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第九話 戦い


 地平を埋め尽くすような、壮絶な光景だった。


 魔物の群れ……いや、軍勢が迫ってきている。


 でも、まだゲームの序盤だからか、それ程強そうな敵の姿は見えなかった。


 こちらの兵より強いのかはわからないけど……。


「ジルベルト、どう見ますか?」


「敵は数だけのようです、囲まれぬよう油断せず着実に倒していけばいいでしょう」


「作戦はありますか?」


「小鬼や猪人、犬人が多いので、緒戦で力を見せれば奴らは逃げ惑います」


 ナルミヤの一万の軍勢は、いくつかのグループに分かれて横列に展開している。


 敵の軍勢を受け止める形だ。


「姉上、ブルーノに気をつけてください」


 こちらの軍勢の隣に、ブルーノ様が率いる騎士団がいた。


 こんな人目のあるところで、何かしてこないとは思うけど……。


 そこで、ジルベルトが大声を上げた。


「行くぞ! 全軍前進!」


 オオオオッ、と地鳴りがするような歓声と共に軍が進み出す。


 そして、すぐに戦端が開かれた。


 みんな、ものすごい戦っている。


 でも、こちらの兵の方が圧倒的に強かった。


 問題は数だけど、ジルベルトの見立てでは、敵は逃げるという。


 そして、一時間くらい経過しただろうか。


 前線の敵は、逃げ惑いながらも次から次に押し寄せてきていた。


 でも、半分くらいには減ったように見える。


 確か、三割減ったら全滅で、五割減ったら壊滅とか言うはずだ。


 これはもう、勝ったんじゃないだろうか?


「姉上! 危ない!」


 わたしの横にいたミーノが、馬を割り込ませてくる。


「な、なに?」


「父上の仇だ! お前のはらわたで妹を温めてやるわ!」


 ブルーノ様が、わたしに斬りかかってくるところだった。


 それをミーノが受け止めている。


「言ってることがキモいんだよ! 異常者が!」


 ミーノが馬上で剣を振るって戦い始めた。


 わたしは、どうすることもできずにそれを見守る。


「妹は殺さないぞぉ、オレが手に入れてやるからなぁ!」


 血走った目のブルーノ様は、ミーノを掻き分けるようにして、わたしに近づこうとしている。


 魔物の返り血で鎧が汚れているブルーノ様は、狂気に染まっているように見えた。


 でも、その異常に、周りの騎士達が気付いて止めに入る。


「おやめくださいブルーノ様! 味方同士争ってなんになります!」


「この女は味方じゃねえよぉっ!」


「ご乱心! ブルーノ様ご乱心!」


 確か、ブルーノのスキルは反撃だ。


 攻撃されれば、それを受け止めた後、必ず一撃を返せるパワーファイター。


 でも、ミーノとは相性が悪いはず。


 ミーノのスキルはクリティカル。


 即死の力だ。


「狂人めっ! 姉上には指一本も触らせないぞ!」


 ミーノが仕掛けた。


 クリティカルを使う気だ。


 でも、ブルーノ様はそれを耐えるような姿勢を取る。


 反撃のスキルを使うつもりだ。


「取ったぞ!」


 ミーノの一撃がブルーノ様の首筋に食い込む。


 なのに……ブルーノ様は死なずに、両手剣を振るってきた。


 耐えられたんだ!


 ミーノが死んじゃう!


 思ったときには、わたしのスキルが発動していた。


 待ち伏せではなく、暗黒竜にもらったデウスエクスマキーナ。


 相手が攻撃してきたとき、こちらが先に攻撃していたことにするスキル。


 その瞬間、わたしは馬ごとミーノとブルーノ様の間に割って入り、その頭に一撃を食らわせていた。


「やった!」


 ブルーノ様が気絶して落馬する。


「さすが姉上! お見事です!」


 騎士の人達も大勢見ていた。


 ブルーノ様が悪いって、証言してくれるだろう。


 でも、今は……。


「敵は目の前だ! 騎士達よ! 進め!」


 動揺しながらも、騎士達は魔物との戦いに戻っていった。


 ブルーノ様は、わたしの兵達が縛り上げている。


 そして、もう一時間ほどすると、味方の軍勢が敵を蹴散らしていた。


「我々の勝利だ!」


 ジルベルトが叫んでいる。


「うおおおおおおぉっ!」


 戦いのテンションが下がらないのか、みんなすごい雄叫びを上げていた。


 そろそろ日が暮れ始めている。


 緒戦は危なげなく勝てたようだった。


 縛られたブルーノ様が、こちらの兵に小突かれながら歩いている。


「援軍に来た我々に対し、なんという凶行だ!」


「オレ達の姫様に謝れ! 処刑してやる!」


「アレッシオ様に引き渡すから、穏便にね」


 騎士団の人達は、申し訳なさそうにしている。


「さあ、帰還しましょう!」


 そう伝えると、わたし達は城に戻っていった。


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