2.見方
「・・・ん?ちょっと待てよ」
私は腕を組んだまま、少し頭を傾けてみる。
私の行った世界は過去の世界。その場所は今からどのくらい前の事なのかわからない。まあ・・・それはいいとして。
じゃあそもそも過去に〝選択しなかった〟のはどこの部分になるのだろうか。確かにこっちとあっちで共通していな部分もあるけど、それは持っている力が別だったから、選ばなかったというよりも選べなかったになるし。
そう考えているとアヤカは私の事をじっと見つめていたが、しばらくするとあることを聞いて来た。
「美香は向こうの世界に行った時、何が起きた?」
「・・・雨の中、街でアヤカを見つけた」
「じゃあ、この世界では?」
「・・・雨の中、ベランダでドラゴンが生えてるのを見つけた」
・・・アヤカの口ぶりから察するにどうやら戻ったのは私とアヤカの出会った時ということになる。とすると・・・。
そう、戻ったのはほんの少し前の過去になる。
とすると何かが引っかかる。
私、もしくはアヤカ自身の過去の中に本当はアヤカにツバサを与えることが出来る選択肢があったんだけど、私は多分、それを選ばなかった。だからこの世界に来たばかりのアヤカにはツバサが無かった。
で、帰ってきたらアヤカにはツバサがある。
だから私はアヤカにツバサを与えられるような選択を別の世界でやってきた。そういうことになるのだけれど、重要なのはそれが何なのかさっぱりわからないことと、それよりなにより、戻った過去は「アヤカと出会ってからの期間」と言うことである。
「じゃあやっぱり自由にさせすぎた?もっと質問とかした方が良かったのかな」
とかそんなことを考える。
突然部屋にやってきた見知らぬ人・・・いや、この場合は見知らぬドラゴン。彼にツバサを与えるなんて言うことは別に私が気にするほどではないにしても、何か困っているから何かをしてあげたかった。のは私の感情でもあるのだけれど。
「・・・私が何かやってなかったってこと?アヤカがこの部屋に来てから」
「そんなことはないよ」
「でも、もし、私が何かを・・・まあこの場合は選択か、それをしてないから過去に行くっことになったわけでしょ?」
「・・・まあ、そうだね。筋道としてはそうなんだけど」
アヤカはツバサを羽ばたかせるとそのまま本棚へ向かって行き、そして棚のところに着地した。
「美香は1つ、わすれていることがある。僕の持っている力、世界の見方」
「それって・・・成分を見るとかそういうの?」
「そう、成分。美香の別の世界の僕がその力を使うのを見たでしょ」
「うん。目の前で」
確かに見た。手をかざすと青白い輝きが出てくるのを、そしてそれは紫の本の種を作る時もそうだった。
「何か気が付かない?」
「・・・なんだろう」
考える力が私の中にあるのでればそれを総動員させて考える。っていうイメージで私は言われたことに対して考えてみるのだけれど、うーん。気が付く・・・。
「じゃあ、少しきっかけ」
「きっかけ?」
「うん」
「美香に僕は最初の頃、ミカは食べるために生きているのか?それとも生きるために食べているのか?って聞いたことがあると思うんだけど」
「確かに、それは覚えてる」
「で、それに対して、鶏が先か、卵が先かみたいなもんだって言ったでしょ?」
「うん、言った」
それが大事なことなのだろうか。アヤカはきっかけと言っていたけども。
「大事なのはどっちが先か、って話じゃない。そんなのはわからないし。でも、分かっていることは続いているってことでしょ?」
「・・・まあ、続いているってことは確か・・・」
と言いかけた時、あることを閃いた。と気が付くと私はアヤカの体に触れていた。
「そうか、植物じゃん。そもそもが」
私のその言葉にアヤカは少し笑顔になった。




