第五話 探偵役?登場
「お前が犯人だろう! ラファエラ!」
王を殺した犯人……全く心当たりがない。
でも、わたしが持っていたアミュレットは、確かになくなっていた。
あらぬ容疑を掛けられたわたしは、心臓がバクバク言い始める。
なんか、遠い世界で起こっている出来事のように、上手く考えられない。
「ち、違います……」
「では、このアミュレットが、どうして王の部屋に落ちていたんだ!」
「そ、それは……」
こ、こんなに早く追放の展開が来るなんて。
いやいや、追放どころじゃない。
王や宰相、騎士団長を殺したなんて、死刑でも足らないくらいだ。
「では、ラファエラ様がひとりになった時間はありませんか?」
宰相の息子で、若くしてその補佐官をしている息子のレアルコがジルベルトにそう訪ねる。
アリバイ? 今日ここに来たばかりのわたしは、王がどの部屋にいるかもわからないのに!?
「無論ある、一度、部屋に入ったとき、三十分ほどはひとりになった」
「では、そのときですね、公平な証言をありがとうございます」
「決まりだなぁ、親父をぶち殺しやがって! 仇を取ってやるぜ!」
騎士団長の息子、ブルーノが剣を抜く。
こいつはヤバイ奴で、殺人狂的なところがある。
でも、わたしは何も言い返せない……。
「お待ちください、初めて来た場所で三十分という短い時間に、魔導王とも言われる王を殺し、証拠のアミュレットを落としていくというのは不自然ではありませんかな?」
い、いいぞジルベルト! もっと頑張って!
レアルコは黙り込むが、アレッシオ様とブルーノ様は怒りに火が点いたように反論してきた。
「では、このアミュレットは誰が落として行ったんだ!? その前に、ラファエラから盗まなくちゃいけないがな!」
「親父は剣で斬られていた! 魔法や毒じゃないっ! 剣で騎士を倒せる者なんて限られている!」
「じゃあ動機はなんですか! 姉上が王を殺す動機です!」
ミーノが助け船を出してくれる。
わたしが殺してないと信じてくれているんだ。
「お姉様が誰にも見られずに、王の部屋に行くことなんて出来ません! この中央広間には、誰かがいたはずです!」
アーシアも味方だ~。
この聖域は、中央広間から十字方向に廊下が延びている。
その廊下にそれぞれの部屋があるので、誰にも見つからずに移動するのは、確かに難しそうだ。
「どうしましたか? 何か騒がしいようですが」
そこにやってきたのは、アレッシオ様の妹のアリアナ王女だった。
優しく気品溢れ、国民に愛される王女様だ。
「アリアナ……残念だが父上が亡くなられた」
「えっ!? 父上が!?」
暗黒竜と戦おうというこのときに、王が死ぬなんて最悪だろう。
でも、わたしはやってない。
「犯人の目星はもう付いている、現場に落ちていたアミュレットはラファエラの物だ、アリバイもない」
「ラファエラ様が……?」
信じられないという顔をしている。
でも、ラファエラは嫌われ者だったから……。
「にわかには信じられないのですが、他に証拠はあるのですか?」
王女様は冷静な感じだった。
ゲーム的には絶対防御を持っていて、結界みたいなのを張れる人だ。
「いや、他には剣で殺されたということくらいだが……」
アレッシオ様が、勢いを削がれるようにそう言う。
「それだけで決めつけるなんて、無茶苦茶です!」
「お姉様がそんなことするはず無いです!」
「黙れオマエら! 誰が殺したかなんて明白だろうが!」
ミーノとアーシアとブルーノ様が口げんかみたいになっている。
でもここはラクシア国。
アレッシオ様がそうだと言えば、わたしは裁かれるかも知れない。
「犯人の決めつけは良くありません、きちんと捜査をすることが大切かと思います」
アリアナ様は、そう結論づけていた。
「こんな一大事に、悠長に捜査なんてしていられるか!」
「では、私に一日だけ時間を下さい、必ず犯人を見つけて見せましょう」
「くっ、勝手にしろ! 行くぞ!」
アレッシオ様とレアルコ様、ブルーノ様の三人組みが行ってしまった。
はぁ、この場は何とか免れた。
「アリアナ様、ありがとうございます、しかし、どうやって犯人を捜しますかな?」
「まずは話を聞くところから始めます、各自部屋に戻ってください。ひとりずつ、私が聞いて回ります」
探偵役登場か。
わたしに探偵なんて無理だから、ありがたい。
「お姉様、あたしは信じておりますからね」
アーシアがわたしの手を握ってから、去っていく。
「戻りましょう、姉上」
「では、部屋に戻ります」
各自が部屋に戻っていった。
アリアナ様は、わたしに着いてくる。
まずはわたしから話を聞くということだろう。
「…………」
部屋にふたりきりになる。
アリアナ様は、片手で印を切るようにして結界を作り出していた。
どうするつもりなんだろうか?
「ラファエラ様、残念ですがお別れです」
「え?」
近寄ってきたアリアナ様は……わたしのお腹に、深々と短剣を突き刺していた。




