてるらしい。

 一番に当たらなきゃいいがな」


騎士団長達か。

リューズベルクは、明らかに油断していた。


……他も、一撃ってわけにはいかない。

「厄介だな」


今の身体で正面突破は無理だ。


「とにかく森に入る。

 身を隠せる場所で回復を待とう」


「山脈越えは?」


「かなり険しい。しかも、グリフォンの縄張りだぞ」


「グリフォン?」


セラが小首を傾げる。


「キモい鳥」


「言い方……」


「なら決まりだ」


「俺がある程度動けるまで森で待機。

 その後、山脈ルートから連合領に入る」


「大変だぞ?」


「大軍相手に四人で街道突破はもっと無理だ」


ロイは笑う。


「時間が経てば増援も増えるしな。

 よし、出発だ」


***


森の奥。


数時間歩き、ようやく雨風をしのげる洞窟を見つけた。


「ここで数日休もう」


ロイが中を確認する。


「とりあえず飯だな」


リィナが腕を組む。


「飯ったって何かあるの?」


全員の視線がリィナに向く。


「はあ?

 うちに取ってこいって?」


「悪いな。俺は獣狩れない」


ロイがあっさり言う。


「俺は下準備する。

 鳥かイノシシがいいな」


リィナに頼む。


「注文つけるな!」


リィナが額を押さえる。


「見つけたやつだけだからね!」


セラがくすっと笑う。


「ガルドのご飯、美味しいよ」


「ほら期待されてるぞ」


「やめろ!」


ぶつぶつ言いながら、リィナは森へ消える。


ロイは薪を集め始める。


俺は洞窟の奥で壁にもたれ、ゆっくりと息を吐く。


骨はまだ痛む。

だが動ける。


セラが隣に座る。


「無理しないでね」


「してねぇ」


「嘘」


小さな笑い。


無理してるのはセラだ。

胸の刻印が濃い。


「お前もな」



外は静かだ。


だが王都では、既に命令が飛び交っている。


処刑。

封鎖。

昇進。


盤面は、動き出した。


洞窟の外。


風が枝を揺らす。


森は深い。


そして、追手は必ず来る。


その前に、立て直す。


目を閉じた。


戦争は、もう始まっている。


「ぐぅ」


腹が鳴る。


セラが、俺を見て笑う。


「ガルドお腹すいた?」


まあとりあえず飯の準備だな。



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