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祈るほど魔物が強くなる世界で、祈る少女の代償を背負いすぎて最強になった剣士  作者: TERU


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第26話 前線と後方、そして前座

***


ギルド前。


街の中心は、すでに戦場だった。


空を切り裂く咆哮。

遠距離から放たれる矢と投射槍。

瓦礫の間を縫って走る冒険者たち。


その中で、俺は剣を肩に担ぎ、ミルダを振り返った。


「ミルダ。悪いが、ここは任せるぞ」


「ちょ、ちょっと! ガルドさん、勝手に――」


言葉を遮るように、落ち着いた声が割って入る。


「やあ。お困りですか?」


ミルダがはっと振り返った。


「カルディアス団長……!」


調査団団長、カルディアス。

いつも通りの柔らかい笑み。

だがその目は、すでに戦場を測っていた。


「来てくれたのですね……!」


「当然ですとも」


カルディアスは軽く周囲を見渡し、それから俺に目を向けた。


「ガルド。行きましたか」


「はい」


「それは結構。しっかりやってきてくださいよ。フッフッフ」


ミルダが首を傾げる。


「……何か?」


「いえいえ。こちらの話です」


カルディアスは笑顔のまま、空を見上げた。


「何とかなりますか……?」


ミルダの問いに、彼は即答する。


「ええ。あの“ひときわ厄介そうなの”は、ガルドを追います」


「そうなんですか?……では、残りは?」


「雑魚です」


ミルダが言葉を失う。


「ざ、雑魚……?」


「街の防衛は、我々調査団が引き受けます」


カルディアスは、声を張り上げた。


「調査団各員!

 命を賭けて、街を死守しなさい!」


「「「はっ!!!」」」


一糸乱れぬ返答。


「副団長。数人連れて、城門上の遠距離支援を」


「了解!」


「残りは住民の屋内誘導。

 それと――」


カルディアスは一瞬だけ、声を落とした。


「一人、ガルドを追ってください。祈堂学舎へ。

 手出しは不要。見て、結果だけを」


副団長が一瞬だけ眉を動かしたが、何も言わず頷いた。


「冒険者の皆さん!」


カルディアスが再び声を張る。


「まずは遠距離対応。

 降りてきた個体を各個撃破でお願いします!」


「任せとけ!」


「死守してやる!」


ミルダは胸の前で手を組んだ。


「……どうか、お願いします」


カルディアスは微笑んだ。


「ええ。任されました」


***


「遅い」


俺は前を向いたまま言った。


「置いていくぞ」


「待て待て!」


後ろから駆け寄ってくる足音。


「アンタが早すぎるんだよ!」


ロイだ。


息を整えながら、真顔になる。


「一つ忠告だ。

 第六騎士団団長。特に番号持ちは――マジでヤバい」


「分かってる」


「一人一人が、チャンピオン以上って話だ」


「……リューズベルクだろ」


ロイが目を見開く。


「もう見てる」


「……そうか」


「先に行く」


俺は速度を上げた。


***


「リィナ! セラ!」


祈堂学舎前。


教員が数人切られてる。


学長の声が響く。

「首狩り剣士。騎士団を殲滅しなさい。これはもはや国家間の争いだ。必ず我々を連合国へ」


このハゲ何言ってんだ?

俺の知ったことではないが、

すでに戦闘は始まっていた。


「遅い! そしてヤバい! 早く助けて!」


リィナの怒鳴り声。


「ガルド! 騎士団が、私を――」


「今行く!」


踏み込んだ瞬間、前に出た騎士が剣を構える。


「行かせるわけないだろ――」


「ごはっ」


腹に一撃。

鎧ごと吹き飛ばす。


「どけ」


低い声で言った。


前に出てきた男が、笑う。


「お前が首狩りだったか。

 なかなかいい目をしてるじゃねえか」


「それがどうした」


「面白い。殺してやるよ」


「リューズベルク様!」


団員が一歩前に出る。


「我々で十分です」


「お前らは祈り人を連れてこい」


リューズベルクは俺から目を逸らさない。


「俺は“送り人”の方と遊んでる」


「舐めてんじゃねーよ!」


リィナの矢が、連射で飛ぶ。


「セラ、後ろに隠れて!」


「ガルド!」


「心配すんな」


俺は剣を構えた。


「コイツは前座だ」


リューズベルクが嗤う。


「ほう?」


「本番は――この後だ」


「三下があッ!!」


踏み込み。

剣がぶつかる。


火花が散った。


――いい。


ようやく、全部が繋がった。


帳尻も。

騎士団も。

理も。


全部まとめて、叩き潰す。

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