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第13話 拾われた日

『さっきすれ違った時に見えちゃったんだよね、「ゆう子ハタチです!」って画面が。』


『ホ別苺でどうですか?』


何なの、この人!

どういうこと?

いつの間に?

………………見られた?


………………知り合いにだけは、会いたくなかった。

特に、男子には。

恥ずかしいことをしている自覚はある。

抵抗が無かったわけではない。

だから、わざと、出会系アプリの登録では、大学から遠い地域を選んだのに。


綾本君とは、学部が同じで必修科目のほとんどが被るから挨拶をする程度の面識はある。

その彼から、無理矢理手を引かれて行ったフードコートで温かい定食を食べた。

久しぶりの、温かい、まともな食事。


最初、誰だかわからなかった。

雰囲気が、全然違うから。

助けてくれると言う彼に縋るしかない、情けない私。


そして、彼に脅かされながらのお説教?

例え話なんだろうけど、彼に一晩3万で私を買うと言われて初めて、自分が何をしようとして、何処が間違っているのかを知らされた。


彼に買われるのが嫌だったわけではない。

むしろ、誘われて、ホッとした自分が居た。


これから一泊で旅行する彼に、成り行きで着いて行くことになった。

多分一緒に行くことを断っても、彼は何とかしてくれたはず。

そう信じられた。

でも、なんとなく、そんな彼のことをもっと知りたくなってしまった。


道中での、お買い物。

彼の選んでくれた、洋服。

普段の私なら、絶対に選ばないであろう色合いやセンス。

よせばいいのに、お任せで下着まで選んでもらった。

その場の更衣室で着替えさせてもらって、


『あっ、これ、もしかして、デート?それとも、恋人同士のお泊り旅行?』


と、思った。

普通、男性に、服を、下着を、選んで買ってもらって着せられるのは、脱がせてもらう前提だよね?


そして、ドラッグストアでの、化粧品選び。

高級化粧品をテストして、こんなにも違いがあるなんて初めて知った。


ドサクサに紛れて買い物カゴにコンドームを忍ばせたのを、彼に見つかってしまった。


とっさに、冷静に、


『勿論、必要ですよ?あっ、私は綾本君なら無しでも良いですよ?』


と返したものの、内心ドキドキだった。


『やっぱり、身体で払いましょうか?』


直接誘ってみても、躱されてしまった。

もっと、強引に行くべきか?


彼に見つめられて、


『美味しそうに食べてて、可愛いと思っただけだし?』


少しは、期待して良いのかな?


そして、そんな彼に道の駅で拾われた私の、お付き合い?デート旅行が、始まったのだった。

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