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転移者ルリは故郷を想う ~できるわけないと高を括っていた魔法陣での異世界転移! 見知らぬ異世界で帰還手段を模索する~  作者: 夢乃


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13.これが魔道具!

 魔鉱石というものを知ってから、およそ二季が過ぎた。あと一季も経てば、わたしがこの異世界に転移してから一年ということになる。帰還手段は見つからない。って言うか、まだ準備段階だし。お父さんもお母さんも、心配しているだろうな。えっと、法的に死亡となるのは行方不明になってから七年だっけ? それまでには帰らないと。この世界の暦では六年弱くらいかな? 一年は三八四日だけど、一日の長さも地球より長いみたいで、ここでの一年と地球での一年の差がよく分からないのよね。

 一日が二〇ミック(時間)、一ミックが八〇ミール(分)、一ミールが八〇ミテン(秒)で、つまりは一日は一二八〇〇〇ミテン、地球の一日は八六四〇〇秒だから、ここの一日は地球の一・四八……一・五倍弱ってことになるけど、一ミテンは一秒より少し短いから、一・五倍も長くはなさそうなのよね。

 正確な換算ができないから、わたしがこの世界に転移して来てから地球で、日本で、どれくらいの時間が経ったのか、正確なところが解らない。そもそも、時間の流れが違ったりしたら、こんな換算はまったくの無意味だし。


「ソルシエール、ね、これ見て」

 そんなこんなで気を揉みつつも、今は出来ることをやると割り切って、ソルシエールを呼んだ。彼女に見せたのは、金属の筒の片側に魔鉱石を付けた物。魔鉱石は前にソルシエールからもらった物の一つで、金属の筒は鍛冶屋の小父さんに作ってもらった。前に提供した安全ピンのお礼に、とタダで貰っちゃった。ちなみに、すでに安全ピンは小父さんが再現している。この世界の鍛冶の技術も侮れない。


 それはさておき。

「何? これ」

「えへへ。前に言ってた、魔道具の第一号だよ」

「魔道具? 懐炉の代わりにしようとしてた? でも、もう春だから、要らないんじゃないの? まあ、また冬になれば使えるけど」

 今はもう、夜でも懐炉なしで布団に包まっているだけで寒くないくらいには、気候が暖かくなっている。

「魔道具って言っても懐炉じゃないよ。とりあえず、筒を握って前に差し出して、魔鉱石に魔力を目一杯貯めてみて」

 今は昼間だから外では効果が解らないけど、陽の光が届かない家の中なら解るはず。魔術の光が必要なほどには明るくないけど。


 ソルシエールは怪訝な表情をしつつも、魔鉱石に魔力を貯めた。すると。

「え? 魔術を使っていないのに光が?」

 筒の先から零れた光が部屋の中に光の円を作り出す。ソルシエールが握っている筒の反対側も光っているけどね。そこはご愛嬌ってことで。

「どう? 名付けて魔力灯」

「どうなっているの? これ。私の魔力が感じられないけれど」

「よくぞ聞いてくれました。えっとね……」

 わたしは、魔道具を作る過程で見つけた魔力と魔鉱石の性質、それに魔力灯の仕組みを説明した。


「なるほどね。魔鉱石をこんな風に使えるなんてね」

「今まで、こういう物を作った人はいないの?」

 ソルシエールが驚くということは、いないんだろうな、と思いつつも一応聞いてみた。

「少なくとも私は聞いたことはないわね。これはどれくらいの時間、光っているの?」

「満充填で、五ミック(≒六時間)くらいにしてある」

「十分、ね。使い道は考えている?」

「みんな魔術で照らせるからあまり必要ないかも知れないけどね。一つは、狩とかで村を出てた時、これを持っていれば暗くなっても困らないでしょ。狩の後だと、魔力が減っていることもあるし。

 それから、この村、夜になると暗いでしょ。村のあちこちにこれをぶら下げておけば、夜中にトイレに起きた時も困らないし。

 それから、暗くなってから寝るまでの間に家の中で何かする時、これがあれば魔術を行使しなくても部屋の中を明るく出来るの、便利じゃないかな? 蝋燭と違って煤や火事の心配もないし。ソルシエールには要らないかも知れないけど、村の人たちには」


 ソルシエールは、複数の魔術を当たり前のように同時に行使していたりするけど、村の人を見ていると、どうも同時使用の苦手な人が多いみたい。それに、魔術を使いながら別のことをやる、というのも。

 それなら、一つの魔術を魔道具で肩代わりできれば、複数同時に魔術を使えるし別のこともできるしで、より便利になるんじゃないかな。

「なるほどね。確かに村の人たちには有効かも知れないわね。それだけじゃない、商品化すればかなり売れると思うわよ」

「そうかな」

「ええ。問題は大量生産ができないことか……けれどその分値段を高めに設定すればいいかしらね。魔鉱石を使っていることでもあるし」

「それなら、村を出た時にはこれで金策するよ」

「買い叩かれないように気をつけなさいよ。それから魔鉱石も、あるところにはあるけれど、それなりの値段はするから」

「うん、解った」


 とは言っても、すぐに旅に出るわけではない。魔道具はできたばかりだし、魔術だって使いこなせているとは言い難い。もう少し、準備に時間をかけなくちゃ。

 それでも、近いうちに旅には出るつもり。いつまでも、のたのたしていて、日本でわたしの死亡判定されても困るし、何よりお父さんやお母さんを心配させたままにはしておけない。あと一季、ここに来てから一年を目処にしようかな。



作者註:

 瑠璃の発見した魔力と魔鉱石の性質、それに魔力灯の仕組みは、「異世界転移 ~変貌を遂げた世界で始まる新たな生活~」 https://ncode.syosetu.com/n8574hb/ を読んでいれば想像出来るはず。ちなみに、マコの作った魔力灯とは仕組みが異なります。



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