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7.決めていたこと

 私にとってツバサという言葉はどこかで聞いたことあったようなそんな気がしたのだけれど・・・彼は話を続ける。


「僕たちは今、この僕が居る世界から飛び立つということが使命にあります」


「飛び立つこと・・・」


 アヤカ達の世界の話は私たちの世界にほとんど入ってこない。一体彼らは何をして生活をしているのかとか、そもそもどういう家に住んでいるのかとか。それほどに情報を含めて彼らの生活は何も分からなかった私にとって使命という言葉がアヤカから出てきたとき、少しびっくりしてしまった。


「使命って言うのは・・・そのアヤカ達にとって共通のモノなの?」


「・・・そうですね。時期とかそういうのも関係あると思いますが基本的には共通です」


 そして何よりアヤカが言うには自分たちの使命を満たすためにどうしても私の世界の力が要るとのことだった。


「じゃああれだ、ずっと昔なら、私とアヤカは一緒に住んでいて、それでお互いに求め合う物を差し出しながら生活して、それで使命を満たすことが出来た・・・とかそんな感じ?」


「はい、本来ならそういうことになります」


 それでアヤカはツバサを求めているってことか。でも・・・私にそんな力が有るわけではない。それでもコンパスは私を指し示したのは一体どういうことなのだろうか。


「それでですね美香さん。僕と美香さんの関係はまだ、本来の形をとっていないんです」


「どういうこと?」


「僕は美香さんが求めるモノを渡していません。だから渡さないといけないのです」


 なるほど、そういうことか。言っていることは理解できる。確かに私が持っているこの力はアヤカという個人から貰ったわけではなく、別のアヤカ達から貰ったもの。じゃあなるほど、確かにアヤカから貰わないと本来の関係性は成り立たない。


 ということまでは何となくわかるのだけれど、私が求めているモノなんか急に言われても何もないわけで。


「でもアヤカ、私が求めているモノっていうのは・・・その思いつかないよ」


「いえ、そんなことは無いはずです」


 というとアヤカは私の後ろの方を指さした。


「ここではない世界の美香さんが求めているモノを僕が渡します」


 急によくわからないことを言いだした。なんだ?ここではない世界の私?そんなのが居るのか?それよりなにより、その私が求めているモノなんかわかるのだろうか。


「・・・なのですが」


 少しアヤカは申し訳なさそうな顔をした。


「言いにくい話なのですが、僕の渡せるモノというのがそもそも美香さん達の力を借りなければ作れないといいますか・・・」


「そうなの?」


「はい・・・」


 まあでも確かに言われてみれば私だってモノを貰ったわけではない。力の使い方というか力の見方のようなものを教えて貰ったという話になるのだけれど。でも、アヤカはモノを作りたいと言ってきた。


「ここではない世界の私が求めるモノ。それを可能にするためにはモノにする必要があるってこと?」


「・・・はい」


 なるほど。今の私であれば直接言葉とかそういうので 伝えればいいけれど、ここじゃない世界に伝えるためにはモノにする必要があると。じゃあそれが出来るようにするためにはどうすればいいのだろうか。


 そう思っていたらアヤカは私の手を指さした。


「ひとつは分かっているのです。それは僕の姿を作ること」


「姿を作る?」


「はい、言い換えれば写真や絵などで僕自身のモノをかたどること」


 そう言われても私は絵が描けない。写真は・・・まあスマホとかカメラとかが有るからそれなら可能だけれど・・・。でもそれだと多分きっとアヤカの望むモノにはならないと直感的に思った。


「つまり・・・とりあえずアヤカの姿を絵にすることって言うのが一歩目ってこと?」


「はい」


 私はしばらく静かに考えることにしたのだけれど、絵を描くという言葉が出てきたとき、頭の中にある人物が現れてしまった。現れてしまったのであればその人物のところに行くしかないだろう。


「・・・どうせ暇にしてるかもしれないし」


 そうぽつりと呟くとスマホから電話をかけた。


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