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第二十一話 黒幕


「どうしましたの!? 叫び声が聞こえましたが……えっ!?」


 アーシアは、中央広場に戻ってくると、さっきまで生きていた二人の遺体を見て絶句していた。


 床の血が、どんど広がっていく。


「ファウスト様! 来て下さいませ!」


 音のしない空間に、アーシアの声だけが響く。


 すぐに、ファウスト様もやってくるだろう。


「どうしたんですの?」


「ブルーノが乱心した、レアルコを殺したので……裁いた」


「はぁ……男どもはどうして……」


 アーシアが神に祈りを捧げていく。


 ふたりが、天に召されるようにとか、そういう祈りだった。


「アレッシオから、話を聞かなければなるまい」


「その前に……よいでしょうか?」


 ファウスト様が、ひょいっと現れる。


 ふたりの遺体を見ても、動じていないようだった。


「聖女様、貴女は本物ですか?」


「こ、こんな……人が死ぬなんて……聞いてない……」


「偽物ですか」


 やれやれという感じでため息を吐く。


 でも、アーシアは納得しない。


「確かに、神託が下りました、今日、聖女が現れると」


「あ、アンミリスっていう子がいて……その子の代わりに私が来ました……」


 そんな……。


 ジルベルトの仕業?


 それ以外に、アンミリスを知っている人物はいないだろう。


「誰の差し金ですか?」


 ファウスト様が偽の聖女を問い詰めるけど……そこで、アレッシオ様が口を開いた。


「父上の仕業だろう……父上は、生きている」


「なにっ!?」


 みんな驚いているけれど、一番驚いたのはフォルトナート様だった。


 ファウスト様は、涼しい顔をしている。


 想像くらいはしていたんだろうか。


「そして……裏切るから、ラファエラを殺せと命令されていました」


「……裏切る?」


 どうして知っているんだろう?


 ラファエラが裏切ると知っているなんて、まるで……。


「父上の遺体を確認しなかったのは失態だったな」


 言われてみれば王が殺される現場を見たことはない。


 殺されたと聞いただけだ。


 アレッシオ様とファウスト様は、現場を見たはずだけど……。


「わたくしが見たときは、死んでいましたよ、剣で斬られていました」


 わたしが視線を向けたからだろうか、ファウスト様がそんなことを言った。


「騎士団長や宰相は?」


「死んだ……と思います。わかりませんが、姿を見ていません」


「父上はどこにいるんだ?」


「父上の部屋にいます」


 また、わたしはファウスト様を見る。


「防腐処理をした後は、見に行ってませんね、証拠も見つかりませんでしたし」


 どういうことだろう?


 でも、指示を出していたってことは、ずっと居たのか。


「そういうことだったんですね……」


 わたしが、思わず声に出してしまう。


 それに、アーシアが乗って来た。


「通りで、ブルーノやレアルコが調子に乗るはずですわね」


 バックに王が付いていたんだ。


 怖いもの無しだろう。


「父上はもう……暗黒竜の力に落ちているな」


「なっ! 決してそういうわけではありません! ラファエラが裏切るので、殺せと、そう言われていただけです!」


「とにかく、父上と話をする、皆着いてきてくれ」


 ふたりの遺体はそのままに、皆で王の部屋に行く。


 でも、扉は魔法で閉ざされていた。


「無理矢理にこじ開けるまでもありません」


 ファウスト様が、呪文を唱え始める。


 すると、何か、抵抗するように扉が光った。


 でも、それを押さえ込むようにファウスト様が力を込める。


 そして……自然に、扉が開いた。


 フォルトナート様が、後ろを向いて、皆に頷く。


「父上、失礼しますよ」


 中に入ると……椅子に座り、憔悴しきっている王の姿があった。


 ゲームで見ていたときよりも痩せている。


 無能だけど、人の良さそうな王様だったのに……。


 今はやせこけて、今にも狂いそうな感じだった。


「こ、殺して、ラファエラは裏切るから、先に殺して」


「父上、何を仰るのですか」


 さっきも思ったけど、王は、どうしてラファエラが裏切ることを知っているのだろうか?


 未来予知とか、それこそ夢で見たとかそういうの?


「お前達も全員死んで、そうすれば暗黒竜が願いを叶えてくれる……」


「…………」


 なんだか、口調が少し変だった。


 中年男性の口調ではなく、まるで同世代の少女のような……。


「暗黒竜が願いを叶えてくれる? 父上は寝返ったのですか!?」


 フォルトナート様が、怒っている。


 こんな事態を招いたことに、憤りを覚えているんだろう。


「なんでもいい、早く死んで、お願い、どうせゲームのキャラでしょ?」


「!?」


 この人……わたしと同じ転生者だ。


 ゲームのキャラって……みんなは意味不明だろうけど、わたしにはわかる。


「父上……ブルーノもレアルコも死にました、これからどうすればいいのですか……?」


 アレッシオ様が、涙と鼻水で顔をくちゃくちゃにしながら王にすがった。


 このままでは、アレッシオ様もただでは済まないだろうから……。


「じゃあ、あなたが死んで、次はあなたよ」


「な、何故ですか! 父上!?」


 アレッシオ様が、愕然としている。


 裏切られたような顔だ。


「父上は暗黒竜に取り込まれてしまった、残念だが、こうするほか無い」


「あ、兄上! それはっ!」


 フォルトナート様が、普段は抜かない白い鞘の剣。


 それを抜き放つ。


 あれは、暗黒竜を倒す、神剣カシナオンだ。


「さらばです、父上」


「ヒッ! こ、殺さないで、もう、もう残り回数がっ!」


 でも、フォルトナート様は……王、父親の心臓に……剣を突き立てていた。


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