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第16話 貸切露天風呂

階段を降り切った先に、小さな、とても小さな小屋がある。

四畳半より小さいだろうか。

外観はボロいが、真冬でも利用できるように中は改装済みで清潔感はある。

それでも、床は軋み音を上げてはいるが。

僕が施工した素人工事だし、仕方ないよね?

露天風呂の石組みも、僕の施工だし。

あっ、手伝いは頼んだよ?場所柄、危険も有ったし。

源泉を引くのだけは、プロに頼んだけど。

完成後に、近隣の小規模宿に開放して名物化目指したんだよね。

その効果もあって、集客に役立ってはいる。

この場所の他に、近くにもう一箇所作ったし。


扉を開けて入り、利用中の札を掛けて簡易な鍵を閉めると藤城さんは引き攣った笑顔で僕に尋ねた。


「っ、これって?」


「ん、貸し切り露天風呂ね。」


「それは、さっき聞いた!」


「利用時間は日没までだからね?忙しくなるけど、早く済ませようか。」


「…………………………」


ここは谷底の為、既に暗くなりつつある。

肌寒くもあり、備え付けの灯油ストーブに火を入れ、露天風呂に通じるサッシ扉を一旦閉め切った。


藤城さんに向き直って、


「入るよ?」


ひと声かけて、僕はサッサと脱ぎ始める。

彼女の視線を気にせずに、正面を向いたままで。

一応、体格()()()には自信がある。


固まった彼女を見据えてから、振り返ってサッシを開けて段差を降りてすぐの露天風呂に浸かった。


戸を開けたままの小屋の中から彼女が服を脱ぐ気配がした後に、ゆっくりと湯に入って来て僕の隣に並んだ。

二人で足を伸ばして少し余裕があるくらいの、小さな貸し切り風呂。


暫し無言で、渓流と源泉の流れる音を聞きながら、二人で正面を向いたままで掛け流しの湯を堪能する。

周囲はすっかり暗くなり、小屋の灯りが無ければすぐ隣の彼女の姿もはっきりとは見えないだろう。


「暗くてよく見えないけど、無理しなくて良かったのに?」


「……………無理なんか、してません!」


「藤城さんが嫌だったら、今は何もしないからね?今はね!」


「……………嫌じゃぁ、ありませんから!」


遠慮している訳ではないけど、少し迷ったけど、藤城さんの肩を抱いて引き寄せる。

正面で向き合って抱き寄せてから、僕の体の上に乗せて胸を密着させた。


「綾本君は、意外と大胆ですね?」


「されるがままの君もだよね?もう時間だから、少しだけね?」


軽く唇を合わせた後、少しだけスキンシップしてから、湯から上がった。

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